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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
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第7話~ステータス~

 翌朝、レイヴィアに起こされた神影は、彼女が持ってきたジャージらしき服に着替え、食堂へと向かっていた。


「昨夜は、良く眠れましたか?」


 先導するように神影の前を歩いているレイヴィアが、顔だけ向けて訊ねる。


「ええ。晩餐会で結構食べたのもあってか、直ぐに寝付けましたよ。ベッドもフカフカでしたし」

「それは何よりですわ」


 神影の返答に、レイヴィアは微笑を浮かべる。


 この城で働いているメイドは、多少の年齢差はあれど全員美女・美少女揃いで、それはレイヴィアも例外ではない。

 窓から差し込んでくる陽射しもあって、彼女の柔らかな笑みが映えていた。


 食堂に到着すると、レイヴィアは神影の部屋の片付けをするために戻っていった。

 それを見送った神影は、軽く食堂内を見渡して自分が座れる席を探し始めた。


 既に数人の生徒が席に着いており、残りのメンバーが来るのを待っている。

 男性陣と女性陣で分かれて座っているが、男性陣が座っているスペースに行く事は、神影からすれば論外だった。

 何故なら、彼等が此方に来るなと言わんばかりに鋭い目で神影を睨み付けているからだ。

 それに神影自身も、彼等からの嫌がらせを警戒して、男性陣のスペースに座る事は最初から候補に入れていない。

 そうなれば神影は、必然的に女性陣のスペースに座らなければならなくなるのだが、流石に10人以上も居る女性陣の中に男1人で乗り込むと言うのは勇気が要るものだ。

 どうしたものかと頭を悩ませていると、2人の救世主が現れた。


「おはよう、古代」

「おっす!」


 神影にとっての数少ない味方である、幸雄と太助だった。


「ああ、おはよう」


 男性陣の中で最も信頼を寄せている2人が来てくれた事に安堵の表情を浮かべ、神影は挨拶を返した。

 それから、幸雄の提案で共に朝食を摂る事にした3人は、女性陣のスペースの端にある3席を取った。


 それから暫くすると、他の生徒達も食堂に入ってきた。

 その中には沙那達の姿もあり、彼女等は端に座っている神影達を見つけると、その傍に陣取った。

 そうして瞬く間に全員が揃い、朝食がテーブルに並べられると、連絡のために入ってきたカミングスから今日の予定を伝えられた後、朝食を摂り始めるのだった。



──────────────



 朝食を終えると、神影達は再び謁見の間に集められていた。

 カミングスが伝えたように、各々のステータスの確認を行うためだ。


 カミングスや王妃、2人の王女、そして他の文官達が見守る中、シロナや生徒達が列に並ぶと、騎士団長であるフランク・プラティーヌが前に出てきて、トレイを持った別の騎士にスマホ程度の大きさのプレートと銀色の針を、各々1つずつ配らせた。


「今配った銀色の板はステータスプレートと言って、名前の通り、コレでお前達のステータスを見るんだ。身分証にもなるから無くすなよ?まあ、別に無くしても捕まらないが、町を移動する時に金が掛かるし、再発行の代金も高いからな」


 右手の親指と人差し指で輪を作り、フランクは笑った。こうした冗談を織り交ぜてくる事から、中々陽気な性格のようだ。


 その後、フランクは配った針で適当に傷を作り、針に付いた血をプレートに垂らすよう伝えた。

 生徒達は戸惑いつつ、彼に言われた通り、針につけた血をプレートに垂らした。


「良し、それでステータスが表示されるようになった筈だ。各自で確認したら、伝えに来てくれ」


 フランクにそう言われ、生徒達はステータスの確認を始める。

 

