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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愚痴

作者: 海星

 題名にもなっていますが、愚痴です。

 気分の良い話じゃないです。

 スカッとするようなオチもありません。

 「それでも読んでやるよ」という奇特な方は読んで下さい。


 祝日です。

 身体が動かしたくなりました。

 ジムに行く事にしました。

 降ったり止んだりのジメジメした天気です。

 ランニングマシーンとか筋トレって気分じゃありません。

 「たまにはプールにでも行くか」

 俺は水着を準備してジムのプールへ行きました。


 祝日です。

 9月とはいえまだまだ暑いです。

 プールは混雑しています。

 俺は本気で泳ぐ気分にはならず『歩行コース』でプールの中を歩く事にしました。

 今日は混雑しているからでしょうか?

 『歩行コース』は1コースだけでした。

 1コースで『↓↑』という風にすれ違っていました。

 で、端まで行ったら反対を向いて歩く。

 基本は右側通行でした。

 『遊泳コース』も狭く、『歩行コース』と同じように『↓↑』で泳いでいました。


 俺がプールの中を歩いていると、隣の『遊泳コース』を平泳ぎで泳いでいる女性がいました。

 『歩行コース』と『遊泳コース』はロープで区切られていますがプールの中では繋がっています。

 ロープギリギリを平泳ぎで泳いでいた女性は足が『歩行コース』にはみ出していました。

 気付かずにプールの中を歩いていた俺は女性に平泳ぎのキックで金玉を思い切り蹴られました。

 『いだ!』

 思わず俺は大きな声を出します。

 出ちゃったんです。

 しょうがないんです。

 『すいません!』

 女性が声をかけてきます。

 『大丈夫です。狭いのはお互い様ですから』

 俺は言おうとしました。

 言えなかったんです。

 皆さんは経験がありませんか?

 金玉を蹴られたら息が吐けなくて、吸う事しか出来なくなるんです。

 蹴られた瞬間は声が出ました。

 『何でだよ』と言われてもわかりません。

 反射的なモノなんです。

 しばらく俺を見ていた女性も何も言わず立ち去りました。

 『大丈夫ですか!?』

 ぐらい声をかけてくれても罰は当たらないのに・・・とは思いましたが『プールの中で他の人もいるのにいつまでも立ち止まっていられないのかな?』と自分を納得させました。

 その時は『不運な事故だった』で終わった話でした。


 プールでの運動を終えて、シャワーを浴びて服に着替えてジムのロビーにいました。

 自動販売機でアクエリアスを買って飲んでいました。

 ポカリスエットかアクエリアスかと言ったら断然アクエリアスです。

 『ちょっと良いですか?』

 知らない男性に声をかけられました。

 『はい、何でしょう?』

 俺には声をかけられる身に覚えがありません。

 『プールの中でコイツとぶつかったみたいで・・・』

 男性の後ろには女性が立っています。

 女性は男性の奥さんでしょうか?

 彼女でしょうか?

 スイミングキャップをかぶっている女性とかぶっていない女性は全く雰囲気が違って見えます。

 『こっちはぶつかってない。一方的に蹴られたんだ!』なんて言いません。

 こちらも大人です。

 『混んでましたからね。しょうがないですよ』

 俺は『気にしてません』と暗に言いました。

 『謝ったのに何も言わないのはどうなんですか!?』

 あれ?俺、なんか責められてます。

 『彼女泣いてましたよ!何か無視されたって!』

 無視したんじゃありません。

 金玉蹴られて息が吐けなかったんです。

 『そういう態度って大人としてどうかと思います!』

 待って下さい。

 金玉蹴られて許すも許さないも俺の胸三寸ですよね?

 『オメー、何、人の金玉蹴ってるんだよ!タマ取ったらぁ!』って俺が切れるならまだわかりますよ?

 何で金玉蹴られた俺の態度が気に食わないって責められなきゃいけないんですかね?


 納得いかん!

 何より許せないのは、相手の抗議の勢いで頭を下げてしまった自分です。



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― 新着の感想 ―
[一言] えーやだ,絡まれ損じゃないですか ついていない器官なのでその痛みは想像の域を出ませんが,そんな状態で謝られても,なにも言えなかったのは仕方ないと思いますよ それにそもそも,許す許さない(そし…
感想一覧
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