第六話 かわいい剣士
小説って難しいですね
母さんが教えてくれることがもうなくなった。
俺はすでに、魔法使いだそうだ。
なんでも、他の物体に魔力を込めてコントロールするのが一番難しいらしく、魔法使いとして食ってる人でも、できなかったりするみたいなんだ。
そのイメージを実現出来る魔法使いなら純粋な自身の魔力で作った火や空気、水などに変えてどこでも出現させたり出来るって言われた。
正直実感がわかなかったんだけど、水をイメージして魔力を少し出すと水が現れた。
そしてコップに向かって引き寄せられるイメージで魔力をコントロールすると、見事水がコップに入った。
気が付かないうちに俺も魔法使いになっていたみたいだ。
そこで杖は使わなくていいのか聞いてみた。
母さんはこう言った。
杖は魔法を強化してくれるのよ。
聞くところによると、魔法をきちんとコントロール出来ない人は杖を使うとうまくいくらしい。
魔法をコントロール出来る人が使えば、魔力が効率よく変換されてより強力に正確になるようだ。
と、考え事をしていると俺の頭に重い衝撃を感じた。
「おい、型が乱れているぞセハン」
声がした方向を向くと木刀を手に持ちこっちを見ている父さんがいた。
「ご、ごめんなさい父さん」
俺が魔法使いになった日を境に父さんが俺に剣を教えてくれることになった。
剣の練習をしてもう一年は経つかな、季節は回ってまた春だ。
一年も剣を教えてもらっているけれど、こっちの才能はからっきしみたいだ。
「セハン、あなたまた変なこと考えてたんでしょ!」
頭をさすっていた俺にそんなことを言う少女がいた。
「変なことってなんだよ!メルシェ!俺はメルシェが今日も可愛いなって思ってたんだよ!」
彼女はメルシェ、近所に住む肩にかかるくらいの綺麗な金髪でいつも俺につっかかってくる女の子。
俺と父さんが剣の練習を家の庭でやっているとずっと見ていた。
で、俺が誘ってみると一緒にやることになった。興味があったみたい。
けど今ではメルシェの方が俺より強い。
僕より強い女の子もメルシェは言葉の通り、今日も可愛い。
けれどまだ六歳の子だからやましい気持ちは何もない。何もない。
「か、かわいいって…… からかうのはやめてよね!」
「からかってなんていないよ!本当にかわいいと思ってるよ!」
「そ、そう?そこまで言うなら信じてあげるわ」
メルシェはきれいな金髪を、左手の人差し指でくるくると巻いて照れ隠ししている。
「照れ隠ししているメルシェも可愛いなぁ」
「か、かわいいって言い過ぎよ」
「だって本当にかわいいからね!」
「そんなこと言うならセ、セハンだってかっこ…… 」
「こんなにかわいいメルシェのこと、あと十年もしたら好きになってしまうよ」
おっと、つい本音が口から出てしまった。
俺はロリコンではないけど十七歳くらいだったら大丈夫だろ。
こっち成人は十五歳だし。
「あと十年って!セハンのバカ!!!!」
メルシェはそう言うと右手に持っていた木刀を振りかざして俺に向かってきた。
「え、待って、なんで怒るの!?」
慌ててメルシェの剣を受けようと構えた俺を見て、父さんは笑いながらこんなことを言った。
「魔法はコントロール出来ても女心はコントロール出来ないってか」
うるせぇ。そう思いながら今日一番の衝撃を頭に受けた俺は意識を失った。
よろしければ感想お願いします。






