第14.5話!吸血娘の独白~邂逅~
この話はリルヒ ボルテムス ノルス メイストル ハルティア ミクルス ハーティア ザ ブラッドの主人公達と会うまでの話です。
ではお楽しみいただけると幸いです。
私の名前はリルヒ ボルテムス ノルス メイストル ハルティア ミクルス ハーティア ザ ブラッド。とても長いけど家族や村のみんながつけてくれた大事な名前。家族以外にまともに言えないけど。
私は外界とはあまり接することのない村があまり好きではなかった。この外はどうなっているのか?獣人やエルフとはどういう種族なのか気になって気になって仕方なかった。
吸血鬼だけど命に関わる大きな怪我をしたり病気に罹ったりする時くらいしか血を吸わない。血が美味しい人間なんてほとんどいないし、血をくれる人間なんてほとんどいない。
私たち吸血鬼は生命の危機に瀕したり仲間や家族が目の前でなぶり殺しにされたりすれば怒りで完全に理性を失うなどがあると、本来はしない吸血による種族の増加を勝手にしてしまう。でも生命の危機に瀕したらほかの種族だって何が何でもというような行動に出るだろうし、仲間が凌辱されればキレるのなんて当たり前だと思う。
神聖国の奴らが長年吸血鬼は悪だ!神聖魔法も取得できない劣悪な種族だという教えを広めてしまったせいで私達は種族を偽らないと街を歩けない。神聖魔法だって覚えようと思えば覚えれるけど神官が大抵吸血鬼嫌いで教えてもらえない。
でもこのブルース帝国は魔物でなければ基本的に問題ないとされていて街に入るのも名前と罰則さえ表示すれば入れるからこの国はまだ安心できる。
その安心も秘密裏の吸血鬼狩りからは守ってくれない。
吸血鬼は獣人と同等な筋力にエルフに届くくらいの魔力の素質、夜を自分の時間だと言うかのように自由に動ける。それを活用して商都でソロ冒険者をしてちょくちょく村に色々なものを届けてた。
その日も私は大きな依頼が片付いたので商都で流行りの服や香辛料などを買って村に戻ってきていた。昼前につき夕方頃まで村のみんなと話していた。突然周りの家から火が上がったので広場に出ると村のみんなが白いローブを着た奴らに襲われていた。そいつらはルー神聖国と名乗っていたけど今考えればフェブルウス神聖国だったのかもしれない。そういうやり口で人間以外の非公認の村を襲うとか聞いたことある。罰則を気にしない裏の部隊があるとかもっぱらの噂だ。
村には戦える人もいたけどそういう人たちには怪我をした人の運搬と護衛をしてもらった。私はもちろん殿。さっきまでいたのが自分の家じゃなかったから私の武装の篭手がないのは辛いけど、私には血液魔法という吸血鬼でもあまり使える人のいない吸血鬼にはぴったりな魔法がある。欠点は力の源である血を使わないといけないことくらい。
冒険者をソロでやっている私は全てのことをひとりでやらないといけない。斥候がみんな持っているであろう気配察知もある。それを併用しながら血液魔法を略式詠唱で発動して血液を固めて拳と足と急所を守る。拳が壊れる恐れがあるから血で補強して継続戦闘能力を、足を血で補強して逃走能力を、急所はそこへの攻撃で動きが鈍くならないように。
最悪だ。奴らは銀の武器を使っているみたい。村のみんなはこういう時のために作ってある地面を魔法で掘って作られた避難経路にみんなは入っていった。急所は血で守ってるけどそれ以外のところに掠るだけですごく痛い。吸血鬼の最大の弱点だねほんとうに。それでも戦いが始まったのが夜の始まりだったおかげで私は1時間以上は戦えたと思う。月の動きがそんな感じだった。
1時間を過ぎたあたりで私は頭への攻撃の衝撃で意識が途切れた。
起きたら銀の手錠を付けられて檻の中だった。傷は癒えている。でも魔力がもうほとんど残ってないし癒すために血も消費したみたいで結構やばい。それでもここから出るだけの力は残っているけど、その後の逃走を考えたらどうにか檻くらいはなんとかして出して欲しい。
馬鹿が来た。私を慰みものにしようと檻から出した。実際、ほかのレベルのあまり高くない吸血鬼なら銀の手錠が付いているだけで力が発揮できないけど、私には血液魔法がある。手錠の近くの皮膚を歯で少し切って血を出して手錠と皮膚の間に血を浸透させる。檻から出そうとしていたので口の中で略式で詠唱をする。ちょうど出た時に魔法が発動。体の全体に薄く血を纏わせて防御力と俊敏を上げてついでに力で無理やり手錠を破り一目散に逃げ出した。
まさか吸血鬼が銀の手錠をつけているのに反抗できるだなんて思ってなかったみたいで遠距離から弓を射るくらいしかできないみたい。私の展開している全身血液装甲はそんな程度の攻撃じゃビクともしない!魔力があれば。一度に操れる血液は血液魔法の練度によって変わる。全身を覆うと最高速じゃなければ矢だって弾く。近接武器は局地的に強化しないと流石に無理。今回は弓矢だけだったからなんとかなった。
今走ってる方向からして商都かその前の街のスパゲティーとかいう食べ物が特産のスーマという街のどちらかに向かっているだろう。今回私は防衛のための攻撃及び殺しだったため罰則はつかない。なんとか街まで行って適当な雑魚を倒して魔核を換金すれば立て直せる。村のみんなは新しい場所に行ってるだろうけどその場所を聞く前に別かれてしまったから当分はお別れかな……
なんて逃げられた安堵で油断していたのだろう。いつもなら気配で分かってただろうに。
オークに遭遇した。それも十や二十じゃない。もっといるであろうオークの集団の近くを通ってしまった。完全な私なら上位個体が変に紛れてなければある程度は戦えただろうけど魔力はほぼ空、血液も足りない。なんで人種の血液じゃないとダメなのよ!魔物にだって血があるのに……なんて現実逃避をしながら全身に纏わせていた血を足だけに重点的に補強強化して今出せる全力で逃げた。攻撃が何回か掠ったけど本当にギリギリオークたちの固まりから逃げることが出来た。
元々ギリギリ街まで着くかな?という具合だったのにもうダメ。周りに敵対的な気配もないけど血が足りない。血が足りない。血が足りない。血が足り……血が……私は意識が薄れていった……
その時、私の鼻が人間の男のそれもとても美味しそうな血の匂いを感じ取った。血が美味しそうなんて初めてだったけどこれは危機に瀕しているからそれ故の過剰反応なのか?わからない。けど確実に言えることは近くに人間の男がいるということ。なんとかして血を吸われてもらわなければ。吸血鬼になるかもしれないのにくれる人なんていないと思うけど……
「ねえ!そこに誰かいるの?」
と言って顔を出したのは剣を腰にかけて禍々しい大盾を持った黒髪黒目の失礼な事を考えていそうな顔をこちらに向けた男だった。
お疲れ様でした。
血液魔法で血液装甲を発動した後なら血液の移動はできます。イメージ次第なのでリルヒはできると考えたのでしょう。
土日に2話投稿とかすればブクマとか増えるかな?という露骨な考えがにじみ出た結果、リルヒの話が出来ました。
ミアはカズシ様命な文章になるだろうから書くのが大変なので当分先。多分個別デート回みたいなのがあるだろうからその時は視点をヒロインの方に変えようかと思ってます。




