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第四話 魔法と剣

ご覧いただきありがとうございます。

ある程度成長するまでは飛び飛びになるかもしれません。

 「ふぅ、今日も疲れた」

 

 日も沈みかけ日課である魔法の練習を終えた俺は、自室入るとドアも閉めずに、藁に布をかけただけの粗末なベッドに寝っ転がる。

 魔法の練習と言ってもまだ魔法を教えてもらってはなく、体内の魔力を自由に扱えるようにする練習だけだ。魔法はそれが完璧に出来てかららしい。

 

 「本当にこれで強くなるのかな」

 

 俺が転生してもう四年が過ぎた。もうすぐ五歳の誕生日だ。今ではこちらの言葉をすべて聞き取れるし、話せるようになった。

 そして五年近く過ごすうちにだんだんとこの世界のことを理解してきた。異世界は一日にしてならず、だな。

 とにかく、俺が予想するにこの世界は地球と同じようなところだとは思う。一日の正確な時間はわからないけど、一年が元の世界と同じ日数だということはわかった。四季もある。ちなみに今は秋だ。

 だから、俺の誕生日は冬ってことだな。

 そして肝心なことだ、この世界にはスキルやステータスといったものが存在していなかった!

 二歳になって言葉がしゃべれるようになってきたとき、「ステータス」とかいろいろ言ってみても駄目だった。それから両親に聞いてもそんな物はないし、聞いたこともないって言われたよ。


 「それでも杖が光った時はチート能力に目覚めたと思ったんだけどなぁ」


 そう、四年前のまだ赤ちゃんだった俺が初めて杖に触って杖が反応したとき。

 あれはチート能力に目覚めたわけではなく、魔力の使い方を知らない赤ん坊なら杖が光って当たり前らしい。

 ヒトは訓練をしなければ常に体内の魔力が体からあふれている。その魔力と杖が反応して、光っただけだった。

 そして、肝心の魔力量も母さんの子供の頃より大差はなかったらしい。


 どうやら俺にはチート能力もなんもなかったみたいだ。

だからと言って強くなる道を諦めたわけではない、母さんに頼みこんで、地道に毎日練習を続けている。

異世界に来たからには冒険者になってみたいし。剣も覚えたいんだけど、まだ体が小さいから教わっていない。魔法剣士ってあこがれるよなぁ

と、そんなことを考えていると。

 

 「セハン、ご飯出来たわよ」

 

 母さんがペタペタと可愛い足音を鳴らしながら部屋に入ってきた。

 その言葉を聞いて俺は藁のベッドから起き上がった。


 「やったー!ご飯だ!」




 すっかり日も暮れ部屋の真っ暗になった外とは違い、魔法のランタンと暖炉に照らされた明るい食卓を家族で囲む。

 食卓の上には塩漬け肉とひよこ豆のスープ、昨日焼いたカチカチの黒パン、あとワインがあるがこれは大人向けだ。


 「セハン、今日の練習はどうだった?」


 今俺に話しかけてきた短く切りそろえた黒髪の男は俺の父親だ。昔は冒険者だったらしいが、今は引退して釣りや狩りをして獲った物を、村にいる色々な人たちと物々交換をして俺を育ててくれている。

 最初は魔物狩り!?って思ったけど魔力を持たない動物もいるみたいだ。


 「今日もいつもと同じように魔力練成の練習さ、早く魔法を使ってみたいよ」


 俺はカチカチのパンをちぎってスープに浸しながら、口をとがらせ拗ねるように言った。

 実際、体内にある魔力を巡らせる練習も楽しくないことはないんだけど、やっぱり魔法があるなら使ってみたい。


 「基礎が出来てないと大したことは出来ないのは何でも一緒だ、母さんはこう見えて結構実力のある魔法使いだったからな。お前は絶対に強くなるよ」


 「だといいけどね」


 食べる手を止めずに俺はそう言った。

 おいしそうにスープに浸したパンを食べる俺を、微笑みながら見つめていた母さんが、ワインを一口飲むと父さんの方を向いてそう言った。


 「ねぇヨハン、セハンももう五歳になることだし、そろそろ剣を教えてあげたら?」


 ヨハンというのは父さんの名前だ。母さんはセシル。俺はセハン。

 父さんは自分のグラスにワインを注ぎながらこう言った。


 「そうだな、セハンには明日から剣を教えてやろう。午前中は俺が剣を教えてやる、午後は母さんと魔法の練習だな」


 俺は食べる手を止め口の中に入っていた塩漬け肉を飲み込んだ。


 「本当に!剣を教えてくれるんだね!」


 父さんは注ぎ終えたワインを飲み干した。


 「あぁ、徹底的に仕込んでやる」


 そう言った父さんは悪い顔を浮かべながら僕のことを見ていた。



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