第81話! 来賓パーティー
※注意 この世界は決闘厨で溢れています。特に権力のある貴族等は己の所有する戦力を自慢する為、誇示する為、話し合いの決着の為など様々な理由をこじつけて、決闘をしようとします。
こんな注意をなぜ来賓パーティーというサブタイトルで説明するか? みなさんならわかるでしょう。
では、お楽しみ頂けると幸いです。
入場しながら人がいないテーブルの所までエスコートする。会食というわけではないが、偉い人達から順に挨拶に来るだろうからね。他国のお偉いさんや公爵家とかは姫を取り入れたいから、ルド達の挨拶の次にくるだろうけどあげません。
何も無いテーブルだけど、まるまる空いている場所があったので、そこに行くことにした。
「お前ら二人は皆と挨拶をする仕事があるよな?」
「そうだけど……カズシは逃げちゃダメよ?」
リーゼの喋り方がリルヒと似てるんだよな。てか、そんな口調で話し続けてるけど、スイッチの切り替えできるよね?
「わかってるわかってる。でも、お前らへの御挨拶が始まる前になんか食べ物持ってこようか?」
「いえ、カズシ様が取りに行くことはありません。メイドにでも頼めば」
「それこそ断る。悪意を持たずにお前らに毒を持ってこられたら溜まったもんじゃない。アーサーとガウェインの分も持ってくるから、守っててな」
「肉お願いします!」
「わかりました」
腕に何枚と皿を載せて、ガウェイン以外はバランスよく乗せていく。ガウェインは肉マシマシ。ルドの元にいた反応がルーゼ達の方に向かっているから、急いで戻る。
「お待たせ。テーブルに置いておくからつまめ。ケーキの納品したはずなんだけど、もうなかったんだが」
「ええ! 月狐の洋菓子店のケーキですよね? なら、もっと早く入ればよかった」
「惜しいことをしました」
本気で悔しがっている姫二人だが、
「なかったから、俺が作った奴を皿に置いておいたから、食べてね」
「本当ですか! ありがとうご……ありがとうです」
アーサーがすごいテンションで礼を言ってきたけれど、俺の腕を掴んでぶん回してきたことに気がついたのか、控えめな声で礼を言い直した。
そんなにファンだったのかな? アーサーになら、作ってあげるのに。ミア辺りがお世話になってるし。
あれ? ルドの所にいた奴がこちらに来ているけど、なんか小説とかで見たことあるシチュだな。無属性魔法【録画】発動! ついでに胸ポケットにスマホをイン!
なんてほんわかしたやり取りをしていたのに、
「そこの給仕邪魔だからどけ」
なんて声をかけてきた成人してすぐくらいの黒髪黒目の男が声をかけてきた。そいつはルドのところにいたやつだ。
にしても給仕か。確かに服装は似ているが、傍から見て布の質が違うし。だってミスリル糸を黒色にして縫い込んであるんだけどな。そして何より剣を差しているのに給仕呼ばわりか。
「で、皿に乗せたケーキはミルクレープというまだ店では出していない新商品だぜ。きっと気に入るよ」
「……それはとっても楽しみです!」
「……ですね」
姫二人も乗ってきたんだけど、相手はどんな奴なのだろう? 無視していいやつだったら、開始来てすぐにルド達のところに挨拶に言えないと思うんだけどな。
「おい、俺を無視してんじゃねえ!」
給仕呼ばわりしなかったので、答えてやろう。
「……ああ、俺のことね。給仕とか言ってたから気が付かなかったわ」
黒髪黒目、体格はある程度は鍛えているけど、見た目的に鍛えられていない俺よりも筋肉がなさそうだな。筋肉=パワーじゃないけど、その筋肉じゃ戦えないよな。
シャツには金糸が使われていて、ジャケットも黒を貴重にしてあるが、縁は金糸だしなんか派手。成金臭がするけど、本当のお金持ちなんだろうな。民から吸い上げた。
「無礼だぞお前? 死にたいのか?」
「他国の冒険者、しかもここにいるのはSランク冒険者なのに、そんな奴に死にたいのか? と聞いてくるやつの方が死にたいのか?」
「なんだと!?」
いくら軽く挑発したからって顔真っ赤っか速すぎるだろう。てか、無闇にこの国の冒険者に喧嘩は売ってこないってルドは言ってたのに、なんで挑発されたの?
