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「トントントン コンコンコン」
朝、軽やかな音とともに今日の1日がはじまっり俺は目が覚めた
目が覚めたというよりも意識を取り戻したと言ったほうが正しかったかもしれない
お母さんの唱えた強力な魔法により 眩い光属性の爆発したダメージを与えられた俺は1日意識を失っていた
もちろん「トントントン、コンコンコン」という音は普段ならお母さんが包丁で料理を作っている喜ばしい音の筈だが 今は その呪文によって壊された家を補強している金槌の音だろうと俺は容易に判断できた
俺は音のなる方へ足を伸ばすと 体格のよいが少し中年太りの目立つようになった男が一生懸命に家をなおしていた
「おかえり、お父さん!」
「お!シオン 起きたか」
その男というのはうちのお父さんだ お父さんは転移する前までは大工さんの仕事をやっていたので家の工事も難なく暮らしている
最初は家がぶっ壊れて困惑していた様子だったお父さんも今となってはそれもいつも通りになっていた
転移しても大工の名残なのか装備できるものも大工に関連した物が多い 例えば釘を打つためのハンマーや 木を切るノコギリなどだ
俺も試しにお父さんの「大きな金槌」持ってみたが 装備はできない といわれて装備ができなかった
「それでお母さんは?」
「お母さんは買い物に行ってる シオンには悪いことを言っちゃったって落ち込んでいたな」
昨日のことは俺も少し悪かった 俺も初めてのダンジョンでゴールドがもらえると期待させてしまった 俺も反省しなければ
「シオン 初めてのダンジョンクリアしたんだって?おめでとさん 」
「ありがと、でも俺はなんもしてないよ モンスターとも戦ってないし」
「でもお前は逃げなかった どんなことでも参加することに意味がある それはすごいことだ 」
お父さんの言葉に俺は何度も救われてきた
お父さんは今はCランクダンジョンクリア済みで今はBクラスに挑戦している
Bクラスダンジョンは鬼門とされてクリアするのはとても難しい もちろん報酬は上がっていくがそれに比例するように生存率は急激に下がっていく
お父さんはそんな死と隣り合わせのその中で戦っているだ
「シオンもDクラスに入ったならクエストに参加してみるといいぞ?」
「クエスト?」
「ウインドウを開いてみろ、ディリークエストが表示されるだろう それをクリアすると レベルアップ して攻撃力や体力も上がっていくんだ 何度もやっているうちにレベルアップボーナスで武器も獲得できるぞ!」
それはすごいことだ 俺みたいにお金がないやつはディリークエストのミッションをクリアしながらクリア報酬として無料で武器を獲得する他ない 今後 ダンジョンに参加するうえでもレベルアップというのも非常に大事になってくると思う
俺はしばらくダンジョンに参加はせずに
まずはディリークエストからクリアに専念しレベルアップを目指すことにした