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日の国そして再会


この世界にきてまだ20分と言ったところだろうか。俺は今、早くも心が折れかかっている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


東京は現在真冬。かくれんぼをしていた奴らは寒さの中、必死で俺を探しているか、俺のことなど忘れて帰ってしまっているか。俺としては後者を望みたい。

帰ってしまっていたとしても別にもう向こうの世界にはいないわけだしまぁいいのだが...


さて、真冬ということはとても寒いわけだ。寒いと当然あったかーい服を着るよな?

かく言う俺も長袖のシャツの上に長袖の服を着てその上からさらにパーカーを着て下はジーパンの長ズボンという完全フル装備なわけだが、この世界にきてすぐ気づいたことがある。


それというのもこの世界。


「暑すぎんだろぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


はぁ?なんなの?ここはサウナか何かですか?それとも真昼の砂漠か何かなの?!

こっちは完全寒さ対策の服着てんのに容赦ねーなこの世界!!


「だめだ、、だんだん意識..が。」

このままいけばまず確実にぶっ倒れてぽっくり逝っちゃうことは容易に想像できた。


「とりあえず服だ。洋服店を探そう。」


そういって歩き始めて2分。話ははじめへと戻る。

もう心では分かっていた。ただそれを認めたくはなかった。

これがこの世界にきてまず最初の遥かに高い壁。

そう、それは。


「文字..読めねぇ...じゃん。。」ドサッ


文字が読めない。それは暑さで精神的にも肉体的にも瀕死状態だった俺にとどめを刺すには十分すぎるショックだった。かろうじて救いだったのは言葉は通じること。それはここにいたるまでになじみのある言葉が飛び交っていたので確認は取れている。別に文字が読めないからと言って洋服店が見つからないわけではない。そんなの見た目で判断できる。しかし問題はそこではなく文字が読めないという点である。

まったくをもって知らない言語を前にして俺はその場に倒れこんでしまった。


「この世界にきて30分もたっていないのに俺は死ぬのか…もっとやりたいことあったのになぁ...」


薄れゆく意識の中で最後に見たのは水色の髪に黄色い綺麗な瞳を持った一人のそれはそれは可愛い美少女であった。


_______________________________________________


あれから何分経ったのだろうか。目を覚ますと全く知らない場所にいた。さっきまでいた市街地でもないようだ。どうやら死んではいないらしい。


「ここは…誰かの部屋か…」俺はあたりを見渡した。

「そういえば俺確か意識を失う直前に超かわいい子に助けられたような…そしたらここはまさかあの子の家か??マジか。ここに来てやっと面白い展開になってきたじゃないか!!」

俺は心が弾むような気持ちでベッドから降りて部屋のドアを開けた。その瞬間かなり勢い良く開けたドアがドンっと鈍い音を立てて何かに当たる。


「おいゴラァ、もっと気を付けてドアぐらい開けやがれ!カスが!次やったらぶちのめす。」そう言いながら部屋のドアを蹴りつけて一人の大男が階段を降りて行った。


「あ、あはは、、、ずいぶんと強そうなお兄さんだこった。あぁ、殺されるかと思った。それにしてもあの子はどこにいるんだろう。俺も降りてみるか。」


部屋を出るとすぐ左に下に降りるための階段があった。

階段を降りる途中で看板があった。


「少しでも情報を手に入れれたら…」そう言って看板に目を移すが、

「やっぱ読めねーかー…」看板には全く見たことがない文字が並べられている。


「はは、、本当に優しくねーなこの世界。」


俺は異世界召喚されると何か一つはチート級の能力がつくと思っていたのだが、、今のところはそんな気配は何一つない。某異世界アニメのように死ぬと生き返るのかな?いや、考えるのはよそう。もしそうだとしても死にたくはないしな。


「なんか思ってた召喚とだいぶ違うなぁ。」


そうこうしているうちに一番下に来ていた。そこには扉が一つ俺を待っていたかのように佇んでいた。

キイィと言う音と共に開いたその扉の先に広がっていたのは俺を助けてくれた美少女とその家族たち、、

というわけではなく、さっきぶつかった大男の背中だった。


「なんかいろいろ台無し…」あの子の家じゃないということはここは一体何処なのだろうか。


「まずは確かめてみないとな」

文字を読めないことを忘れて外へ出て確認しに行こうとする馬鹿な俺。


(うわぁ、さっきのおっさんからものすんごい視線が…)なるべく視線を合わさないように外へ出ようとすると小柄なおじさんが話しかけてきた。


「よくお休みになられましたか?お客様。」


ん?お客様?なんのことだ?


