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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
81/124

第61話~ジェノサイド隊の航空ショー~

やっと書けた………


どんな文章にしようかと考えてたら10日以上経ってましたよ………orz

「さあ、皆様。此方ですぞ」


 エレインとリーネの護衛任務を終えた神影達は、エレイン達の故郷であるヒューズの村長に連れられ、彼の自宅へ来ていた。

 "黒尾"に狙われるだけあって自宅は大きく、エレイン達が住む教会と並んで、村で最も目立つ建物だと言っても過言ではなかった。

 庭園付きである上に襖がある事を聞いた際、この家を建てたのは、自分より前にこの世界へ来た日本人なのではないかと神影が内心呟いていたのは余談である。


「帰ったぞ、ルドミラ」


 神影達に家へ入るよう促し、ルドミラへ声を掛ける村長。

 すると、ススッ………と襖が開く音が小さく響き、部屋からルドミラが出てきた。


 先程、村長が『明るくなった』と評していたように、ルドミラの顔からは以前までの陰りがすっかり消えており、"黒尾"のアジトに居た時の暗い雰囲気から一転し、おっとりした優しい美女の雰囲気を纏っていた。


「お父様、お帰りなさ………ッ!?」


 父親を出迎えたルドミラは、続いて入ってきた面子に驚き、目を見開いた。


「エーリヒ殿とミカゲ殿だ」


 村長が言うと、エーリヒは笑みを浮かべて手を振り、神影も軽く頭を下げて会釈した。

 それから、エレインやリーネ、"アルディア"の3人が続いて入ってくる。

 "黒尾"の一件での関係者が、村長宅に勢揃いした瞬間だった。


「あらあら、皆様お揃いで」 


 流石にこれ程の人数が来るとは思っていなかったのか、目を丸くするルドミラ。


「見ての通り、エレイン殿とリーネ殿がお帰りになられてな。エーリヒ殿達は、その護衛をしてくださったのだ。奥の客室で、彼等をもてなしなさい」


 その言葉に頷いたルドミラは、エーリヒ達を先導して客室へと向かうのだった。



──────────────



 客室に案内された一行は、出された茶を飲みながら旅の疲れを癒していた。

 部屋は和室となっており、日本風の落ち着いた雰囲気に、神影は両足を投げ出して寛いでおり、"アルディア"の3人やエレインも、思い思いに満喫していた。 


「お~い、誰かこの状況を何とかしてくれませんかねぇ?」


 だが、そんな中で1人だけ、寛げていない者が存在した。

 

 両サイドをリーネとルドミラと言った、スタイル抜群の美女、美少女に挟まれ、腕を抱かれると言う羨ましい光景を見せつけているエーリヒが、気まずそうな表情を浮かべていた。


「何とかって……………別に、疚しい事してる訳じゃないから良いんじゃね?」

「いや、そう言う問題じゃないよ!僕のメンタルがヤバいんだよ!」


 他人事のように言う相棒に、思わず盛大にツッコミを入れてしまうエーリヒ。

 今、彼の両サイドでは、嬉しそうに抱きついているルドミラを、反対側からリーネが睨むと言う光景が広がっている。

 神影達と同じようにのびのびと寛ぎたいエーリヒからすれば、今の状況は到底寛げるようなものではなかった。

 しかも、腕を抱かれている事によって、彼の両腕が2人の豊満な胸の谷間に挟まれるようになっており、それによって、理性もガリガリと削られていた。


「エーリヒさん、そんなに叫んではリラックス出来ませんよ?」


 そう囁くと、誘惑するかのように更に密着するルドミラ。

 そして、ルドミラに対抗心を燃やしたリーネが、負けじと体を寄せてくる。

 そんな彼女等に、エーリヒは内心で『誰のせいだ』とツッコミを入れていた。


 ルドミラは、以前のような暗い雰囲気が抜けた事によって、彼女が持つ大人の色気が発揮されており、リーネの場合は、妹のような可愛さに加え、エレインに劣らぬ豊満な体つきをしている。

 このような美女、美少女に抱きつかれれば、普通の男なら即座に堕ちているだろう。

 エーリヒが何とか堪える事が出来ているのは、日頃の鍛練や、学生時代に受けた理不尽な扱いに耐え続けてきた事によって、知らず知らずの内に精神が鍛えられていたからだと言えるだろう。

 

