自称ヒロインに悪役令嬢だと罵られています。婚約者は譲りますのでもう私にかかわらないでください! 1
短編でサクッと読めます。
詳しい部分は番外編として作成予定です。
「レオノール・ファン・ラスニック!お前との婚約を破棄する!」
私、ラスニック侯爵令嬢であるレオノールは王立学園の卒業式の後に行われれたパーティーに友人と参加していたが、突然大きな足音を立ててあらわれたクリスチャン・ポルスターに婚約破棄を言い渡された。
・・・のだが、彼はすでに私の婚約者ではない。
婚約を解消して既に半年が経っているのだ。
私がそれを伝えようと口を開こうとした瞬間に、彼の後ろにいる女性が目に入った。
怯えたようにクリスチャンの後ろに隠れている彼女が視界に入った瞬間、震えたのは私の方だ。
既に婚約を解消していると知っている友人たちが呆れたようにクリスチャンを見て、私の代わりに説明しようとしたため、それを止めて私は優雅に微笑んだ。
・・・そう、彼女に関わったらろくなことがない。
「その話につきましてはポルスター公爵にご確認くださいませ。私はこれから別のパーティーに呼ばれているため、そろそろ出なくてはなりませんの」
「あら、もうそんなお時間なのですね、レオノーラ様お急ぎになって」
事前にパーティーを途中で抜けることを伝えていた友人のジニア様が私の背中を押して微笑むので、私は振り返って友人たちに挨拶をする。
「ちょっと待ってください!クリスチャンの話をちゃんと聞いてください!」
やっぱり来た!!サイコパス嬢!
さっきまで震えていたはずのマリアンネ・マラー男爵令嬢が私を責める様に声を上げた。
私は心の中でため息をついた。
この人にかかわりたくないのに・・・。
私はラスニック侯爵家の3番目に生を受けた。
一番上は社交界の華と言われるアイリスお姉様、そしてサンビタリア随一の貴公子と言われるシオンお兄様がいる。
お姉様は賢く、誰もが羨ましがる容姿を持っていて、王太子の家庭教師もしていた。
そんなお姉様は両陛下にも気にいられてしまい、国王の弟の息子であり、クリスチャンの兄である、トーレ様の婚約者にあてがわれたのだ。
けれど、ジューンベリー国に留学にいった際にジューンベリー国の王太子に見初められてしまった。
元々恋愛感情はないことと、お姉様とジューンベリー国の王太子との結婚は国にとって利益があるとのことで、トーレ様とお姉様の婚約は解消されてお姉様はジューンベリー国の王太子妃となった。
お姉様の旦那様であるウィリアム様は本当にお姉様が大好きで婚約を通り越してすぐに結婚をしてしまった。
ウィリアム様は見た目も美しくて・・・って脱線してしまいました。
そんなわけで、姉の代わりに私はポルスター家の三男であるクリスチャンの婚約者になった。
ちなみにトーレ様は現在ご結婚され、お子様も3人いて幸せそうにしている。
お相手の方はお姉様とは正反対の優しく朗らかな方だ。
お姉様は自他ともに厳しい方なので婚約は解消されてよかったのかもしれない。
・・・というわけで私は11歳でかのクリスチャンの婚約者となったのだった。
正直言ってしまえば第一印象から嫌な男だった。
人の事をブスとさげずんだり、お姉様の事を悪く言ったり、うちの使用人に意地悪をしたり・・・数え上げればきりがない。
幸い、私にはそんなことを気にしている暇はなかった。
私はお姉様を育てたという優秀な家庭教師に毎日これでもかという量の宿題を出されていたからだ。
まじめに学んでいた成果が出たのか、王立学園に入るころにはすでに卒業できるほどの学力・知識を得ていたので私もお姉様と同じように留学しようと両親に相談すると阻止された。
私まで海外に嫁ぐことになったら困るからというのだ。
あれは姉だから出来る所業だというのに・・・。
結局私は貴族が通う国内の王立学園に入学した。
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