「お客様って俺のこと?そっちのごつい方じゃなくて?」


「あぁ?」また睨まれた。いつ見てもおっかない顔だ。


あちらのお方もそうですがみたいな視線を小柄のほうが向けてきたので分かったがどうやらこのじいさんもあっちのおっさんとはあまり関わりたくないらしい。あくまで推測だがそんな気がした。

ま、見た目があれだし仕方ないが。


「えっと、お客様っていうのは一体?」


「覚えて無いのも無理ないでしょう。なにしろあなたは気を失っていましたから。」


そうだ。確か俺は暑さにやられて意識を失った。そこまでは何となく察しが付く。しかしそれと今この場所にいることは俺には理解できなかった。


「一つ聞きたいことがある。ここって何処?」その問いにおじさんは若干不思議そうな顔をしつつも答えてくれた。


「ここはアステルの中でも数少ない宿屋、アルメキアでございます。」


「宿?ってことは倒れた俺を助けたのは爺さんってことか?」


「いえいえ、あなたを助けたのは女の方でしたよ。その方がここまであなたを運んで1泊分の代金もお支払いになってお帰りになりましたよ。代金のことは気にしなくていいよ。とのことです。」


(やっぱり俺を助けたのはあの女の子か!ん?と言うことは俺は女の子に助けられた上に代金まであの子に負担かけたってことか。)


「ちょーーーーーー情けねーじゃん!!!」


突然の俺の雄叫びに爺さんは腰を抜かしそうになっていた。

こうしてはいられない。すぐにあの美少女を探し出してお礼かつ汚名返上しなくては。


「世話になったよ爺さん、ありがとな!やることできたからもう行くよ。」


「そうですか。お体には気を付けて。」


「さいごにひとついいか?」


「なんです?」

そう、今の俺には必ず必要になるであろうアイテム。それは、


「あいうえお表書いてくれない?」

文字が読めない以上このアイテムは必須である。


「はっはっは!そういえば読めないんでしたな。少し待ってくださいね。」

爺さんはすぐにそれを書き上げ俺に渡してくれた。


「ほんとありがとな!」


「異国から来たとなると色々大変ですな。」


「まぁ正確には異世界から来たんだけどな!それじゃ!」

そう言って俺は宿アルメキアを後にした。


「そうでしたか、異世界からはるばる...え?異世界?」


_______________________________________________


宿を出た俺は近くの広場に来ていた。

そこにあった看板をあいうえお表を頼りに読み進めていく。

分かったことは2つ


1.この世界には人間、獣人、悪魔、天使の四種族がいるということ。なんだか珍しい組み合わせだ。

2.この世界には日の国、水の国、氷の国、木の国の四つの大陸からなるということ。


「んでここが四大陸のうちの一つ、日の国アステルっていうわけか。」

しかしここで疑問に思ったことがあった。


「四種族いる割にはさっきから人間と獣人しか見てねーな。天使たちはどこにいるんだ?」

ひとりでにつぶやくと背後から聞き覚えのある声がした。


「天使は天界、悪魔は魔界にいるんだから当然でしょ。」

この声は忘れもしない。この世界にきて早くも心が折れかかっていた俺に希望を持たせてくれた人の声。


「き、君は」あまりの驚きに声が出ない。

会いたかった人にこうも簡単に会えるとは、、やっぱり俺には何か力があるのかもしれないとそのときはまぁ思い上がったものだ。


「その様子じゃ元気そうね。よかった!」

そう言って水色の髪に黄色い瞳を持った美少女がまるで天使のように微笑んだ。

どうも皆さん結城ソラです!まずはこの作品を読んでくださってありがとうございます!二話目の投稿ですがどうだったでしょうか、私の小説は一話一話を短く区切っていくスタイルで行こうかなと思っています。そのほうが読みやすいと思うので。少しでも面白かったのならうれしいです。

さてさていよいよ本格的に寒くなってきましたね。唇が乾燥していたいです。

皆さんも体には十分気を付けてくださいね。

それではまた次のお話で。

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