実食と改善要望。自作もするかぁ。
さて、目の前にはなかなかに良い香りをさせている、サーフィちゃん謹製の汁もの、略してサーフィ汁があります。
そして机の横にはまるで監視するかのようにダコアちゃんが控えています。
・・・ん?何だろう。私の被害妄想かな?何か物凄い圧力を受けてる気がするよ?
ただサーフィ汁を食べるという行為が、何故こんなにもプレッシャーを感じるのか?
ま、まぁ食べますか。しかし、この匂いはかなり食欲を削いでくるね。羊肉が得意な人なら良いのかも知れないけど、私はちょっと・・・いや、結構駄目みたい。
と、とりあえずスープから行きますか!
「うっ・・・。」
羊肉の臭いがしっかりとスープに移っててきつい。そして、味が殆んどしない。これも後掛け仕様ですか?
「サーフィちゃん達は後掛けして食べてる?」
そうダコアちゃんに聞くと、サーフィちゃん達を映してくれる。
「ありがとう。・・・そのまま食べてるっぽいね。」
「そうですね。」
まじかい。こんな味気ないのは、あっちの濃い味付けに慣れた私にはとても食べれたもんじゃない。
「ダコアちゃん岩塩出して。」
堪らず塩を要求。
「どうぞ。」
お皿に載せた岩塩をすっと差し出すダコアちゃん。
「ありがとう。」
ごりごりごりっと、これでなんとか食べれるでしょ。
「あむっ、う・・・。」
むぐむぐむぐ、ごくん。うん、匂いはきついけど、味がすれば何とか食べられるかな。
「あっ、そうだダコアちゃんm「私は必要有りません。」・・・ま、まぁこれは仕方無いか。今度美味しいものを一緒に食べようね。」
「・・・・・・。」
これは・・・結構一緒に食べるハードルが上がってしまっただろうか・・・。
それから、匂いに苦戦しつつも何とかサーフィ汁を完食。
「ううう、これは改善させないと私がきつい。」
早速サーフィちゃんに改善要求をしなくては。
サーフィちゃん達はとっくに食べ終わって、片付けも終わらせて、何かの作業に入ってますね。
「サーフィ。話がある。」
〈ひゃっ!?ひゃいうさ。〉
噛んでるし♪相変わらず突然話しかけられるのは慣れない様で、そりゃそうですよね。お耳ぴーんと立ってる可愛い姿を見せてくれます。ぐへへ、ん、ん゛ん゛。
「先ず聞くが、あの食事をそなたらは美味と感じて食しているのか?」
ここは重要ですよ。ここの答え次第ではご飯作って貰おう作戦が挫折してしまいますよ。
〈え、えっとうさ。〉
「何かを責めようという訳ではない。あの味をどう感じているのかを知りたいのだ。」
〈・・・美味しくはないと思ってるうさ。〉
「うむ。では調理方法はいつも通りか?変えた事はあったか?」
〈肉と野菜が違ったけど、料理の仕方は同じうさ。〉
「ならば塩の分量はどうだ。後で掛けながら食べるということもしていなかった様だか?」
〈分量はいつもと同じくらいうさ。他の人族はそういった食べ方をしていると聞いた事はあるけど、私達はしてないうさ。〉
「そうか。塩の取りすぎは良くないが、お前達はもっと使って良い。その人数なら大量に使ったとしても尽きることは無いはずだ。」
〈分かりましたうさ。〉
「それから・・・・・・。」
そこから、ハーブを使った肉の臭み消し等の下処理や、煮ている時の灰汁取り等の改善点を教えた。
〈はぁ、そうなんですかうさ。〉
サーフィちゃんの反応はいまいち。まぁ実際にやってもらえば違いは分かってくれるでしょう。
「ふふふ、まぁ試して見ると良い。ではまたな。」
〈あっ、はい、分かりましたうさ。〉
ふう、取り敢えずはこんなもんかな。これで食事が改善されればいいね。
さてと、サーフィちゃんに伝えることは伝えたし・・・何しようかな?
う~ん・・・と言ってもやれることはそんなに無いんだよね。
AP稼ぎで出来ることは取り敢えずは無いし、やれる事と言えば自分の生活環境の向上かな?
