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枇杷

子供心は垣根を越えて

 あれから永い年月を超えました。あの時あなたが私を植えてくれていなければ……。



 あれは何年前の事でしたか? 貴方は自分の食べた実の種を「植える。植える」と駄々をこねて、ご両親を困らせていましたね。一番初めは植木鉢の中でした。貴方は早く芽が出ないかと、毎日水をくれる度に「早く芽でないかな」と言っていましたね。私が芽を出してからは「早く大きくならないかな」と言いながら、毎日水をくれましたね。私が鉢植えの中で窮屈にしていると、貴方の家の庭に植え替えてくれましたね。大きくなるにつれて、貴方も大きくなって、私に付いた私の葉を食べる虫を取り除いてくれましたね。そして私は貴方の愛をいっぱい浴びてこんなに大きくなりました。


 最近では、貴方の子供が私の子供を取って美味しそうに食べてくれます。貴方の子供も貴方に似て「植える。植える」と種を植えたがっています。私は貴方の所に来て良かったと思います。これまでも、今も、そしてこれからも。私の子供達は貴方の子供達に愛されて、私が貴方に愛されたように。私達は世代を超えて繋がっていく。とても素晴らしい事だと思いませんか?


 また貴方の子供達が植えた私の子供達が育っていきます。「早く芽でないかな」「早く大きくならないかな」「鉢植えじゃ可哀想だよ」って。また実が生ったら、食べて下さいね。子供達だけでなく貴方も。





私も幼少の頃、枇杷を植えておりました。植木鉢の中でスクスクと成長するその姿に感動さえ覚えたものです。しかし、いつまでも鉢植えの中に入れていた為、途中から育たなくなり枯れてしまいました。この小さな物語は、私の願いも込めて書いてみました。短い作品でしたが、如何だったでしょうか? 何か感じて頂けると幸いです。

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