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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
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プロローグ4

 時間は流れて、今は放課後。

 神影は、今日1日の学校生活を何とか乗り切った事に安堵しながら、教材を鞄に詰め込んでいた。

 既に数人の生徒は帰宅しており、残りは教室掃除の当番だったり、他のクラスの生徒と談笑しているために教室内に残っている。

 因みに沙那や勇人達5人組は、彼等の担任である美人教師、夢弓ゆめみ シロナと談笑中だ。

 

「お疲れ様だな、古代」

「お疲れぃ」


 教材を全て入れて席を立ち、膨れ上がった鞄を肩から提げようとしたところで、幸雄と太助が歩み寄った。


「ああ、お陰様で今日も何とか乗り切れたよ。ありがとな」


 神影は2人の方へと振り返り、礼を言った。


「そんなに畏まらなくても良い。私や幸雄が勝手にやっているだけだからな」

「そうそう、お前が気にする必要はねぇって!」


 太助は柔らかな笑みを浮かべ、幸雄は神影の肩を強めに叩いた。


「ちょっ、痛ぇよ瀬上。止めろって」


 そう言う神影だが、本気で嫌がるような様子は見せていないし、太助も止めようとしない。

 これがただのじゃれ合いだと分かっているのだ。


「あ、そうだ」


 不意に何かを思い付いたような表情を浮かべた幸雄が、肩をバシバシ叩いていた手を止めた。


「なあ、せっかくだから帰りにゲーセン寄っていこうぜ。最近、戦闘機のシミュレーションゲームが入ったらしいんだよ」

「ほう、戦闘機?良し行こう、さあ行こう」


 "戦闘機"と聞いた途端、直ぐ話に乗ってきた神影に、太助が苦笑を浮かべる。

 そして3人が教室を出ようとした時、シロナとの話を終えた5人組が神影に近づいてきた。

 彼等も教室を出ようとしていたのか、鞄を提げている。


「神影君、何処か行くの?」


 沙那に呼び止められた神影は、その足を止めて振り向いた。


「ああ。今から3人でゲーセンにな」

「じゃあ、私と桜花ちゃんも行って良いかな?私、今日は部活無いし、桜花ちゃんも今日は巫女さんのお仕事無いみたいだからさ。久々に、一緒に遊ぼうよ!」


 そう言って、沙那は後ろに居た女子生徒を引き寄せた。


 彼女は雪倉ゆきくら 桜花おうかと言い、ポニーテールに纏められた艶やかな黒髪と蒼い瞳、そして誰にでも敬語で話すのが特徴で、その容姿や佇まいから、如何にも大和撫子と言う単語が相応しい少女だ。

 "学園三大美少女"の最後の1人でもある。

 そして雪倉神社の巫女と言う、また珍しい肩書きも持ち主だ。


 沙那と同じように、とある出来事がきっかけで神影と知り合った彼女は、当時友人が1人も居らず、妹のように神影の後ろをついて歩いていたのだが、彼の計らいで沙那達4人と友人になってからは、彼女等と行動を共にする事が多くなっていた。


 因みに、桜花を除いた沙那達4人は、幼馴染みであるためか全員同じ中学の出身であり、神影を敵視している男子も、沙那達の同じ中学の出身である者が多い。


「えっと……………それは、瀬上達に聞かないと分からねぇ、かな………?」


 神影は曖昧な返事を返した。


 これが沙那と桜花だけ、オプション付きでも奏なら話は違っていただろうが、今は勇人や一秋が居る。

 そうなれば、必然的に彼等もついてくる事になるだろうから、ゲームセンターに行っても気が休まる保証が何処にも無かったのだ。


「ねえ、瀬上君、篠塚君。私達も行って良いよね?」

「ああ、私は別に構わない」

「太助に同じく」


 沙那に頼まれた2人は、あっさり了承した。


 それから神影の予想通り、奏や勇人、一秋の3人もついてくる事になり、3人から一気に8人へと増えた一行は教室を出ようと歩き出したのだが、開け放たれていたドアが彼等の出発を阻むかのように勢い良く閉まり、大きな音を響かせた。


「…………は?」


 そんな突然の出来事に神影が間の抜けた声を発した次の瞬間、もう一方のドアも閉まり、最終的には窓も全て閉まった。

 この教室は一瞬にして密室と化し、中に居た面々は閉じ込められてしまった。


「ちょ、ちょっと!いきなり何なのよ!?」

「何が起こってんだ!?」


 教室内に残っていた生徒達はパニックに陥り、その場で固まったり、友人と抱き合ったりしている。

 そんな中、担任のシロナは、何とか平然を保っていた数人の生徒と共にドアを開けようとするが、あたかも鍵を閉められたかのように開かない。

 廊下に居た生徒達も、何だか分からないままにドアや窓を開けようとするが、結果は同じだった。

 椅子や机をぶつけて窓を破壊しようとする者も居たが、驚くべき事に、窓は割れるどころか傷1つ付かなかった。


「(おいおい、一体何がどうなって…………!?)」


 周囲を見渡した神影は、教室の床に現れた、純白の光を放ち、見た事の無い模様が刻まれた円環を目にして凍りついた。


「(コレ、もしかして…………魔法陣か?)」


 戦闘機マニアである一方でオタクでもある神影は、直ぐに予想を立てる。

 すると、大正解と言わんばかりに魔法陣が目映い光を放って教室全体を包み込み、神影は固く目を瞑るが、直ぐに意識を失ってしまった。









 それから暫くすると光が消え、ドアや窓が開くようになると、廊下に居た生徒達や騒ぎを聞いて駆けつけた教員達が、その教室に雪崩れ込んだ。

 だが、教室内に生徒やシロナは居らず、ただ彼等のものと思わしき荷物や、パニックの中で蹴倒されたり窓の破壊に使われたりした椅子や机。そしてゴミ箱や、その中身が散乱しているだけであり、それを目の当たりにした生徒達の叫び声が廊下に響き渡るのだった。

や、やっと異世界転移にまで漕ぎ着けた…………

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