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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
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第57話~急成長と護衛任務~

 神影とエーリヒが互いのTACネームを決めてから、早くも1週間が経った。

 TACネームを決めた翌日から、2人は腕試しを兼ねて迷宮での訓練を始めていた。


 余程の強敵が現れない限りは戦闘機を封印すると言うルールの下、出会った魔物に片っ端から喧嘩を吹っ掛けては蹂躙すると言うサイクルを繰り返していたため、2人はレベルを上げると共に、肉弾戦での戦闘スキルも上げていた。

 

 勿論、毎日迷宮に潜って訓練している訳ではなく、冒険者としての仕事もしっかりこなしている。

 1日に幾つもの依頼を達成した事もあってか、既に彼等のランクはAランクにまで上がっていたのだった。



──────────────



「「……………」」


 そんなこんなで、彼等は何時もの組手の後にルージュ冒険者ギルドを訪れ、食事スペースにて朝食を終えたのだが、そんな彼等は神妙な表情を浮かべていた。

 彼等の視線の先にあるのは、テーブルの上に置かれた2つのステータスプレートだった。

 言うまでもなく、神影とエーリヒのものである。


「やっぱり、レベルが100に近づいてるのもあってか………最近、レベルが上がりにくくなってきたよな」


 神影のそんな呟きに、エーリヒはコクりと頷いた。


 当然だが、レベルが上がれば上がる程、次のレベルに進むために必要な経験値の量は増える。

 迷宮での訓練や、依頼での魔物の討伐によってレベルが70になった彼等は、自分達のレベルが今までより上がりにくくなっている事を感じていたのだ。


「でも、強力な特殊能力を得られたんだから、良いんじゃないかな?これからの活動にも有利になった訳だし」

「…………まあ、そうだな。それについては同意するぜ」


 エーリヒの言葉を受けた神影は、胸の前で両腕を組んだ状態で相槌を打った。 


 因みに、現時点での2人のステータスは、各々以下の通りである。




名前:古代 神影

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:異世界人、血塗られた死神、無慈悲な狩人、人間兵器、這い上がりし者、世の理を外れし者

天職:航空傭兵

レベル:70

体力:5000

筋力:4800

防御:4760

魔力:2900

魔耐:3000

敏捷性:5500

特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能、物理耐性、麻痺耐性、魔力操作、魔力応用、自動強化、僚機念話、成長速度向上(極)、展開『アレスティング・ワイヤー』、展開『カタパルト』、魅了・催淫無効化、石化耐性、気配察知、魔力感知




名前:エーリヒ・トヴァルカイン

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:魔術の鬼、無慈悲な狩人、人間兵器、這い上がりし者、世の理を外れし者

天職:航空傭兵

レベル:70

体力:4790

筋力:4650

防御:4580

魔力:10000

魔耐:10000

敏捷性:5200

特殊能力:詠唱破棄、全属性適性、全属性耐性、魔力感知、魔力操作、魔力応用、物理耐性、空中戦闘技能、僚機念話、自動強化、成長速度向上(極)、展開『アレスティング・ワイヤー』、展開『カタパルト』、魅了・催淫無効化、石化耐性、気配察知




 2人揃って、最早勇者以上とも言うべきチート級のステータス値を叩き出しており、称号や特殊能力も増えていた。

 "気配察知"や"石化耐性"等、非常に強力な特殊能力を手に入れた2人だが、特に手に入れて良かったと思っているものがある。

 それは、"魅了・催淫無効化"だ。


 サキュバスやインキュバス、ラミアと言った一部の魔物は、吸い込んだ相手を強制的に発情させる霧を発生させる技、"淫靡の霧"と言うものを使う上に、それが常時存在するエリアが迷宮にもある。

 また、それらの魔物は、相手を魅了して自分の言う通りに動かす、1種の催眠とも言うべき技、"魅了"を使う事が出来る。


 それらのどちらかだけでも喰らえば一気に不利になるのだが、この"魅了・催淫無効化"と言う能力を得たお陰で、2人は"淫靡の霧"の中を通っても発情状態にならない上に、"魅了"を受けても普段通りに動けるのだ。


