461.学友
「そんな、お礼なんて言わないで~。私は当たり前のことを言っただけだからぁ」
「んーん、それでも困っていた私を助けて下さったのは事実だから」
「いいのいいの、気にしない。ね!」
「うふ、ありがとう」
「よしよしよろし~って、あっ! そうそう、アメジストちゃん! 昨日の授業で――」
フレミージュは両手を後ろで組み腕を伸ばすと長い髪を揺らし、満面の笑みで話しながらアメジストと並び、歩く。その優しさと明るさは生命に栄養と元気を与えてくれる……まるで太陽のような方だなと改めて感じた彼女もニコッと、応えた。
(あっ、そういえば。今日は)
「フレミージュさん、あの」
「え、どうかした?」
「いえ、その。今日の髪型、いつもと違うなぁって」
「ハッ! わぁ~い分かるー? 三つ編みしてみたの! でもねぇ」
「?」
ちょうど教室の前に着き扉の前で「むむぅ」と困り顔になるフレミージュは――結わなかったら足首まであり自分の髪なのにいつも扱いに悩んでしまうのだ、と三つ編み髪を両手で掴み左右へルンルンとさせながら、項垂れる。
(私には想像もつかないけれど。きっとお手入れとか、維持するのも大変なのね)
しかし、彼女の姿があまりにもあどけなくアメジストは思わず微笑んで、言葉をかける。
「そうなのね。でも私、憧れます……綺麗で長い髪もそうだけれど、フレミージュさんはとても可愛くて。いいなぁって」
「ふぇ~ん! ありがとうーッ! あめじすとちゃあぁぁん……ぐすん。これで少しは、私の日々欠かさない努力も報われるよぅ」
クラスメイトとはいえあまり周囲との関わりを持たず距離を取って過ごしていたアメジスト。だが思えば昨日の昼休みから突然、皆と急接近していた。
それもごく、自然に。
クラスメイトの友人たちもこれまで待ってくれていたかのようだった。
(もう少し、仲良くなってから聞いた方がいいのかしら)
それにしてもフレミージュとの会話は楽しく色々と聞きてみたくなる。だが親友であればともかく今の段階で質問をしてみても良いものかどうか? アメジストは考え悩んでいた。
それを察した彼女が口を開く。
「ねぇねぇ、アメジストちゃん。これからは、私やみーんなにも遠慮はナシ! 何でも話し合えるといいなぁって思ってるよ」
――え! 頭の中が伝わったのかしら?
「仲良くなりたい! 皆もそう思ってるんだから!」
「……うん、そうだね。ありがとう」
背中を押された気分のアメジストは気になった事を、質問してみた。