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航空傭兵の異世界無双物語  作者: 弐式水戦
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第6話~部屋とメイド~

 晩餐会が終わり、料理を乗せたテーブルが謁見の間から運び出されていく中、神影達は別の広間へと通されていた。

 

「皆様、晩餐会は楽しんでいただけましたかな?」


 そう質問したカミングスだが、彼等の満足そうな表情から、返事は分かりきったものだった。

 日本では………いや、地球のどの国に行っても見られない摩訶不思議な形をした料理や、本来なら、自分達のような一般市民では見るどころか言葉を交わす事すら出来ない王族との話も出来たのだから。


「それでは、皆様を各々のお部屋へとご案内致します。基本的に、男性にはメイド、女性には執事がつくようになっておりますが、変更の希望があれば、今の内にお伝えくだされ」


 カミングスはそう言った。


 男性陣であれば、別にメイドでも執事でも構わない…………いや、寧ろメイドの方が良いので、変更する必要は先ず無いだろう。

 だが女性陣の場合は、男性陣のように簡単にはいかない。

 プライベートの事情から、執事よりもメイドがつく方が、気が楽と言う者も居るのだ。


 現に数人の女子生徒が、執事からメイドに変更するようカミングスに頼んでおり、その中には、沙那や桜花、そして奏と言った三大美少女の姿もあった。


「それにしても、あの晩餐会に続いて個室や使用人まで用意しているとは…………普通の学生から、一気にVIP扱いだな」

「ああ」


 隣に並び立って言った太助に、神影は相槌を打った。

 幸雄は既に呼ばれてメイドと共に広間を出ていったため、この場には居ない。

 

 つい先程まで、何処にでも居る普通の学生をしていた神影達だが、今ではヒューマン族を救う勇者として持て囃されている。

 彼等からすれば、この状況はトンでもない叩き上げだった。


「(まあ、このVIP扱いが何時まで続くかは分からねぇんだけどな………)」


 内心そう呟いた神影は、呼ばれる時を今か今かと待ちわびている他の生徒達へと視線を向けた。


 今でこそ、自分達はこうして重宝されているが、明日は各々のステータスの確認が行われる。

 万一、ステータスがカミングス達の期待に添えるようなものでなかった場合、どのような扱いをされるのかは分からない。

 この城に残れるとしても、役立たずと見なされて不遇な扱いを受けるかもしれない。

 はたまた、ある程度の資金を渡された上で追い出されると言うのも有り得る。

 それなら未だ良いが、最悪の場合はその場で処分されるか、別の場所へ飛ばされるかのどちらかだ。


「(まあ、それなりのステータスを手に入れるか、ある程度の資金渡されて追い出される事を祈るばかりだな)」


 そんな事を考えていると、此方を見ているシロナと目が合った。

 傍にカミングスと、後頭部で三つ編みにした黒髪に加えてエメラルドグリーンの瞳を持ち、妖艶な雰囲気を醸し出しているメイドを侍らせた彼女は、神影に向かって手招きしている。

 それは、神影の順番が回ってきた事を意味していた。


「どうやら、お呼びが掛かったようだな…………古代、メイドさんと仲良くやるんだぞ?」

「はいはい」


 ニヤニヤと笑みを浮かべて肩をポンと叩いた太助にそう言って、神影はシロナ達の元へ歩み寄るのだった。



──────────────



 それから神影は、専属メイドになるレイヴィアと共に部屋を訪れていた。


「此方が、ミカゲ様の部屋です。お預かりした荷物も置いていますので」


 そう言ってドアを開けたレイヴィアに促され、神影は部屋へと足を踏み入れた。


「うっわぁ………」


 部屋は、自宅の部屋より遥かに広く、大きな窓の傍にはテーブルセットが設置されていた。

 おまけに風呂やトイレも別々になっており、極めつけには部屋の中央で存在感を主張している、キングサイズの天蓋つきベッドだ。

 日本でも見た事が無い巨大なベッドに、神影は言葉を失う。


「な、何と言うか、スッゲー広い部屋ですね………こんなの、日本でも見た事無いですよ」

「お褒めに預かり、光栄ですわ」


 妖艶な笑みに加えて艶かしさを含ませた声音で返事を返し、レイヴィアは恭しく一礼した。


 その後、彼女は翌日の予定を説明した後、部屋を出ていった。


「7時半から朝食で、その後は全員のステータスの確認。それから早速訓練か…………初っぱなから中々ハードなスケジュールだな」


 そう呟きつつ、神影はテーブルセットの傍に置かれてある荷物へと目をやった。

 異世界に召喚された今では、その殆んどが使われなくなるだろうし、神影の知識通りならば、鞄や中の教材、はたまた制服は、売ればかなりの高値になるだろう。

 だが、自分がこの世界の住人ではないと言う事を覚えておくためにも、神影はそれを売ると言う考えを捨てた。

 それに、元の世界に帰った際に自分の教材や制服だけ無いと言うのは、流石に笑えない。


「まあ、何はともあれ明日だな。明日、俺の今後が決まる」


 そう呟くと、神影はずっと着ていた学生服の上着を脱いで椅子に掛けると、部屋の明かりを消してベッドに飛び込み、そのまま眠りにつくのだった。

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