初ご飯とその後。
さぁて、なかなかに見るのが怖いけども結果を確認しましょうか。
鍋の蓋だけ収納する事によって、あちちっとならずに鍋をあける。
途端に白い湯気がもわっと上がる。それが晴れると中には白いご飯が・・・ない。玄米だからね!
「おお、意外と出来てる?」
見た感じはそんなに悪く無さそうだ。
底は・・・まぁ悲惨な事になってるだろうから見ないようにして、上の方の出来はどうかな?
スプーンを取り出してご飯に吶喊!
ん?感触は悪くないような?一匙掬うと、スプーンの上にほかほかと湯気を立てるご飯が載っている。
やっぱり見た目は問題なさそう。よし!では実食!
あむ、あむ、あむ・・・うん、玄米だから歯ごたえはあるけど、ちゃんとご飯になってるね。
「よし!初めてにしては上出来でしょう!じゃあご飯にしようか、ダコアちゃん!」
「・・・私も食べるのですか?」
「・・・食べてくれないの?」
一気にテンションが落ちる私。
「・・・食べます。」
「やったー!よ~し、じゃあ早速分けよう。」
そして、いそいそとご飯とスープを分ける私・・・あっ、つい2セット作っちゃったよ!
そして、直ぐにテーブルにセッティングをしてしまうダコアちゃん。
ううう、仕事が速い・・・。これじゃ抱っこしながらダコアちゃんに食べさせる、が出来ないよぉ・・・。私の馬鹿・・・。
しかし!まだだ!まだあ~んが出来る!この機会は逃してはいけない!しっかりと機会を見極めて実行するのだ!
いきなりやっても食べてくれないだろうから、先ずは私が食べる。
「いただきます。」
大分APがやばいので節約の為に箸を我慢して、スプーンでご飯を一掬い。
と言うか箸って在るのかな?ま、今は良いか。
あむあむ、さっき試食したように、まぁ食べれます。
炊き方の改善、後は精米も考えようかな。
お次はスープ。葉物はもうくったくただ。火の通り易さとか考えず、ぶっこんだからね。まぁ味が染みてて柔らかいし良いとしましょう。
他の具材もちゃんと火が通ってた。ソーセージが味気無くなっているが、スープや他の具材に旨味を提供した結果なので、致し方無し。
総じて羊肉じゃない分サーフィ汁より食べやすいかなって位ですな。
さて、一通り食べたこの段階でダコアちゃんは一切手をつけず、此方をじっと見ています。
ちょっと悲しい気がするけど・・・だが、此れはチャンスですよ!
徐にご飯を一匙掬い、ダコアちゃんに差し出す。
「あ~ん。」
「!」
「食べてくれるって言ったのに・・・。」
「!・・・分かりました。でもじ「あ~ん。」・・・。」
「あ~ん。」
「・・・あーん。」
ダコアちゃんが私の作った物を口に含んでもぐもぐしてるよ~!
「美味しい?」
「・・・美味とは言えないかと。」
「ですよね~。」
「じゃあ今度はスー「自分で食べます。」プ・・・。」
ダコアちゃんはそう言うと、スプーンを出して自分でスープを食べ始める。
「・・・・・・。」
スープを掬ったスプーンを差し出そうとしたポーズで固まる私。
その表情はこの世の終わりでも見たような表情だったと言う。
「・・・・・・なんて顔してるんですかマスター。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・はぁ、一回だけですよ。あ~・・・。」
「ダコアちゃん!あ~ん!」
そう言って、あ~んを受けてくれるダコアちゃん!
私はにこにこだ。
「・・・・・・何て顔してるんですか。」
「えへへへへ。」
そうして一先ず満足した私とダコアちゃんは、食事を完食した。
「まずい!って程ではないけど、美味しいって訳でもないから、今後の成長に期待かな。」
「そうですね。」
「ダコアちゃんに満足して貰えるように精進せねば!」
「私には必要無いのですが・・・。」
それから数日。
サーフィちゃんからお肉を貰ったり、お米の炊き方の改善や料理の試行錯誤をして、幾ばくかの食事情の改善が見られた頃それは来た。
〈ナナさん、ナナさんお話がありますうさ。ナナさんナナさん・・・・・・。〉
「・・・マスター、白兎が呼んでいます。」
「ん?サーフィちゃんが?」
はて?なんの用事だろう?今はご飯の時間じゃないよね?
「サーフィどうかしたか。」
〈あっナナさん。今大丈夫ですかうさ?〉
「ああ、問題ない。何用か。」
〈あ、はい。一先ず此処での生活の目処がたったので、他の仲間を探しに行きたいと思ったうさ。〉
「うむ。」
〈それでこの・・・だんじょん?から出ても良いうさ?。〉
「それはかまわない。全員で行くわけではないのだろう?」
〈はい。キャシャファとイッハーフに行ってもらう予定うさ。〉
誰!?
「・・・・・・キャシャファとイッハーフとは誰だ。」
〈えっと、もう一人の女の子と気配を隠すのが上手い男の人うさ。〉
女子は分かるけど、もう一人は誰?・・・あっ!もしかして空気君かな?
「・・・そうか。」
〈はい。それでは準備が出来次第出発しようと思いますうさ。〉
「うむ。人数が増えるのは此方の利益にもなる、無事に再会出来ることを願っているよ。」
〈はい。ありがとうございますうさ。〉
ふぅ。これで人数が増えればAPも増えてくるかな。




