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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
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第59話~任務完了~

登場人物紹介書きたいけど、載せる予定のイメージCVが未だに思いつかない。

おまけに神影達が使える航空兵器の設定を書くタイミングが中々掴めない。

ホント俺って奴は………(´;ω;`)

 神影とエーリヒが逃げ出した3匹のマッドウルフを討伐している頃、エーリヒからの指示でその場に残っていたアメリア達"アルディア"の3人は、ニコルの回復魔法で傷や疲れを癒し、魔石の回収を行っていた。


「………良し、コレで全部ね」

「ん………」

「後は、さっき逃げていった3匹の分だけだね。まあ、その3匹が討伐されてたらの話だけど」


 回収した魔石を数え終えた3人は、未だにエレインとリーネを覆っている結界の傍に腰掛ける。


「お疲れ様です、皆さん」


 結界の中から、エレインが労いの言葉を掛け、リーネが軽く頭を下げる。

 彼女等3人を回復させてやりたかった彼女等だが、結界が解除されないために外へ出る事が出来ず、こうして結界の中から労う事しか出来なかった。


「ごめんなさい。私達も何か力になれたら良かったのですが………」


 申し訳無さそうに言うエレインに、アメリアは気にするなとばかりに微笑を浮かべ、手をヒラヒラ振った。

 彼女にとっては、道中の魔物の対処は勿論、その後始末も自分達の仕事なのだ。


「ミカゲ………大丈夫、かな……?」


 不意に、ニコルがそんな事を呟く。

 彼女が気にしているのは、神影がオリヴィアを庇ってマッドウルフからの噛みつき攻撃を受けた事だ。

 幸いにも腕を持っていかれるような事にはならなかったが、噛みつかれた部分は間違いなくズタズタになっているだろう。

 現に、噛みついていたマッドウルフを吹っ飛ばした直後にチラリと見えた神影の右腕は、噛まれた部分が見るも無惨な姿になっていた上に一部が引き裂かれており、それをオリヴィアは、鮮明に覚えていた。

 

「……………」


 それを思い出し、オリヴィアは表情を曇らせた。

 目の前の魔物の対処に集中していたために背後の敵に気づかず、それによって、神影が自分を庇って負傷すると言う結果を招いてしまった事への罪悪感を抱いていたのだ。


「あっ……えっと………違うの、オリヴィア……」


 それを見たニコルが、彼女を責めているのではないと慌てた様子で説明する。


「だ、大丈夫ですよオリヴィアさん!ミカゲさんの腕の傷なんて、きっと先生が治しちゃってますよ!」


 リーネが励まし、エレインやアメリアも頷いた。


「そうだと良いけど………」


 そう言って、オリヴィアは神影達が飛んでいった方向へと目を向ける。


 何と無く気まずい雰囲気の中、彼女等は神影達の到着を待つのだった。



──────────────



 その頃、逃げ出した3匹のマッドウルフの討伐と魔石の回収を終えた神影は、歩きながらエーリヒからの治療を受けていた。

 エーリヒの回復魔法により、マッドウルフの噛みつき攻撃によってズタズタにされた右腕は新品同様になっており、傷が嘘のように消えていた。


「あの犬っコロ、首振ってズタズタに抉りやがって………お陰でスゲー痛かったっつーの」

「そう言う割りにはリアクション薄かったし、平気な顔で機銃ブッ放してなかったっけ?」

「………うっせぇやい」


 ニヤニヤしながら言うエーリヒの頭を、神影は小突く。

 噛みつかれた上に、首を振る事でその部分を抉られて痛かったのは確かだが、絶叫する程のものとは感じられなかったのだ。


「(コレもステータスが上がって、強力な特殊能力を手に入れたお陰かな………)」


 一切の手加減無しで噛みつかれた上にその部分を抉られるなど、普通なら絶叫ものだ。痛さが半端ではない。

 未だ弱かった頃の自分なら間違いなく、痛さのあまりに絶叫しながら地面をのたうち回っているだろう。

 それに、そのまま腕を持っていかれても不思議ではない。

 だが今では、激痛こそ感じたが絶叫するには至らず、そのまま反撃する事が出来るようになっている上に、ズタズタにされたものの、腕は持っていかれずに済み、エーリヒからの治療で何の問題も無く使えるようになっている。

 それらは全て、勇者を凌駕する程に高いレベルやステータス値、それから"物理耐性"と言った強力な特殊能力の賜物だと言っても過言ではないだろう。


「それにしても、やはり前みたいな急成長は出来ていないようだね。レベルが2しか上がってないよ」


 不意に、ステータスを確認していたエーリヒがそう言った。 


「まあ、仕方ねぇよ。レベルが高くなればなる程、次のレベルに上がるために必要や経験値の量が増えるってのは当然だからな」


 口ではそう言う神影だが、次の世代の戦闘機を使用出来るようになるまでの道のりが遠い事を改めて思い知らされ、内心では溜め息をついていた。

 それに加え、何時になったら戦闘機以外の航空兵器が使えるのかも分からないため、若干のもどかしさを感じていた。


「おっ………ミカゲ、あれ見て」


 エーリヒが神影の肩を叩き、前方を指差す。

 彼が指差す先には、2人の名を呼びながら大きく手を振る、アメリアやニコル達の姿があった。


「ホラ、行ってあげなよ。可愛い彼女さん達が待ってるよ?」

「………あのなぁ、エーリヒ。一応言っておくが、俺と彼奴等は恋人じゃねぇからな?」


 呆れたような眼差しを向けて言う神影に、『分かってるよ』と言いながら手をヒラヒラ振るエーリヒ。


「でもね、ミカゲ。君はあの3匹が逃げ出した時、彼女等に何も伝えず飛び出したんだ。君の強さは分かっていても、きっと心配してるよ?それでものんびり行くと言うのかい?」

