6.オススメをお願いします
今年も最終日ですね〜。あ、次回は短い上に主人公出てきません、はい。
どうも皆さん、異世界クソニートから最下級冒険者にランクアップした43歳新戸 風太郎です。早速薬草採取でもやろうと依頼パネルの近くに来たのですが、昼間っから酒を煽ってる、俺と張り合えるかもしれないクズが話しかけて来ました。
「よぉ、おっさん。流石に冒険者始めるの遅すぎね?村に帰って畑でも耕してろよ」
「私、そこそこ強いつもりですが」
「ブワハハハ!そんな、ちょっと筋肉がついたばかりみたいな体じゃゴブリン位しか狩れねぇよ!」
「おいマチョフ、それは言い過ぎ」
「そうだぞ〜」
「それはあれか?ゴブリンの方が圧倒的に強いってことか?」
「さすがに私でもゴブリンくらい狩れますよ」
「だとよ。だが、それは何年前の話かわかったもんじゃねぇけどな!」
「言えてるな!」
「「「アハハハハハ!」」」
「そうですか、そうですね。危険は嫌なので避けたいところですが、何事も挑戦です。ちょっとゴブリンの討伐依頼をやって来ますね」
「好きにしろや。けどあんまり無茶するんじゃねぇぞ〜」
「「「「「ワハハハハ!」」」」」
そう言って酔った男たちは元の席に戻って言った。暗に喧嘩を売ったつもりだったんだが、伝わりにくかったようだ。
その後、ゴブリンの討伐依頼を受け、街を出て、知恵の源にゴブリンを探してもらう。
『現在、ゴブリン達が5匹右前方の河原で休憩しているようです』
そうか、前のあのトロい速度の攻撃を元に考えるなら20や30居た所で確実に勝てる。
「じゃあ、案内よろしく」
『承知しました』
5分ほど歩いた所で茂みから河原を見ると、確かにゴブリンが休んでいる。さっさと倒すか。
「おっと、忘れる所だった。あいつらの弱点ってどこだ?
『人間と弱点は同じです』
おお、良かった。
「さて、異世界で初めての本格戦闘、いっちょ頑張りますか!」
そう言って気合を入れると俺は一歩踏み出した。
まず、1番近くにいるゴブリンの首を逆手に持ったコンバットナイフで深めに切り裂く。
「いーち!」
次に1番反応が遅いゴブリンに向かいつつ、他のゴブリンの攻撃を躱す。通り過ぎる瞬間に1体目と同じく、首を切り裂く。
「にーい!」
1番反応の遅かったゴブリンでも仲間が二匹やられる間に弓を引くことくらいは出来るようだ。でも、俺はゴブリンが矢を放った瞬間に右に半身をずらす。その直後、俺の心臓のあった位置を矢が通り過ぎていった。次の瞬間ゴブリンの喉笛をナイフで切り裂く。
どうやら狙いだけは正確なようだ。余談だが20メートルなら対物ライフルの弾丸さえ避けることのできる俺には通用せんよ。キ○ト君がやってたのを見て真似たら出来るようになった。
「さーん!」
弓を引き絞っていたゴブリンを気絶させている間に近寄ってきたゴブリンの攻撃を躱し、左足の踵で回し蹴りをし、気絶させる。
「よーん!」
4体目のゴブリンを倒す直前5体目は逃げに入っていた。ゴブリンの使っていた弓矢を使ってサクッと仕留める。
「らーすとッと」
このくらいならまだ余裕だな。
◆◇◇◇◆
「しかし、技も力もなんにも無かったな、ゴブリン」
『最弱種族ですし戦闘系スキルのレベルMAXを持っていて勝てなければ人類に未来はありませんよ』
「それもそうか」
そんな話をしながらギルドまで戻って来た。
「どうも。これをどうぞ」
「はい、ゴブリンの討伐依頼ですね。少々お待ちください………はい、証明部位36個ですね。依頼6回分相当を完遂となります。またのご利用をお待ちしております」
そう言って受付さんは少し頭を下げた。
「さて、帰るか。………あれ?」
しまった、宿をまだ見つけてない。
ここに来てまたも自分のミスが見つかった。
『別に宿をお金を払って使うことはないと思います。まぁ、マスターの考える通り風情は欠きますが』
