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重い鎖

作者: 小田上総

僕を主人公とした彼女にあてた詩です。温かい言葉だけではありませんが少しでも愛しい気持ちが伝わればと思います。それでもよろしければどうぞ目を通してください。

言葉が欲しいのだと言われた

僕の口から、明確な形が欲しいと

その時僕は

どんな表情で彼女の目に

映っていたのだろうか


僕は言葉にすることが苦手だ

でもこんなにも胸の中に

彼女を想う気持ちが溢れている


時折溢れだしてしまった気持ちは

僕の血の中に溶け込んで

身体の中を駆け巡って

心という殻を破って

僕の身体を支配してしまう


何時もなら優しく抱きしめられるのに

彼女を壊してしまいそうなくらい

強い力で抱きしめて

彼女が苦しそうにもがくけど

それすらも許さない位

両の腕に力がこもる


大切とか、好きだとか

言葉に当てはめて

本当に僕のこの気持ちが

その言葉に置き換えられるものなのか

言葉に当てはめられるほど

単純なものなのだろうか


今ぼくの心臓は冷たい

想いを伝えられないもどかしさ

幼い子どもがぐずるように

どうにかしてしまいたいのに

僕の唇は薄く開くけれども

空気を揺らしてはくれない

真っ直ぐに

僕の目をとらえて離さない

彼女の目に

揺らぐ心が見えた気がした


僕は一歩

彼女との距離を詰めた

手を伸ばせば届きそうで届かない

ギリギリの所に立つ


伝わるのか分からない

彼女に届かないのかも知れない

それは恐怖

僕のこの確かにある気持ちが

僕と彼女を結ぶものが

消えるかもしれない


言葉にするのは難しい

それでも 今

空気を震わせて

彼女の耳から心まで

少しでも届ける努力をしなければ

確実に失うものがある


それだけは 嫌だ


緊張で口が渇く

それでも僕は

途切れ途切れに

言葉を紡いだ


一つの言葉では伝えきれない

大切 愛しい 慈しみたい 好き 

笑っていて欲しい

一緒の時間を過ごしたい


でもきっとそれだけではない


言葉は鎖

彼女と僕を結んでいた

心という赤い糸が

言葉という鉄の鎖に変わる

軋む音を立てて

僕と君の間に冷たい

それでも何処か手放せない

想い繋がりができる


彼女は 泣いた 笑った

僕はいびつに歪でしまった

言葉に縛られた繋がりに

後ろめたいような

喜びが湧くのを感じだ


あぁ、そうか

きっと彼女は寂しかったのだろう

このほの暗い幸せを

彼女はずっと求めていた


言葉にすることは難しい

それでも

僕と君は確かに繋がっている

首輪のように僕らを繋ぐ鎖


それもまた、愛情とでもいうのだろう




この詩を読んでくださってありがとうございます。はじめましての方ははじめまして、前作品を読んでくださっている方はお久しぶりです。小田上総と申します。明るい言葉をつなげようと思うのですが、気がつくとほんのり薄暗いような言葉になってしまいます。それでも皆様の記憶に少しでも残るものを作れたらと思って、これからも精進いたします。それでは今回はここで、また皆様にお会いできることを祈っています。

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