「うぐっ………」

 

 エーリヒの正論が、神影の胸にグサッと突き刺さる。これはある意味、あのマッドウルフの噛みつき攻撃以上の威力だ。


 城を出てからの生活で、神影は確かに強くなった。それは、ずっと一緒に生活していたエーリヒは勿論、アメリア達も嫌と言う程理解しているだろう。

 だが、それとこれとは話が別だ。

 幾ら強くても、いきなり飛び出されたら誰でも驚くし、心配もする。

 しかも神影は、オリヴィアを庇って腕に傷を負ったのだから、尚更の事だ。


「さあ、ミカゲ。これから何をするべきなのか…………もう分かってるよね?」

「………ああ」


 神影が頷くと、エーリヒは満足そうな笑みを浮かべて言葉を続けた。


「じゃあ行っておいで。早く無事な姿を見せて、彼女等を安心させてやるんだ」


 その言葉に押されるかのように飛び出した神影は、アメリア達の方へと駆けていく。 


「………全く、ホント恋愛面では世話が焼けるよなぁ。ミカゲは」


 到着するや否や、アメリア達に飛び付かれている神影を見ながらそう呟いたエーリヒは、クスクス笑いながら彼等の元へと歩みを進めるのだった。 



──────────────



 それから暫くして、神影に飛び付いていたアメリア達が落ち着きを取り戻したのもあり、一行は旅を再開した。


「それにしても、まさかオリヴィアがあんなに泣くとは思わなかったな」

「それだけ、オリヴィアが君を心配していたって事だよ。ミカゲ」


 道中、そんなやり取りを交わす神影とエーリヒの後ろでは、オリヴィアが顔を赤らめていた。

 

 逃げ出した3匹のマッドウルフを追うべく飛び出していった神影とエーリヒの帰りを待つ間、彼女はずっと神影の身を案じていたのだ。

 神影は簡単にやられるような存在ではないと分かっていても、やはり自分を庇って怪我をしたとなれば罪悪感も出てくる。

 それについて謝ったオリヴィアだったが、神影は全く気にした様子を見せていなかった。

 神影からすれば、あれは自分の判断で勝手に動いただけの事なので、オリヴィアが気にするような事ではなく、マッドウルフに噛みつかれた傷も、エーリヒの回復魔法によって完治しているので、腕をやられた事はこれで解決だと思っていたのだ。

 それでも食い下がるオリヴィアだったが、神影は彼女の頭に手を置いてこう言ったのだ。


──ありがとな、其処まで俺の事を心配してくれて。俺なら、もう大丈夫だからな。


 そう言われたオリヴィアは、神影への罪悪感と言う鎖から解放され、火がついたように泣き出したのだ。

 神影にとっては大袈裟なリアクションだったが、流石に、自分の身を案じてくれた相手にそれを言うのは憚られたため、神影は彼女が泣き止むまで頭を撫で続けていたのだ。


「それもそうだが、何時も落ち着いた感じのオリヴィアが泣くなんて想像出来ねぇだろ」

「まあ、それに関しては同意だね」


 そんな神影とエーリヒの会話に、羞恥心に耐えかねたオリヴィアが近づいてきて割り込んだ。


「ね、ねえ2人共。もう良いだろ?流石に恥ずかしいよ」

「ははっ、すまんすまん」


 赤く染まった頬を膨らませるオリヴィアに、神影は笑いながらそう返す。

 だが、彼女をからかうような笑みや言い方とは裏腹に、内心では彼女やアメリア達に感謝していた。


 城で生活していた頃は、幸雄や太助、沙那達美少女3人組、そしてエーリヒが傍に居てくれたのだが、幸雄達を残して城を出たため、頼れる存在はエーリヒだけになってしまった。

 それが今では、アメリア達"アルディア"の3人やエレイン、リーネ、それからギルド支部長のイーリスが加わっている。

 皆、自分の出自や当時のステータスは一切関係無く接してくれるため、神影にとっての拠り所になっていた。


「(そう思うと、俺の運も捨てたモンじゃねぇな)」


 内心そう呟き、後ろに居るアメリア達の方へと振り向く神影。

 そんな行動に首を傾げ、何か用かと訊ねてくる彼女等に、神影は『何でもない』と答えた。



 そうして歩いている内に、一行の前に石造りの門が現れた。


「皆さん!あれが私達の村、ヒューズです!」


 神影達の前に走り出たリーネが、門の方を指差してそう言った。

 村は丘の上にあるらしく、現段階で見えるのは門の上半分だけだ。


「さあ、早く行きましょう!」


 約1週間ぶりに故郷へ戻ってこられたのが嬉しいのか、門の方へと駆けていくリーネ。

 その様子は、まるで初めて訪れた遊園地ではしゃぐ子供だった。


「全く、リーネったら、あんなにはしゃいで………」


 そう言うエレインだが、2度と戻れないと思っていた故郷が目の前にある事に頬を緩め、つい目尻に浮かべてしまった涙を拭う。


「……………」


 それを見た神影は、隣のエーリヒと目線を合わせて拳を突きつけると、どちらからともなくこう言うのだった。


「「任務完了」」

次回はサイドストーリーを書く予定です。

そろそろ神影とエーリヒの噂(2人の本名は伏せられてるけど)が広がっても良い頃だと思うので。

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