 全員、殆んどのステータス値が100近くになっており、中には100以上のものもあるらしく、互いにステータスを見せ合って盛り上がっていた。


「おーい、古代!俺様のステータス見てくれよ!」


 すると、幸雄が興奮した様子で駆け寄り、神影にステータスを見せた。




名前:瀬上 幸雄

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:勇者

天職:剣士

レベル:1

体力:110

攻撃:100

防御:70

魔力:60

魔耐:60

敏捷性:130

特殊能力:言語理解、一刀流剣術、二刀流剣術、移動速度向上、気配察知




 生徒達が盛り上がっていたように、彼のステータスも高い数値を叩き出しており、幾つかは100を超えていた。


「へぇ、お前の天職って剣士なのか」

「ああ。この前、我流で剣術の特訓してたって言ったろ?その影響かもな」


 そう言って、幸雄が軽く剣を振るような動きを見せると、太助が近づいてきた。


「古代、私のステータスも見てくれないか?こう言うのには詳しくなくてね」

「おう、良いぜ」


 太助からステータスプレートを受け取り、内容を確認する。




名前:篠塚 太助

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:勇者

天職:戦士

レベル:1

体力:100

筋力:100

防御:80

魔力:50

魔耐:50

敏捷性:90

特殊能力:言語理解、格闘術、身体強化、物理耐性




 太助のステータスは、完全に肉弾戦向きのものだった。

 魔力・魔耐が50である代わりに、体力や筋力で100、敏捷性でも90と言う数値を叩き出している。


「…………高いな。特に物理的な面で」

「まあ、これでもムエタイをやっていたからな……………その反面、魔力や魔耐で少し足を引っ張る事になりそうだが」


 神影のコメントに、太助はそう返した。

 まるで、試験の答案の見せ合いをしているような気分になった、そんな時だった。


「おおっ、コレは凄いステータス値だ!レベル1でこんなに高いとは………心強い味方が出来たものだ!」


 フランクが興奮した様子で声を上げた。

 その隣に立っているカミングスも、余程驚いているのか目を丸くしており、王妃や王女、他の文官達もざわめいている。

 注目を浴び、照れ臭そうに後頭部を掻いているのは勇人だった。


「彼奴、余程ステータス高かったんだな」


 神影がそう呟いていると、勇人に続いて一秋や沙那、桜花達もステータスを見せ始めた。

 その際のフランクやカミングス、そして周囲の反応から、この5人のステータスは相当高いものだったと見えた。

 事実、彼等の周囲に集まった生徒達によると、5人のステータス値は全て100を超えており、勇人の場合はオール200だと言う。

 おまけに特殊能力にも強力なものが多くある事から、フランク達のオーバーリアクションにも納得だった。


「では、私達も見せに行こうか。そのついでに、古代のステータスも見せてもらうとしよう」

「下手したら、彼奴等より強かったりするかもな!クラス最強とか!」

「いや、流石にそりゃねぇだろ。そう都合良く事が進むなら苦労しねぇって」


 そんな会話を交わしながら、3人はフランクにステータスを見せるための列に並んだ。


 そして幸雄、太助の順にステータスを見せ、神影の番になった。

 どうやら彼が最後らしく、他の生徒達は談笑したり、神影達の様子を見ていた。

 幸雄と太助は、一番に神影のステータスを確認したいらしく、ステータスを見せ終わった後も、彼の傍を離れなかった。


「ミカゲ・コダイか…………良し、お前さんが最後みたいだな。他の奴等も凄く高いステータスだったんだ、期待しているぞ?」


 ずっと高いステータス値ばかり見てきたためか、ホクホクした笑みを浮かべたフランクが神影からステータスプレートを受け取ろうとするが、神影は幸雄や太助のステータスを見る事に熱中していたため、自分のプレートに血を垂らす事をすっかり忘れていた。


「おいおい。他の奴のステータスを見るのは良いが、自分のを忘れないでくれよ?」

「す、すいません」


 苦笑を浮かべながらプレートを返したフランクにそう言って、神影は針につけた血をプレートに垂らし、改めてフランクに渡した。


「さてさて、お前さんのステータスはどんな……………ん?」


 其処で、フランクの笑みが固まった。

 その反応を不思議に思った神影達は、フランクの横からステータスプレートを覗き込む。

 神影のプレートには、次のように記されていた。




名前:古代 神影

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:異世界人

天職:航空傭兵

レベル:1

体力:30

筋力:30

防御:30

魔力:10

魔耐:10

敏捷性:150

特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能




「…………は?」


 あまりにも低いステータスを目の当たりにした神影は、間の抜けた声を発した。

 幸雄と太助も目を丸くして、プレートと神影を交互に見ている。


「コレは………壊れているのだろうか………ちょっと失礼」


 そんな中、カミングスがフランクの手からプレートをヒョイと取り、指でコツコツ叩いたり、光に翳したりしたが、結果は何も変わらなかった。


「ふぅむ。敏捷性はかなり高いのだが、それ以外の数地が微妙…………ッ!?な、何だと!?」


 微妙な表情でコメントしていたカミングスだが、ある項目を見た途端、目を見開いた。


「"勇者"の称号が…………無い!?」

「(あっ、コレ間違いなく駄目なパターンだな。最底辺スタート確定だ)」


 カミングスの言葉に周囲がざわめく中、神影は小さく溜め息をつき、明後日の方向へと目を向けるのだった。

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