 因みにこれ等は、耐性系の特殊能力のように何度か効果を受けなければ得る事が出来ない。

 つまり彼等は、迷宮での訓練において、それらの効果を態と受けたと言う事だ。


 何故か普通よりも早く耐性がつくようになった2人でも、"魅了・催淫無効化"の特殊能力を得るために、少なくとも5回はその効果を受けていた。


「それにしても、あれが迷宮の中で本当に良かったな。コレが外だったら恥ずかしくて表を歩けねぇよ」

「あはは………確かに、そうだね」


 苦笑を浮かべながら、エーリヒはそう返した。

 幾ら魔物からの攻撃とは言っても、発情させられているところを他の者に見られるとなれば、その羞恥心は半端ではないだろう。


「それもそうだが、まさか称号が変化するとは思わなかったよな」


 神影はそう言って、エーリヒのステータスプレートを指でコツコツと叩いた。


 元々、彼の称号の1つには"七光り魔術師"というものがあった。これは、"全属性適性"や"魔力応用"等の強力な特殊能力を持っていながら上手く使いこなせなかったためについてしまったものなのだが、強力な魔法を次々に編み出し、使えるようになった今ではそれが消え、その代わりとばかりに"魔術の鬼"と言う称号が加わっている。

 1度ついた称号は、基本的には消えないし、別のものに変わったりもしない。それがこの世界の常識だ。

 だがエーリヒは、その常識をあっさり覆してしまったのだ。


「どうやら僕達、本気でこの世界の常識から外れてしまったみたいだね………この称号みたいに」


 自分のステータスを開いたエーリヒが、"世の理を外れし者"の称号を突っつきながら言う。


「そう、みたいだな………」


 自分も同じ称号を持っている事もあり、神影は苦笑混じりにそう返した。

 それから2人は、それ以上考えるのを止める事にした。

 下手に考えすぎるとキリが無くなってしまうと思ったからだ。


「おはようございます。ミカゲさん、エーリヒさん」


 すると、神影の背後から女性の声が聞こえてくる。

 其所に立っていたのは、大きめの鞄を持ったエレインとリーネだった。


「お、おはようございます。ミカゲさん。先生!」


 顔を赤くしたリーネが、エレインに続いた。

 因みに、『先生』とはエーリヒの事である。

 空いた時間に彼女の回復魔法の練習に付き合っていたエーリヒの教え方が非常に上手い事や、休憩中に様々な魔法を見せていた事から、彼女が勝手にそう呼ぶようになったのだ。


「やあ、2人共。そんな荷物を持って何処へ行くんだい?」


 普段は見なかった大きな鞄が気になったエーリヒが、それを指差して訊ねた。

 

「……………」


 すると、リーネは先程までの嬉しそうな表情から一転して表情を悲しげに歪め、それを見た2人は、何事かと首を傾げる。


「実は私達…………今日で、この町を出なければならないのです」


 そんなリーネに代わって、エレインが答えた。

 ルージュで仕事をする期間が終わったため、今日でルージュを出て元の村へ帰ると言うのだ。


「そうか………もう、そんな日なんだな」

「寂しくなるね……」


 暫く一緒に過ごしていたため、寂しそうな表情を浮かべる神影とエーリヒ。


「この事、アメリア達には?」


 神影からの質問に小さく頷いたエレインは、アメリア達"アルディア"の3人が、村へ帰るまでの護衛として付き添ってくれると話した。


「そうか………それは良かったな」

「…………あ、あの」


 そう言った神影を見ていたエレインは、おずおずと口を開いた。


「もし良ければ………ミカゲさん達も、一緒に来ていただけませんか?」

「……?俺等も?」

「はい。アメリアさん達が護衛についてくれますが、やはり貴方達も居てくれた方が心強いので」


 エレインはそう言った。


 ルージュから彼女等の村までは大して遠くないとは言え、"黒尾"の一件もあり、多めに護衛を頼んで安全面を確保した方が良いと判断したのだろうと感じた神影は、エーリヒに視線を向ける。

 エーリヒも断る理由は無いと判断したのか、直ぐに頷いた。


「あ、ありがとうございます!」


 嬉しそうな表情を浮かべるエレインを見たエーリヒは、彼女が自分達に護衛を頼んだ理由が、安全面の確保に加えて、もう少し神影と一緒に居たかったからだと悟り、小さく笑みを浮かべる。


 そうして、エレインと神影、そしてリーネの3人が先に歩き出し、それに続くようにして、アメリア達が待っている門へ向かうエーリヒだったが、先頭から外れてきたリーネが、嬉しそうな表情を浮かべて自分に寄り添うように歩く様子に、首を傾げるのだった。

次回、再び戦闘機で神影達を暴れさせます。


………多分、きっと、maybe(徐々に自信を失っていく作者です)

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