ルドを見てみると口を抑えて、笑いをこらえてやがる。
『無闇に冒険者を挑発したり、喧嘩を売ってこないって聞いたんだけど』
ルーゼとリーゼに聞いてみた。
『何年も人形姫やってたので、わかりません。そしてその方は嫌いなので、どうでもいいです』
『その王子がアホなだけ。北の王国の第二王子だからって毎回こんな感じだもん。あとルーゼお姉ちゃんのことを人形姫って言い出したのはこいつで、求婚というか政略結婚しようとしているのもこいつ。ただのアホ』
なんだ? 好きな子をいじめちゃう系の王子様なのか。俺のルーゼを虐めたのか。うむ、気に食わないな。あと礼儀はわかるけど、礼儀があからさまに欠けている相手にはかけない。
それで戦争になったら、死傷者0で俺が収める。
「なんだと!? とか言ったけど、どうする気だ? ここでいきなり腰にかけている剣を抜いたら俺も抜くぞ? Sランク冒険者に勝てると思うなら、抜いていいぞ」
剣に手をかけていたので、先制して脅しておいた。それでさらにヒートアップしたのか、
「決闘だ! 逃げるなよお前? 俺を怒らせたんだ。この決闘を受けなかったら、王国として名誉毀損で訴える」
「メリットがない。名誉毀損? お前は俺を舐めすぎだ」
スマホを取り出して、さもこれが魔道具ですよ? というようにアピール。ついでに電源つける。充電残量は減らないのかだって? 俺の回復魔法は復元魔法。オーケー?
「俺はお前とのやり取りをこの魔道具で記録してある。それを再生して、抵抗してもいいんだぞ?」
「は? 記録? お前は何を言っているんだ? ていうか、それはなんだ!」
「こういうことだが?」
てか、なんで俺は王子に喧嘩なんて売ってんだ?…………ああ、そうか。ルーゼが人形姫って言った時に、一瞬悲しみが顔を掠めたから、それの現況をボコりたいだけか。なら、しょうがない。いきなり殺さなかっただけ、俺は優しくなったと思う。
光魔法【スクリーン】と無属性魔法【再生】、録画は維持したまま発動。
そこには王子が、伯爵相当の扱いを受けられるSランク冒険者を給仕扱いに邪魔者扱いし、他国の最高ランク冒険者に対して、死にたいのか? というセリフを言う場面が再生された。
ちなみにスクリーンはこのホールの上空、皆が見れるように何個か設置しておいた。
「な、な、俺はこんな事言ってないぞ!」
再生以外の音はほとんど消えているところで、そんなことを叫び出したけど、無視して再生を続ける。
再生が続くにつれて、気がついたのだろう。
『な、な、俺はこんな事言ってないぞ!』
なんて言うのが、スクリーンから流れてきた。
「終了。まず知りたいことがあるんだが、王国にも冒険者という存在はいるのか?」
アーサーやガウェインに向けて質問する。このふたりは有名らしいからね。
「ああ、もちろんいるさ」
「最高ランクの扱いはどうなっている?」
「この国のSランクと同じように伯爵以上の扱いを受けるますね」
やはり、最高ランクの冒険者はそれだけで一個の兵器だから、取り扱いには慎重なんだな。
「では次だが、ルーゼとリーゼに質問するよ? 他国の最高ランクの冒険者を給仕扱い、邪魔者扱い、死にたいのか? と聞いてくる。これってまかり通るの? 俺は剣を差していたし、ルクソルーゼ姫にメリアリーゼ姫のすぐそばにいたのに、わからなかったってことはないと思うんだけど」
「うーん。どうでしょう? 伯爵相当の扱いを受けますが、伯爵ではありません。でも、王族を警護している冒険者を貶すのは、その王族を間接的に貶していることになるのかな?」
ルーゼはあまりわからないようだ。
「なると思うけどそれよりも重要なのは、私達の未来の旦那様を貶したことの方が一大事じゃない?」
え? リーゼちゃん? この場面で何を言っているの? ああ、なるほどね。外堀を一気に埋めにかかったのね。賢い! ルドとルカス付きまとわれそう。
「「「「「「はああああああああ」」」」」」
服装がしっかりしている奴らが、大口を開けてこちらを見てきた。俺がお前らの立場だったら、おれもそうなる。
「ふ、ふざけるなああああああ!! ルクソルーゼ姫は俺と結婚するんだよ! なんで冒険者風情が王族と結婚できる! 決闘だ! 決闘で殺してやる!」
「その決闘受けて立つ!」
あははははは。この世界の奴らは本当にちょろいわ。決闘厨で本当に助かる。弱そうだけど、舐めぷなしで行かせてもらう。
お疲れ様でした。
迫り来る敵は王国最強と噂されるSランク冒険者、最上位金属オリハルコンの盾を持ち、長剣な聖剣を片手で操る、最強の女剣士ミコト。黒髪黒目、胸はD程度、ポニテを振るって戦うその姿は、稲妻の戦少女と称されるほど。
お願い、負けないでカズシ!あんたが今ここで倒れ…………るわけないですよね。でも、アーサー達よりもきっと強いし、やばい魔法は使えないから、きっと苦戦するはず!




