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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
83/124

第63話~迷宮攻略戦・ゴーレムとの死闘~

昨日のpvがまさかの10000超え

((((;゜Д゜)))マジデ?


しかも初めてのレビューがつきました!

レビューをつけてくださったSoumaさん、ありがとうございます!


さて、今回は騎士団達が………と言いたいところですが、いきなり戦闘入ります。


ずっと戦闘描写が少なかったし………

 此処は、ヴィステリア王国のとある迷宮の最奥部。


 其所では魔物の咆哮らしき声と、少なくともこの世界では聞こえる筈の無い、ジェット機の轟音が絶えず響き渡っていた。

 その音の正体は言うまでもなく、神影とエーリヒだ。

 ヒューズでエレインやリーネ達と別れてからも鍛練を続けていた2人は、その日、攻略しかけていた迷宮の制覇に向けてラストスパートを掛けており、今はボスとの戦闘中なのだ。


 因みに彼等の相手は、身長10メートル近くと言う体格を持つ鋼鉄の巨人、所謂ゴーレムだ。

 しかも、それが3体。


 このラスボス達との戦いは既に数時間にも及んでおり、彼等の体や装甲の所々についた傷が、じわじわとダメージを受けてきた事を物語っていた。


「ジェノサイド1、AGM-65、発射(Rifle)!」

「ジェノサイド2、Guns Guns Guns!」


 神影が纏っている攻撃機、A-10ことサンダーボルトⅡから放たれる空対地ミサイルや、同じ機体を纏ったエーリヒが発射した7砲身ガトリング砲、GAU-8の30㎜弾が、巨大ゴーレムに叩き込まれる。


「ちっ!何だよ彼奴の体、めっちゃ頑丈じゃねぇかよ!」


 だが、何事も無かったかのように煙の中からぬうっと現れ、その野太い腕を振るう巨人に、神影は悪態をつく。

 振るわれた腕を避けて安心したのも束の間、今度は別のゴーレムが、その大きな手に掴んだ何個もの岩を一纏めにぶん投げ、神影の腰に装着されている2機のエンジンの内の1機に命中させ、破壊したのだ。


「あー、クソッ!あの野郎、岩ぶつけて右のエンジンカウル壊しやがったな!?イラク戦争じゃねぇんだぞ!」


 黒煙を噴き上げている部分を見ながら、神影は吐き捨てる。


 因みに実機のA-10は、片方のエンジンや外翼等を失っても飛び続けられるように設計されている他、300ヶ所以上に破孔を生じたり、滞空ミサイルで片方のエンジンを失いながらも生還出来る程のタフさがあり、それは神影達が纏っているものにもしっかり受け継がれている。

 だが、どの道自分達に不利な状態になった事に変わりは無いのだ。


「うおっ!?」


 そんな中、1体のゴーレムがぬうっと神影の前に現れ、腕を大きく振りかぶる。


「………!こん、のぉ!」


 残された1基のエンジンを全開にして速度を上げた神影は、何とか避ける事に成功し、ゴーレムの股下を通り抜けて背後を取り、お返しとばかりにミサイルやロケット弾での攻撃を連発するが、それらは傷こそつけるものの、致命傷や撃破には至らなかった。


「(くっ………これまでの鍛練でレベルも80になって、戦闘機以外の強力な航空機を使えるようになったけど…………やっぱり、未だ強い奴はウジャウジャ居るって事か………!)」