「いやはや、まさか娘に続いてリーネ殿まで…………中々見せつけてくれますねぇ、エーリヒ殿は」

「全くですなぁ」


 そう相槌を打って笑う神影だが、彼自身もアメリア達現地人組に加え、沙那や桜花から好意を寄せられており、ルージュのギルドにおいて、神影はアメリア達現地人組から何度もアプローチを受けていた。

 見せつけていると言う点では、彼もエーリヒと大して変わりは無いだろう。

 現に今、神影は何時の間にか寄ってきていたニコルに膝枕をさせられており、アメリアやオリヴィア、エレインも、次は自分にしろと言い寄っているのだから。


「ほっほっほっ…………我等の恩人は、とんでもない大物だったようですなぁ」


 そんな彼等を見て何の突っ込みも入れず、ただ微笑ましげに笑っていられる村長も、ある意味大物だと言えるだろう。



──────────────



「…………まさか、こんな事になるとは思わなかったね」

「ああ、全くだぜ………」


 あれから暫く経ち、村長宅で出された昼食を終えた神影達は、村の外へ出ていた。


 今、ヒューズへの門の前には、零戦を身に纏った神影とエーリヒが並び立ち、それを村長やルドミラを筆頭としたヒューズの村民やアメリア達が見守ると言う、何とも奇妙な光景が出来上がっていた。


「ルドミラさんが村長さんに戦闘機の事を喋っちまっていたとは…………流石に予想外だったな」


 溜め息混じりに呟いた神影に、エーリヒは相槌を打った。


 食事中、"黒尾"の一件に関する話になった神影達だが、その際、たった2人でどうやって"黒尾"を壊滅させたのかと言う話になり、神影達がどのように話したものかと悩んでいると、彼等からの口封じを受けていないルドミラが、"飛行能力を持ったアーティファクト"と言う単語をうっかり口走ってしまったのだ。

 そして、その意味深な単語に村長が興味を持ち、是非見せてほしいと言う話になったのである。

 因みに、彼等が纏っているのがジェット戦闘機ではない理由は、低空飛行をする際、風圧で木造の民家を吹き飛ばしてしまう事を防ぐためだ。

 エレイン達の教会や王都の建物のように頑丈な煉瓦造りなら話は別だが、この村の民家は、お世辞にもジェット戦闘機の風圧に耐えられそうになかったのだ。


「まあ、航空ショーは何時かやってみたいと思ってはいたが…………こんな形でやる事になるとは………」


 出来るなら、これまで生活拠点とし続けてきた事によって信頼出来る者の多いルージュやルビーンでやりたかったと、神影は嘆く。

 ヒューズの村民達を信頼していない訳ではないとは言え、その日に出会ったばかりの者と、何度も出会い、挨拶を交わしてきた者。どちらが信頼出来るかは言うまでもないだろう。


「まあまあ、ミカゲ。そうやって何時までも嘆いたって仕方無いよ。それに、村長さん達も他言無用を約束してくれたんだし」


 苦笑混じりに宥めたエーリヒは、直ぐ傍に居る村長に目を向ける。

 彼の声が聞こえていたのか、村長は頷いていた。


 神影やエーリヒから他言無用を頼まれた際、ルドミラを始めとする村の女性を無事に救出した上、本来なら神影達の戦利品になる筈だった金品を何の見返りも要求せず全て返還してくれた恩人からの頼みを無下にはしないと豪語していただけあって、その頷きには力強さがあった。


「………まあ、そう言う事なら良いんだけどさ」


 そう言った神影は、零戦のエンジンを始動させる。

 排気口から時折火を噴きながらプロペラが回り、それによって起こる風が周辺の草を揺らす。

 エーリヒも同様にエンジンを指導させ、離陸の準備を整えた。


「ふぅ…………それじゃあ行くぞ、エーリヒ」

「了解。何処までもついていくよ!」


 そうして2人は、足の裏から競り出た車輪を転がして前進する。

 それから徐々に速度を上げ、離陸して機体を飛行モードに移行させると、神影達は村民達の頭上を縦横無尽に飛び回る。


 神影が"僚機念話"でエーリヒに指示を出し、エーリヒがそれに従って動く。

 急旋回のブレイクを始めとして、並列で飛び、更に蛇行する事で互いの飛行軌跡を交差させるシザース。互いに背を向けるようにしてのバレルロール等、様々な空中機動マニューバを繰り出す神影達。


 "空中戦闘技能"による操縦技術の補正と、神影が"僚機念話"を用いて出す指示によって一切の乱れを見せない彼等の動きに、アメリア達はすっかり見入っており、一旦散開して大きく距離を取った2人が高速で接近し、そのまま接触スレスレで擦れ違った際には歓声を上げていた。


