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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
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第93話~次のステップへ進むために~

や、やっと書けました………


ハーメルンでの活動報告をご覧になった方はご存知だと思いますが、私、弐式水戦は7日から体調を崩しており、9日のバイトも、3時間あったのに2時間でリタイアする始末(無遅刻無欠席&早退0のキャリア(?)に初めて傷がついた……)です。

そして病院に行った結果、風邪から来る胃腸炎を起こしていると言われましたorz

お陰で金曜までシフトを入れていたバイトはお休みです。マジ最悪。

親曰く、疲れが出たんだとの事でした。


さて、長々失礼しました。それでは本編をどうぞ!

 早朝、朝食と食後の組手を終わらせた神影達は、リビングに集まっていた。

 普段なら、これ等を終わらせたら直ぐに迷宮攻略に乗り出すなり、ルージュへ行って依頼を受けるなりしているのだが、今日はそうするような気配は無かった。


「さて、今日はルージュへ行く前に、ちょっとした話し合いをしようと思う」


 テーブル席にちょこんと座っているエリスとエミリアを見据え、神影がリビングに集まってからの第一声を放つ。

 

「は、話し合い………ですか?」

「ああ。俺等"ジェノサイド"の今後の方針を、お前等4()にもちゃんと知らせておかなきゃならんからな」


 おずおずと聞き返してくるエミリアにそう返す神影だが、彼の返答に引っ掛かる部分を見つけたエリスが口を開いた。


「あ、あの、ミカゲさん。4人と言う事は、残りの2人は………?」


 エリスの質問は最もだった。

 神影が言った4人の中には、先ず自分とエミリアは当然入っている。だが、それなら残りの2人は誰なのかと言う疑問が浮かび上がってくるのだ。


「ああ、それならエーリヒが呼びに行ってるよ。話し合いと言ったが、正確には顔合わせしてからの話し合いだな」


 そう言って窓枠に凭れ掛かり、斜め向かいにある家の前に立っているエーリヒを見る神影。

 すると家のドアが開き、ライトブラウンの髪を持つ少女と、雪のような白髪を持つ小柄な少女が出てくるのが見えた。

 エーリヒの幼馴染み、アイシスとユリシアである。


 早起きなのか、彼女等も既に普段着へ着替えており、アイシスは白のブラウスに黒の上着、そしてグレーのスカートを穿いていた。

 対するユリシアは、薄い紫のブラウスに、それより濃い紫の膝丈スカートと言ったスタイルだ。


 2人はエーリヒと少し話をした後、彼と共に此方へ向かってくる。

 そして窓から覗いている神影を視界に捉えると、アイシスは軽く右手を挙げ、ユリシアは小さく頭を下げて会釈した。


 それから間も無くして、3人が家に入ってくる。


「おっす、ミカゲ。邪魔するわよ」

「お、おはようございます、ミカゲさん!」


 各々の性格を表すかのような挨拶をする2人に、神影も『おう』と返す。


「(さて、コレで全員揃ったな)」


 内心そう呟き、エーリヒと目配せする神影。

 そもそも、何故このような顔合わせ兼話し合いが行われる事になったのか…………


 それは、夜の遊覧飛行を終えた神影とエーリヒが、ルビーンへ戻ってきた時にまで遡る。



──────────────



「なあエーリヒ、明日はエリス達とアイシス達の顔合わせをしないか?」


 リビングのソファーに座り、国中を飛び回った事で高揚した気分を落ち着かせている最中、神影が話を切り出した。


「それは良い考えだね。もう彼女等も人に慣れただろうし」


 冒険者登録をするためにルージュを訪れた際、支部長のイーリスや"アルディア"の3人、はたまた他の冒険者達とどんちゃん騒ぎして打ち解けた事により、エリスやエミリアの心には余裕が出来た。

 その事から自分の幼馴染み達と顔合わせをしても問題は無いだろうと判断したエーリヒは、あっさりと頷く。

 王都からの調査隊との一件も既に片付いていると言うのもあり、タイミング的にも良い頃合いだと言えるだろう。


「それに加えて、俺等にはもう1つやらなきゃならない事がある。それが何なのかは………分かるよな?」


 『やらなきゃならない事』、たったそれだけの単語で神影が言わんとしている事を全て悟っていたエーリヒは、先程までの明るい表情を引っ込めて神妙な表情で頷いた。

 神影達には、4人の顔合わせと並んでもう1つ、次のステップへ進むために済ませておかなければならない事があった。

 それは、エリス達4人の今後を決める事だ。


 この世界に関する正確な情報を手に入れると言う目標に向け、これまで迷宮攻略や依頼の達成に勤しみ、今ではAランク、それもSランク昇格間近の腕利き冒険者と言う肩書きを得た神影達"ジェノサイド"だが、何時までもこの王国内に留まったところで、彼等の目標は達成出来ない。多くの情報を得るためには広い範囲へと視野を広げ、それこそ外国へ、はたまた別の大陸へ赴く事も必要となるのだが、其処で問題になるのが4人の少女達である。