 ゴーレム達に機銃掃射やミサイル攻撃を喰らわせながら、エーリヒは内心呟いた。


《スローター、未だ飛べる!?》

《ああ、一応な!でもさっきと比べりゃ、やっぱり機動力は格段に落ちてやがる!》


 そう返事を返してくる神影だが、そんなやり取りを交わしている間にも、ゴーレム達は2人を叩き潰すべく、野太い腕を振りかぶって襲い掛かってくる。


「(このまま航空機で攻撃しても、相手があれだけ頑丈じゃ分が悪い………こうなったら、一か八かだ!)」


 ある事を思い付いたエーリヒは、空いている左手に魔力を集中させ、禍々しい色の球体を作り出す。

 その球体と同じ色のスパークが彼の身体中を迸り、野球ボール程度の大きさだった球体は、何時の間にかスイカ並みの大きさにまで膨れ上がっていた。


「(ちゃんと狙え…………ちゃんと狙うんだ………!)」


 突き出した左手をゴーレムに向け、発射するタイミングを狙うエーリヒ。


「(頼む………コレを考え付いてからの初めての1発、上手く撃たせて!)」


 その願いは誰に向けてのものだったのか、次の瞬間、エーリヒはずっと溜め込んできた魔力を一気に解き放った。


「"地獄砲ヘル・ブラスト"ッ!!」


 解き放たれた禍々しい光線は、神影に腕を振り下ろそうとしていたゴーレムを真横から撃ち抜き、首の下から腹までの部分を、まるで達磨落としのように消し飛ばし、偶然にもその先に居たもう1体のゴーレムの分厚い胸を貫き、それでは足りないとばかりに壁へと向かっていき、その向こうへと消えていく。

 光線が全て吸い込まれていった頃には、その壁に巨大な穴が出来ていた。


「「───ッ!?」」


 突然受けた、先程までの攻撃とは比べ物にならない威力での攻撃を受けた事に驚くかのように動きを止めたゴーレムは、その場にゆっくりと倒れ伏し、動かなくなった。


「はぁっ、はぁっ!…………ははっ、ざまあみろ」


 緊迫した中での長時間の戦闘に加えてフルパワーでの攻撃。

 最早エーリヒの体力は限界を迎えており、喘ぎ喘ぎに言葉を捻り出す。

 だが、エーリヒは1つ、重大な事を失念していた。


「あっ」


 この最奥部の部屋に居たゴーレムの数が、3()だったと言う事を。


「くぅ………!」


 大急ぎで離脱を図るものの、時既に遅し。

 ゴーレムは無表情なまま、その野太い腕を降り下ろ───


「うおらァッ!!」


──そうとして、横から怒号と共に突っ込んできた神影に()()()()()


「えっ………?」


 それを見たエーリヒは、自分の目が信じられなかった。


 ゴーレムと言う単語から思い付くものと言えば、先ずは『大きい』、その次に『重い』となるだろう。

 特に後者の場合、その見た目や倒れた時の衝撃から容易に想像出来る。

 個体によって差はあるとしても、その重量の単位がトンになるのは確実だろう。

 そんな相手を、遥かに小柄で、生身の体重なら100㎏にも満たない少年が、機体を纏っての体当たりで吹っ飛ばしたと言うのだから、エーリヒの反応は、ある意味当然のものだった。


 そして、フッと力が抜けたエーリヒは、壁に沿ってゆっくり旋回しながら高度を下げていき、墜落した。

 胴体着陸同様に地面に叩きつけられたエーリヒは、何度も地面をバウンドしながら部品を其処ら中に撒き散らし、漸く止まった。


「ぐぅ………」


 何が起こったのかと辺りを見回そうとするエーリヒだが、肝心の体は、彼の思うようには動いてくれない。

 "航空傭兵"と言う天職の補正で強力なステータスを手に入れている彼でも、やはり長時間戦い続けた上にじわじわとダメージを受けていたとなれば、動けなくなるのも当然だった。


