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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
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第52話~幼馴染みの紹介。台風のような一時~

もうすぐ12月25日、クリスマスですね。

皆さんはどう過ごす予定でしょうか?


因みに作者は、午前に部活で午後にバイトです。

別の店にヘルプに行ってきます。


ホント、今月は部活とバイトに追われまくりです。

まあ、1月もそうなると思いますがね。おまけに英検だし(苦笑)

「え~っと、それじゃあ2人の紹介をさせてもらおうかな」


 あれから暫くして、此処はアイシス達の家のリビング。

 エーリヒに抱きついて泣いていた2人が泣き止んだのもあり、神影が持っていた宝箱をエーリヒの自宅に放り込んでから、その場の状況についていけずにオロオロしていた神影を回収して家に入ったエーリヒは、彼女等を紹介しようとしていた。


「先ず、このライトブラウンの娘がアイシス。僕等と同い年だから、敬語は要らないよ」


 エーリヒがそう言うと、紹介されたアイシスが立ち上がって右手を差し出した。


「アイシス・オールダム、アイシスで良いわ。よろしくね」

「ああ、よろしく。古代神影………もとい、ミカゲ・コダイだ。俺の事も神影で良いぜ」


 差し出された右手を握り、握手を交わす神影。

 初対面の、それも異性を相手に平然としていられるのは、気さくな性格だからだろうと神影は予測した。


「それから此方が、その妹のユリシア。愛称はリーアだ」

「え、えっと………ユリシア・オールダム、です………リーアで、良いです………」


 気さくに接する姉とは対照的に人見知りなのか、おどおどした様子で自己紹介するユリシア。

 胸の前で手をモジモジさせる仕草は、その小柄な体格と相まって非常に可愛らしく、守ってあげたくなるオーラが身体中から溢れていた。


「ああ、リーア。よろしく」


 そう言って笑みを浮かべる神影だが、ユリシアは椅子から降りてアイシスの後ろに隠れてしまった。


 それを見たアイシスは、苦笑を浮かべて言った。


「悪いわね、ミカゲ。この娘人見知りなのよ」

「いや、お気になさらず」


 此方をチラリと覗いては隠れると言う可愛らしい行動を微笑ましく感じながら、神影はそう言った。


「それにしても、アンタって変わってるわよね。名前は珍しいし、自己紹介する時だって、家名から名乗ろうとしてたし……………何より、纏ってる雰囲気が違うわ」


 思った事は何でも口にする性格なのか、アイシスは自分の後ろに隠れている妹の事など気にした様子も無く、神影を上から下まで舐めるように見ながら言う。


「あ、ああ………俺、この辺の者じゃないからな」


 雰囲気の違いなんてどうすれば分かるのかと疑問に思いつつ、曖昧な言い方で答える神影だが、その返答が逆にアイシスの好奇心に火をつけたらしく、何処から来たのかと問い質される。

