知らぬ間に死亡エンド未遂。
う~ん・・・?
あれ?私寝てた?いつの間に・・・。
え~と、ベッドに入った記憶はないよね?
えっと、最後に覚えているのは・・・喜び勇んでお風呂に向かって、湯槽に入って・・・入ったとこまでだね。
「おはようございます。マスター。」
「あ、おはよう。ダコアちゃん。」
「えっと、ダコアちゃん。私って昨日どうなったの?」
「お風呂で沈んでいました。」
「・・・え?」
「寝落ちしてお風呂のお湯の中に沈んでいました。」
「ええー!?」
お風呂で寝てそのまま永眠って、お風呂の死因あるあるじゃあないですか!
「まじか・・・。」
「ですので、今後マスターは一人でお風呂に入るのは禁止です。」
「えっ!?」
「禁止です。」
「あ、はい。」
ダコアちゃんはさっきの私の反応を一人で入れないの!?って意味でとったみたいだけど、勿論私が考えていたのは、それってこれからはずっとダコアちゃんと一緒に入れるってことですか!?ってこと。
ここで下手に喜んだら撤回されかねない。だから必死でにやけそうになる口元を抑える。むぐぐ。
「マスターの為ですので。」
「・・・うん。」
私の努力はダコアちゃんには私が不満気なように見えたようで、私の為だからと諭してくれる。
せっかく第二の人生を生き始めたってのに、即行でお風呂で溺死エンドとか悲し過ぎるのでとても有難い。
「うん、分かってる。大丈夫、ありがとうダコアちゃん。あと、お風呂で助けてくれてありがとうね。」
「いえ、当然の事をしたまでです。」
ダコアちゃんはそう言ってるけど、心配かけちゃったしやっぱりお礼はしないとね。
起き上がってダコアちゃんにこいこいと手招きする。
「!」
一瞬ぴくってなったような気がしたけど、素直に近付いて来たダコアちゃんの頭を胸にかき抱いて、なでなでする。
相変わらずダコアちゃんのほっぺは魔性のほっぺですよ。う~んぷにぷに。
うん。今日はダコアちゃん体温を直に感じるよ。胸に。
・・・そう。直に感じちゃっているのだ。今気付いたのだが、私は上に何も着ていない。そして下にも何も着ていない。そう、所謂すっぽんぽんなのだ。
ちょっと考えれば当然だと思う。溺れた私を引っ張り上げるのも大変だっただろうに、ベッドまで運んでくれたのだ。
更に、意識のない人間に服を着せるのも大変だ。というか予備の服も無い。
直にダコアちゃんの体温を感じつつ、頭を撫で続ける。う~ん、至福。
ひとしきり堪能したら、ダコアちゃんを解放する。
さて、そろそろいい加減に服を着ようか。
「ダコアちゃん私の服って・・・。」
そう言いながら脱ぎ捨てた辺りを見るも見当たらない。
「此方に。」
そう言って私の服を収納から取り出して渡してくれるダコアちゃん。
「ありがとうダコアちゃん。集めといてくれたんだ・・・ね?」
はて?脱ぎ捨てたままにしては・・・。
「もしかして、これ洗ってくれた?ダコアちゃん?」
「時間があったので。」
なんと!?なんて気が利く子なんでしょう!
お風呂上がりに着るものが、また同じ服しかないからと洗濯しててくれるなんて!
思わず抱き締めて撫で撫でしてしまう。
「ありがとうダコアちゃん!なんて気が利く子なの!」
「・・・いいから服を着て下さい。」
「は~い。」
そして服を着て、顔を洗うなど身嗜みを整えて一息つく。
「ああ、朝ごはんどうしようかな?」
もういい時間になっているので、サーフィちゃん達のご飯はとっくに終わってるだろう。さて何か出すか。
「朝食なら回収しておきました。」
「へ?」
「どうぞ。」
テーブルの上に出てくる、見たことがある深皿が一つ。
「あっ、回収してくれてたんだ。」
朝のサーフィ汁を回収しておいてくれたみたい。
「ありがとう。ダコアちゃん。」
「いえ。」
よし、これで朝ごはん代がういた。やっぱり食事を提供してもらうのは良い案だったんじゃないかな。
さてさて、早速改善はされたのでしょうか?
見た感じはスープは大分濁りが減ってるし、ハーブが仄かに香って羊肉臭がかなり抑えられてる。なかなかいい感じじゃあないですか?
其では実食。うん、ちゃんと塩味が効いてるし、臭みが抑えるられてるのがやっぱりいいね!うん、うまい!
「此れは大分いい感じだよ。」
「そうですか。」
その後は普通に美味しく頂いた。ダコアちゃんにも勧めたが相変わらず拒否された。ちょっと悲しい。
でも、この調子で上達してもらってレパートリーも増えれば、私が料理しなくても良いんじゃないかな?
まぁ何があるか分からないし、出来るようになってるに越したことはないかな?
と言うか、暇でやること無いから料理するんだったっけ?
う~ん・・・それじゃあ何を作ろうかな?