 2人は数年もの間、エーリヒと離れ離れになっていた幼馴染み。そして残りの2人は、帝国から逃げてきた亜人族とヒューマン族の混血児ハーフだ。

 理由は各々で異なるだろうが、神影達が外国に行くためにルビーンを離れ、また暫く戻らない事を話した時、4人は神影達に同行する事を望むだろう。

 だが神影達は、航空兵器を使えない彼女等に合わせて馬車を使う気など全く無い。ましてや、のんびり歩いて向かうなど論外だ。

 そうなれば、彼女等を連れていく事になった時、必然的に彼女等に天職をコピーして同じ"航空傭兵"にする事になるのだ。


「(だが、この天職をあの4人に背負わせて良いのか?いや、そもそもあの4人に、コレを背負うだけの覚悟があるのか?)」


 そう感じた神影は、自分の天職を彼女等にコピーしたと仮定してその先を予測した。


 このエーデルラントに生きる者であれば、世の中の厳しさと言うものをある程度心得ているだろう。だが現実とは、自分達の予想以上に残酷なものだ。

 人殺しや迷宮での死闘は当然行う事になるし、何より強大な力を得れば、それを己の欲のために利用しようと企む者に狙われる可能性だってある。

 そして何より、彼女等が今後何れだけ強くなろうとも、()と言うものが一生付きまとってくる。つまり、どんなに鍛練を積んで強くなっても、それが100%自分の努力によるものだとは言えなくなってしまうのだ。

 それは、成長速度の向上や特殊能力を獲得しやすくなった事への代償と言っても過言ではないだろう。


 そのような、正に一生消えない十字架であり、ゴキブリホイホイならぬトラブルホイホイとも呼ぶべきこの天職を彼女等に与える事が果たして正解と言えるのか、彼女等がそれに耐えられるのかと、神影は未だに答えを出せずにいた。

 そのため、一先ず厄介事が片付いた今のタイミングで、4人の顔合わせを兼ねた話し合いを行い、ついでにその答えも出してしまおうと考えた訳である。


「もし、あの4人が俺等についてくるってんならそれでも良いさ。でも、その際彼奴等には相応の覚悟を決めてもらうし、それはユリシアも例外じゃない…………未だ13歳なのに申し訳無いとは思うがな」

「………ああ、分かっているとも」


 神影達が17歳、エリスやエミリアが各々16歳、15歳なのに対して、ユリシアは未だ13歳。融通の全く利かない幼児と言う訳ではないが、やはり肉体的にも精神的にも、神影達と比べれば明らかに幼い。

 特に神影やエーリヒは、既に人殺しを経験している上に迷宮での死闘も潜り抜けてきたのだから、精神面で大きな差があるのは当然の事だ。

 そんな彼女でも、自分達についてくると言うならばそれ相応の覚悟を決めてもらうと言うのが神影の考えだった。

 勿論その考えは、世界のパワーバランスを引っくり返しかねない強大な力を手に入れた事への自惚れや、"航空傭兵"と言う天職の本来の持ち主が自分だからと言う傲慢な気持ちから来るものではない。

 "黒尾"の一件で経験した、人を殺す事への恐怖や戸惑い、悪人とは言え命を奪った事への罪の意識や、言い表せない不快感。迷宮攻略で経験した、敵の容赦の無さ。

 そして、これまでの生活で嫌と言う程経験させられた世の中の理不尽さが、このような考えへと神影を導いていたのだ。

 自分達と比べれば幼いユリシアに苦悩を強いる事への罪悪感は確かにあるのだが、だからと言って彼女にだけ甘くするなんて悠長な事はしていられないのだ。


「ユリシアは、僕等と比べて幼いし気が小さい。それとアイシスには直情的な部分がある。どちらかと言えば、考えるより先に手が出るタイプだ」


 数年も離れ離れになっていたとは言え、幼馴染み達の欠点をスラスラと挙げていくエーリヒ。


「でも……」


 そう言って言葉を区切り、少しの間を置いた後に再び口を開いた。


「あの2人は、出来もしないのに安請け合いするような馬鹿じゃない。それにエリスやエミリアには、昼間の訓練で色々語ったばかりだからね。直ぐに答えを出してくれるかどうかは置いておくとして、少なくとも後先の事をしっかり考えた上で答えを出してくれると信じているよ」


 確信しているかのような表情で言うエーリヒ。

 エリスやエミリアとは出会ってから大して時間は経っていないが、それなりに彼女等の事を信じているのだろう。


「ああ、そうだと良いな」


 そう短く答えた神影は、夜間飛行での高揚感も落ち着いて眠気がやって来たのもあり、エリス達が寝ているであろう部屋へと戻っていった。

 こうして、アイシスとユリシア、エリスとエミリアの顔合わせ兼彼女等の今後に関する話し合いが行われる事が決定したのである。



──────────────



「えー、先ずは2人共。朝早くから呼び出して悪いな」


 女性陣4人がテーブル席に座り、自分の隣にエーリヒが並び立つと、先ずは朝っぱらから呼び出した事を詫びる神影。

 この話し合いを思い付いた時間が時間だったと言うのもあって彼女等には何の知らせも入れていなかったのだから、少なくとも早朝に突然呼び出した事への謝罪は必要だと思ったのだ。


「別に良いわよ、アタシ等こう見えて早起きだし」


 そんな神影に、全く気にしていないと言った様子で手をヒラヒラ振りながら返事を返すアイシス。

 その隣に座るユリシアも、コクコクと相槌を打った。


「そう言ってくれると助かるよ…………さて、今日こうして集まってもらったのは他でもない」


 そう言って一旦言葉を区切った神影は横に居るエーリヒと顔を見合わせ、互いに頷き合ってから再び口を開いた。


「2人の向かいに居るハーフエルフ姉妹との顔合わせと、俺達の今後に関する話し合いを行う」


 神影達"ジェノサイド"が次のステップへ進むための会議が、今始まった。

さて、長ったらしくも暗い前置きの後ですが、本日7月10日、私、弐式水戦は19歳の誕生日を迎えました!

高校の時は19歳なんて未だ先の事だと思ってましたが、案外あっという間ですね。

こんな作者ですが、今後ともよろしくお願いします。

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