それでもAP掛かるのは出来からねぇ。う~ん、そうなるとやっぱり料理くらいかなぁ。
「料理くらいしかやれること無いと思うんですよ。」
「・・・何ですか、突然。」
先程の思考の過程をダコアちゃんに話す。
「そうですね。確かにやれることは少ないですね。」
「と言う訳で、先ずは材料を生やそうと言う訳です。」
「そうですか。」
「カビロンちゃんに色々手伝って貰いたいからボス部屋に生やせばいいかな?」
野菜の収穫とかならまだ自分で出来そうだけど、木切るとか無理でしょ。だからカビロンちゃんに手伝ってもらいます。
「そうですね。拡張の予定があるのなら新たな階層を作ってもよいかと。カビロンについてはボス指定の解除をすれば移動の制限は無くなります。例え侵入者が来たとしても、ボス部屋に来るまでに再配置することは可能でしょう。」
う~ん、そうだなぁ。確かに料理していくようなら拡張して行く事にはなるだろうけど、それは料理がちゃんと出来たり、生産活動がちゃんとやれたらだよね。
「と言う事で、一先ずお試しって事でカビロンちゃんの部屋に生やそうと思います。」
「・・・そうですか。」
相変わらずの無表情だけど、何と無く落ち込んだ感じがするダコアちゃんを、こいこい、と手招きする私。
「・・・・・・。」
とことこと近寄って来るダコアちゃん。
「っ!?」
そこをすかさず捕獲し、定位置の膝上にオン。
「でも、ありがとうね。ちゃんと出来そうだったら新しい階層作って、本格的にやるよ。」
そう言ってダコアちゃんの頭をなでなでする。
「そうですか。」
何と無く機嫌が戻った気がするような気がする。まぁダコアちゃんを膝上に復帰させたので万事オッケー。
「さて、APもそんなに使えないけど、何を生やそうかな?」
まぁ、大体サーフィちゃん達の所に生やした物と同じ感じで良いだろうけど、どうしよっかな。
米と大豆も追加しておこうかな。やっぱり元日本人としては、ご飯でしょう。私もパックご飯にはお世話になった・・・んだと思う。
何でこんな微妙な表現かって。自分でやったという実感は全く無いんだけど、自分で作ってるような映像は頭の中に入ってる感じ。
何かすっごいもやもやするねこれ。
あ、大豆は味噌と醤油の自作を目指します。まぁ出来るかわ解らんけどね。
まぁ、さくさく生やしていきますか!
あ!でも、先ずはカビロンちゃんに生やす事を言わないとだね。
いきなり部屋に何か生えて来たらびっくりしちゃうもんね。
「と言う訳で、カビロンちゃんに繋いで下さい。」
「・・・どういう訳ですか。」
「えっとね・・・。」
さっきの思考を説明する私。
「・・・突然そこだけ言われても困ります。」
「あ、はい。そうですよね・・・。すみません。」
「・・・・・・。」
呆れつつも繋いでくれるダコアちゃん。
「ありがとう。」
そう言ってダコアちゃんの頭をなでなで。
「・・・・・・。」
「カビロンちゃん、カビロンちゃん聞こえますか?」
〈ぷ?ぷひ?ぷっぷ~ひ?(ん?マスター?侵入者来た?)〉
「えっ?ううん、侵入者は来てないよ。今回はちょっとお願いがあるんだよ。」
〈ぷっひ~、ぷひ?(そっか~、お願い?)〉
「そう、カビロンちゃんのいる部屋に色々生やさせて欲しいんだけど・・・。」
〈ぷひ~。(いいよ~。)〉
「でも、嫌な・・・って速っ!まだ何を生やすかとか言ってないんだけど・・・。」
〈ぷひぷひぷひぷっひ~?(マスターはぼくが嫌なことはしないでしょ?)〉
「まぁそうだけど・・・。」
〈ぷひぷっひ~。(だからいいよ~。)〉
う~ん。信用してくれるのは有り難いけど、私のする事だから、何かやらかしちゃわないか心配だよ。
「う~ん、分かったよ。でも、何か嫌なことがあったらちゃんと言ってね?」
〈ぷっぷひ~。(分かった~。)〉
「じゃあ、これから始めるから部屋の真ん中辺りに居てね?」
〈ぷっぷひ~。(分かった~。)〉
「カビロンは何と?」
「ん?えっとね~・・・。」
さっきのやり取りをダコアちゃんに話す。
「それは・・・テイム化したばかりで、そんなに高い信頼度があるわけが・・・。」
「そうだよねぇ。特に何かしたわけでも無いのにね。っとカビロンちゃんを待たせてるから早くやっちゃわないとね。」
さて何から生やそうか・・・。