そう、その通りだ。《自宅》があるから別に無理して取らなくてもいいが、せっかくの異世界。初日くらいは宿で寝たい。
「というわけで知恵の源、空いてる宿はない?」
『半径500メートル圏内に12件あります』
「じゃあ、所持金とかも考えてオススメに案内してちょーだい」
《あいあいさー、ですか?》
うん、合ってるよ。
◆◇◇◇◆
そんなやり取りを知恵の源としながら歩くこと数分、知恵の源が《ここです》と言った。
そこは、漫画やアニメで最近見ることの多い如何にも一階が酒場の宿屋だった。
中に入ると冒険者風の者や魔術師風の者でごった返しており、店員らしき女の子が3人、忙しなく注文を取ったり食事を持って行ったりしている。
「すみません、今日ここに泊まりたいんですが」
「はいよ!食事はどうする?有りなら銀貨3枚、無しなら銀貨1枚だよ」
「では折角なので食事も頂きます」
俺は懐(無限収納)から銀貨を3枚取り出して、配給をやっている女の子に似ているけど、ちょっと膨よかな女将と思われる女性に渡した。
「毎度!これはあんたの部屋の鍵ね。二階の手前から3つ目、右側だよ。食事は適当な席に座っとくれ。決まったら娘を呼びな!」
「あ、オススメをお願いします」
「そうかい、少し待ちなね」
そう言って、女将はカウンターに戻った。
空いていた席に座って待つこと数分、女の子が料理を持って来た。
「お待たせしました、ごゆっくり」
「どうも〜」
女将の面影があるが女将より細身でおしとやかな感じがする。そんな娘が持って来たのは肉と野菜に塩、胡椒を掛けて炒めた、所謂肉野菜炒めである。
「いただきまーす」
おっと、習慣でいただきますしてしまった。異世界に有るか分からない文化だ。余計なことはしないに限る。
っと、さっさとこの肉野菜炒めを食べるか。
「ん〜、素朴だがオツだな」
なんと言うか、素材の悪さを料理人の腕で誤魔化してる感じ。野菜の切り方や味付け、火加減にも細心の注意を払ってるな。ここまでやってこの位の味になるって、素材腐ってんのか?
そんなことを思いつつもしっかりと全て食べる。ニートになっても怒らなかった母が唯一怒った事があった。『食べ物の残し』は絶対に許されない。俺妹の親父さんが如く威厳に溢れる親父が、青い顔して青鬼のたけしの様にガタガタしてたのは鮮明に覚えている。
ごちそうさまでした。よし、今度は口に出さずに心の中にとどめた。
◆◇◇◇◆
部屋に行き、《自宅》のベッドより硬い宿屋のベットに寝転がる。
やりたい事は数えきれないほどあるが、取り敢えず出来ることを1つでも聞いておくか。今回はあれだな。MPについて色々聞くか。
知恵の源、昼間魔法使ったでしょ?ほら、ゴブリンと初めて会った時。
『はい』
MPどのくらい減った?
『2です』
随分少ないね。
『微調整しましたから』
で、MPってどのくらいで回復するの?
『20秒に1回復します』
随分回復早いね。
『効率的に魔素をMPに変換していますから』
そう。で、MPの上限増やすにはどうすればいい?
『お察しの通り、MPを限界まで使って、回復する時にMP上限が増えます。筋肉と似たようなものです』
MPを限界まで使った時の代償は?
『精神が疲弊して、強烈な睡魔が襲って来ます』
それならまぁ、問題ないな。
「よし、知恵の源。朝06:30頃に起きれるように調整しつつMP上限を増やしておいてくれ」
『承知しました』
よし、取り敢えずこれで《自動でMP上限を増やそう大作戦》は実行出来たな。寝よう。
こうして、俺の初日は終わったのだった。
『………風属性の微風を発動。風属性の微風を発動。風属性の微風を発動。MPの上限上昇を確認。風属性の微風を発動。風属性の微風を………』
私は別に寂しくありません、はい。グスン