勇者は嫌よ
私は可愛い。
気付いた時はそれこそ自我が芽生えたくらいから。
両親はおらず孤児院の育ち。
だけど可愛い可愛いとチヤホヤされたから何も苦労はない。
だけど老若男女好かれるのは簡単なことではない。
男は好きな子を虐めたいらしく、意地悪をしてくる。
女はとにかくモテる女が嫌いだ。
私は生きやすくする為に、そう!!効率よく生きる為。
全てから好かれるヒロインになる為に頑張ったのだ。
例えば、剣術。
私は可愛いから変な奴に狙われないよう体術を極めた。
そしたら剣術も必要かな?なんとなくそう思って剣術も極めた。
他にも、魔法。
女の子たちに好かれる為に、孤児院の仕事を率先してやった。その時に楽になるようにいろいろ覚えたらどんどん派生して、極められた。
中でも一番大変だのが、そう、女子力だ。
剣術は練習すればすぐ身についた。
でも練習し、鍛えれば鍛えるほど体はゴツくなる。
そんなの可愛くない!女の子は柔らかくてなんぼだ!!
魔法もそう。強すぎると可愛くない!
魔法が強くても可愛い子はいるだろう。
でも私の目指してるのは効率よく安定的に働くヒロインだ。
今日はスキル鑑定の日。
皆んなにはバレてない。
みんなの前では私はふわふわで華奢で可愛いヒロインだ。
出来たら、服飾系とか飲食系だと嬉しい。
孤児院である程度できるようにはなってるから、
仕事出来る度数の調整がしやすい。とてもいいと思う。
逆に体動かす系や、神官は嫌だ。ボロが出そうだ。
「アリス。こちらに来てこの水晶に手を。」
私の番だ。さぁ!!何が来る?
光っている!!嫌だ!!嫌な予感しかしない!!!
「勇者様だ!!!!」
「嫌だぁーーーーー!!!!!!」
神は私を見捨てた。