世界を学ぼう 続エルトシュトルフレーレ入門編
「うわっ、消えた!」
机の上に残っていた、パン、チーズ、ソーセージ、空の木のカップが音もなく消えた。
「・・・食事が済んだと判断したので、収納したのですが。まずかったでしょうか・・・?」
「うぇ?あっうん、大丈夫、問題ないよ。ありがとう。」
あっそうか収納か、そう言えば容量無限で時間経過なしのがあるんでしたね。だったら今度からは量がちょっと多いとか、日持ちがしないとか考えなくてよさそうだね。
「それでは説明の再開をしても宜しいですか。」
「うん。どこまで聞いたっけ?」
「この世界の指標としてのランクの説明ですね。」
「あぁ、ランクの違いで格段に強さが変わるって話だっけ。」
「正確には強さではありませんが、概ねそう考えて間違いはありません。」
「強さじゃないの?」
「そうですね。例えば、研究者や官僚、商人など知的能力が鍛えられている者たちは、ランクが高くても戦闘面で強いとは限りません。」
「あっ成程、確かにそうだね。」
「ですが、マスターが主に相手にする者たちはランク=強さの認識で良いと思います。」
「そうなの?私たちが相手にする人達ってどういう人達なの?」
「そうですね。この世界ではハンターと呼ばれている者たちを主に相手にするのではと想定しています。」
「ハンター?」
「ラノベなどでは冒険者とも呼ばれる職業ですね。」
「あぁ冒険者。この世界ではハンターなんだ。」
「そうなりますね。『魔物を狩る者』がもともとの語源であるようですが、今では何でも屋に近くなっていますね。」
「いわゆる冒険者と呼ばれる何でも屋になっている訳だね。あっこっちではハンターか。」
「ハンターギルドに魔物関係以外の依頼が出され、ギルドが受け付け、ハンターも処理してきた為、現在の状態になっています。」
「へ~。ハンターギルドって所謂冒険者ギルド?」
「そうですね。もともとはハンターの互助組織として出来たものですので、依頼の仲介業よりも魔物の素材等の買取りが主になっていますね。」
「へ~。じゃあ相手にするだろう、そのハンターさん達はどの位の強さなのかな。それによってダンジョンの方向性が決まってくるよね。」
「ハンターのランク別の大凡の割合はEランクが3割、Dランクが4割、Cランクが2割、Bランクが1割でAランクが極少数でSランクは現在存在していません。」
「FランクとSランクはいないんだ。」
「ハンターになる最低要件がEランク以上であることなので、Fランクは存在しません。Sランクは過去には存在していたようですが、現在は存在しません。」
う~ん、Sランクがいないのはありがたいけど、Aランクが極少数でもいるし、Bランクは1割いるんだよね。
ということは安心安全を得るにはAランクの魔物は欲しい。少なくてもBランクを複数はいるね。
「ダコアちゃんAランクの魔物ってAPいくら?」
「Aランクですと最低500000APですね。」
「ぶっ。」
ご、500000AP!?い、いや初期APがいくらか分からないしね・・・。
「・・・マスター?」
私の霧吹きを浴びたダコアちゃんがご機嫌斜めな感じで私を呼びます。相変わらず声は平坦なんですけど、そんな感じがする気がします。
「ご、ごめんね。・・・ええっと、今あるAPっていくら?」
慌てて謝りつつ現在のAPの確認を。
「現在は95649APです。」
全然足りませんよーー!!
「び、Bランクの魔物のAPは?」
次点に望を託す。
「最低80000APです。」
はい、詰んだこれー。Bランクの魔物1体しか召喚出来ませんよ?
「・・・ダコアちゃんBランクのハンターって結構いるんだよね?」
「そうですね。それなりの数存在しています。」
「となるとBランクの魔物1体じゃ安心安全とは言えないよね?」
「・・・そうですね。」
「今、Bランクの魔物1体しか召喚出来ないよね。」
「・・・そうですね。」
「ダコアちゃんCランクのハンターの魂の回収って何APだったっけ?」
「最低15000APですね。」
ふむ、とするとAランクの魔物を召喚するには~・・・、Cランクのハンター33.3人必要と、人知れず30人以上の回収って出来るのかな?
流石にCランクハンターが10人以上帰ってこなかったらBランクハンターが出て来るよね。
その時点でCランク10人回収出来たとしてBランクの魔物2体、最初のと合わせて3体。次に来るのがBランク2人までなら対処可能だけど・・・。
「Bランクの魂の回収のAPって何AP?」
「最低80000APですね。」
ん?
「もしかして魔物の召喚と魂回収のAPってレベル同じだと同じ?」
「そうなります。」
へ~、成程。じゃあさっきのBランク2人を回収したとして、こっちはBランクの魔物5体。Bランクハンター4人までなら対処可能?Aランクの魔物を召喚するにはBランクハンター6、7人必要。
それまで大規模編成でこない?Aランクハンターも来ない?こちらの損害もなし?これまでの推論をダコアちゃんに話してみる。
「・・・かなり希望的想定かと。」
ですよねぇ。
「・・・無理ゲーじゃないですかね?」
「・・・・・・そうかもしれませんね。」
はい!無理ゲー認定頂きました!