「(さて、そろそろ終わりにしたいところだが………どうやって終わろうかな?)」


 内心そう呟いた神影は、航空ショーでのクライマックスのように、何かしらの演習をして終わりたいと考え、エーリヒに相談する。


《う〜ん、そうだねぇ………》


 そう返したエーリヒは暫く黙るが、神影はこの時、彼に聞いた事を内心で後悔した。

 "航空傭兵"の天職を手に入れた事により、多少は航空兵器に関する知識を得てきたエーリヒだが、当然ながら、彼は航空ショーなど見た事が無い。そのため、どのような演出をすれば良いかと聞かれても、答えられるとは到底思えなかったのだ。


「…………」

「(あ~、こりゃ駄目かな)」


 自分の横を飛びながら考えるエーリヒを見た神影は、無理に案を絞り出そうとしなくて良いと伝えようとするが、それより先に、エーリヒが目を見開いた。


《ねえ、ミカゲ!今すっごく良いアイデアが浮かんだよ!》


 興奮しているのか、"僚機念話"のお陰で大声を出す必要も無いのに声を張り上げるエーリヒ。

 一瞬ぐらつきそうになるのを何とか堪えた神影は、その内容を訊ねる。


 エーリヒが考え付いたのは、村民達の頭上を低空飛行で通過した後、上昇しながら散開してフレアを撒くと言うものだった。


《………と言う感じでどうかな?最後を飾るには良い演出だろ?》

《そりゃそうだが、零戦にはフレアなんてねぇし……………最後でジェット機に変えるのか?》


 フレアを撒いて最後を飾るなら、そうする以外に方法は無い。だが、その質問に対し、エーリヒは指を左右に振った。


《チッチッチッ…………甘いねぇ、ミカゲは》


 ニヤリと笑みを浮かべ、何処か小馬鹿にするような言い方をするエーリヒ。


《態々機体変更なんてしなくても、フレアは撒けるのさ。まあ、あくまでも似たようなものだけど》

《似たようなものって…………何だ、フレアの代わりに魔法でも使うってのか?》

《その通り!》


 お見事!と言わんばかりに、エーリヒはローリングする。


《あの模擬戦の前に僕が教えた事、覚えてるよね?あれを使うのさ》


 エーリヒが言うには、体の一点に魔力を集中させ、その場所から撃ち出すと言うのを応用し、フレアの代わりに魔力弾を撒き散らすと言うものだった。


《それに今回は、威力をつけなくても良い。ただポンポン出すだけで良いのさ。こうやってね!》


 そう言って神影から距離を取り、背面飛行に移るエーリヒ。

 そして彼は、腹部から様々な属性の魔力弾を撃ち出した。

 炎、水、雷等、属性の違いのために色の違う魔力弾が次々に撃ち出される。

 勿論、それらは攻撃のためではなく単なる演出のためなので、撃ち出された数発の魔力弾は直ぐに勢いを失い、消えていった。


《ね?コレなら機体変更する必要なんて無いだろ?》

《確かに、そうだな。村民達も絶賛してるみてぇだし》


 彼等の下では、エーリヒの手本を見た村民達が歓声を上げている。

 全員が、見た事の無い空飛ぶ鎧や色とりどりの魔力弾による演出に夢中になっていた。


《さあ、行こうよミカゲ!この航空ショーも、いよいよクライマックスだ!》

《おう!》


 そうして2人は、反転して再び村民達の方へと向かっていき、頭上に差し掛かった瞬間、散開しながらフレア代わりの魔力弾を撒き散らす。

 最後を飾るに相応しい演出に、村民達は歓声を上げ、ある者は上空でフヨフヨ漂い、徐々に消えていく魔力弾を指差してはしゃいでいる。


「(戦闘機って、元々こう言う事をするためのモンじゃねぇけど…………まあ、たまにはこう言うのも悪くねぇかもな)」


 内心そう呟いた神影は、"僚機念話"でエーリヒと互いに労い合った後、2人揃って降り立ち、村民達から称賛の言葉を受けながら村長宅へ戻って寛ぐのだった。

突然ですが、21日から27日までの約1週間、自分が住んでる町の企画(的なヤツ)であるオーストラリアへの研修旅行に行ってきます(詳しくはハーメルン版での自分の活動報告をお読みください)。

そのため、21日から27日までは、感想やメッセージをくださっても返信出来なくなってしまうのでご了承下さい。


次回、神影達はルージュへ帰ります。

そろそろ、あのキャラとこのキャラを出したいな…………

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