 アイシスの後ろに隠れていたユリシアも興味があるのか、彼女の後ろからチラリと覗いている。

 そんな2人からの眼差しを受け、神影は返答に困った。

 これがただの辺境出身なら言っても良かったのだが、神影は異世界人。本来なら、この世界に居ない存在だ。

 以前は、"アルディア"の3人やエレインが興味本意で聞いただけであった事に加え、誰にも言わないと約束してくれたから普通に言えたが、今回は状況が違う。

 信頼するエーリヒの幼馴染みであるとは言え、簡単に言って良いものなのかと悩んでいた。


「大丈夫だよ、ミカゲ」


 そんな彼の心情を察したのか、エーリヒが話に入ってきた。


「君の事は、此処に居る僕達だけの秘密だ」

「………?何、ミカゲってそんなに特殊な存在なの?」


 そんなエーリヒの言葉が引っ掛かったらしく、アイシスが言う。


「ああ、そうさ。それも、下手をすれば国家規模になる程特殊な存在だ」

「へぇ………あっ、もしかして、最近噂になってる勇者様の1人だとか?」


 冗談っぽく言うアイシスだが、図星を突かれた神影は凍りついた。

 まさか、こうもあっさり言い当てられるとは思っていなかったのだ。


「………えっ、そうなの?」


 そんな反応を見たアイシスは、まさかと思いつつ訊ね、神影は無言で頷いた。


「…………」


 流石に、いきなり正解を言い当てるとは思っていなかったのか、言葉を失うアイシス。

 ユリシアも、目の前に居る人物が勇者の1人である事に驚きを隠せないらしく、目を見開いている。


「ホラ、言ったろ?国家規模になる程特殊な存在だって」

「そ、そうみたいね…………でも、そんな人がなんで此処に居るの?それにエーリヒも。アンタ、卒業したんだから魔術師団に入ってる筈でしょ?」

「あ、ああ。それはな………」


 そうして神影は、自分とエーリヒの境遇を話した。

 自分が"勇者"の称号を持たず、ステータスも低かったために使えないと判断され、クラスの男子や城の関係者達から見下されていた事や、エーリヒが彼の出自などで蔑まれ、学生時代から理不尽な扱いを受けていたと言う話を聞くと、アイシス達の表情は険しくなった。


「何よソイツ等?ステータスとか肩書きとか、そんな上辺でしか人を判断出来ないの?幻滅だわ」

「お兄ちゃんとミカゲさん、可哀想です………」


 嫌悪感を露にするアイシスとユリシア。

 勇者や騎士団、魔術師団に憧れを抱いていた事もあるためか、彼女等の表情には、嫌悪の他にも失望の気持ちが含まれていた。


「まあ、そんな事もあって、僕達は城から出てきたんだ」


 話を終わらせるかのように、エーリヒが言った。


 その後は、神影とエーリヒが城を出てからの出来事へと話題が変わった。

 一旦ルビーンを訪れ、エーリヒの家で休んでからルージュへと向かって冒険者となり、その後、盗賊団"黒尾"を壊滅させた事に驚くアイシス達だったが、それと同時に2人が人を殺した事を悟り、この件に関しては、アイシスも深入りしようとはしなかった。


 それから、今度は彼女等の事を聞く神影だが、その傍らで、エーリヒはある危機感を覚えていた。


「(あれから結構時間が経ってる………アメリア達、買い物済ませて待ってるだろうなぁ)」


 壁に掛けられた時計に目を向けて時刻を確認したエーリヒは、ルージュに残してきたアメリア達の事を考えていた。

 "アルディア"の3人は、神影に修道服姿を褒められて照れていたエレインに対抗意識を燃やしていた。

 きっと今頃、服を買い終えてギルドに戻っているだろう。

 それで戻ったら、短い文章が書かれた手紙がポツンと残されているのだ。

 それで彼女等がどう思っているのかは、この場で言うまでもないだろう。


「(話の途中だけど………やっぱり戻った方が良いよね)」


 そうして1人頷いたエーリヒは、話に割り込むようにして神影に話し掛けた。


「ミカゲ、そろそろルージュに戻った方が良いんじゃない?今頃アメリア達、買い物済ませて待ってるよ」


 そう言って、壁に掛けられている時計を指差すエーリヒ。

 ルージュを出発してから、かなりの時間が経っていた。


「ホラ、急いで。何か知らないけど、早く戻った方が良さそうだ」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。話は未だ終わってないし、アンタとも話を………」

「それはまた今度じっくりしてあげるから、今回はおしまい!」


 話を途中で打ち切られたアイシスが引き止めようとするが、エーリヒがそれを一蹴する。

 そして神影を表に連れ出したエーリヒは、アイシス達に向けて、『ご両親によろしく』とお決まりの台詞を残すと、機体を展開する事すら面倒に感じられたのか、足に集中させた魔力を一気に放出し、ロケットのような勢いで神影の手を引き、轟音を響かせながら走り去ってしまった。


「「…………」」


 最後の最後で台風のように去っていったエーリヒ達に、2人は呆然と立ち尽くすのだった。







 その後、ルージュに辿り着いた神影とエーリヒだが、案の定買い物を済ませたアメリア達が待ち構えており、その殺気とも呼ぶべきオーラに神影の顔から血の気が引いていき、それから女性陣からのお説教を受ける神影を見ながら、エーリヒが深い溜め息をついたのは余談である。

次回はクラスサイドを書きます。


恐らく、ハーメルン版を読んでいた時から皆さん気になっていたであろう、沙那や桜花の、神影との過去を書く予定です。


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