「み……ミカ、ゲ………?」


 姿が見えないパートナーの名前を呟いた次の瞬間、ちょうどエーリヒの"地獄砲"によって出来た巨大な穴の向こうで大爆発が起き、何かが絶叫と共に物凄い速さで飛んできた。


「ぐふぇぇっ!?」


 そして壁に叩きつけられ、おおよそ人のものとは思えない声を発した後、ズルズルと滑り落ちてエーリヒの横に寝そべった。


「…………?」


 痛みに耐えつつ顔を向けると、其所にはボロボロでありながら、辛うじて先程とは別の機体のものだと分かる装甲を身に纏った神影が居た。


「ククッ………揃いも、揃って………ズタボロだな、俺等」

「………だね」


 そんなやり取りを交わした2人は、血塗れになった顔に笑みを浮かべ、互いに小さく笑う。

 彼等が纏っていた機体は、今や完全に飛行不能となっている。

 体にも幾つもの傷が刻み込まれており、全身血塗れだ。


 そんな状態で笑い合う彼等は、第三者からは異常に見えるだろうが、生憎、此処には神影とエーリヒを除いて誰も居ない。

 ゴーレム達も、全て機能を停止している。


「まぁ、あれだ…………一先ず、あの巨人野郎共に勝った………って訳で」

「うん」


 そう言って、2人はゆっくりと拳を突き合わせて言うのだった。


「「よく(Well)やった(done)」」



──────────────



 ゴーレム達との死闘を終えた神影達が迷宮最奥部の部屋で寝転がっている頃、迷宮の外は暗闇に包まれ、そんな中では月や星が、まるで自分達が主役だとアピールするかのように輝いていた。

 そして今、ルビーンの裏にある森の中には、2人の少女の姿があった。

 生い茂る草を掻き分けながら進む彼女等は、正に奴隷服と言う単語が相応しい程にボロボロの服に身を包んでおり、フラフラになり、時には木の根に足を引っ掻けて転びながらも、森の中を進んでいく。


「はぁ、はぁ………ホラ、急いで」


 前に立って進む白髪長身の少女が、後ろからついてきている相方に言う。


「はぁ、はぁ……んっ、ぐぅ…!」


 だが相方には、最早言葉を返す余裕も、薄汚れた顔を流れる汗を拭えるだけの体力すら残されておらず、ただポニーテールに纏められた濃い桃色の髪を揺らしながら苦しそうに喘ぐだけ。

 一体何れだけの距離を歩いてきたのか、裸足で歩く彼女等の足には幾つもの切り傷が浮かんでおり、今にも倒れそうと言わんばかりに震えている。

 だが、こんな場所に何時までも留まっている訳にはいかないと、少女は相方の手を引く。


「ホラ、頑張って………もう少し、もう少しだから…………!」


 そう言うものの、何処まで行けばこの森が終わるのかは、彼女にも分からない。

 未だ何㎞も続くのか、それとも本当に出口が近いのか、そんな事も。


「お願い、歩いて………!帝国の奴等が、追ってきたら………!」


 必死になって言う少女だが、その呼び掛けは何の効果も出さなかった。

 何も答えず、ただフラフラと立つだけだった相方が、そのまま倒れ込んできたのだ。


「くっ、こんな時に………!」


 そう悪態をつきながら、残り少ない体力を振り絞って相方に肩を貸し、少女は歩き出す。

 ロクに足元も見えない道なき道を、ただ無心に前へ前へと歩くこと数分。視界全体に広がる景色に、若干の変化が訪れた。

 視界を覆う緑の奥に、黒い点が映ったのだ。

 それは歩みを進めるにつれて大きくなり、少女は、長く続いた森の終着点に来た事を悟った。


「や………やっ、た………遂に、遂に………出口、が………!」


 目を輝かせ、歩く速度を上げようとする少女。

 今の彼女に、この先に何が待ち受けているのかを考える余裕など無い。ただ、長く続いた森から出られると言う嬉しさが、彼女を動かしていた。

 そして彼女は、後1歩踏み出し、茂みを越えれば森から出られると言うところで力尽き、相方諸共倒れ込んだ。



 今、茂みの向こうで倒れている2人の少女に気づく者は、誰も居ない。

如何でしたか?戦闘機で無双劇を繰り広げていた神影達ですが、たまには苦戦するのも良いかも思って今回の話を書きました。


騎士団&勇者の話が読みたいと言う皆様、申し訳ありませんが、もう暫くお待ちをm(__)m


さて、後半に出てきた2人の少女とは………!?

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