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1章-05 全身鎧の大男だよっ

巨人族(ジャイアント)って温和な人しか居ないって言うけど

好戦的だったりするのはモンスター側の分類に入れられちゃうせいだと思うよっ


「見事な太刀筋だ・・・だけどまだ軽い・・・」


いきなり知らない人の声がした。深みのあるバリトン、明らかに男性の声

アタシのネコミミはそこそこ遠くの音を聞き取れ、その位置をつかむ事が出来る


右斜め後方20m程、ちらりと見たMAPには緑色のマーク、敵意のない存在

初めての実戦およびスキルの確認に気を取られていたせいか、気づくのが遅れたみたい


MAPで周りに赤いマーク、敵対MOBがいないことを確認すると剣をおろし声の主へと視線を向ける


小さな2頭立ての荷馬車を駆る大柄な一人の男・・・馬車を止めその御者台からこちらを見つめている

全身を包む黒鉄色のフルプレートアーマー、馬車を降りゆっくりと近づいてくる

デカい・・・馬車が小さいんじゃない、この人が大きいんだ・・・身長2m、いや3m近くはある


「ごめん、驚かせてしまったかな? 戦闘中は声をかけたら悪いと思ってここで見物させてもらったよ

危なかったら助太刀しようかとも思ったんだけど、全く必要なかったみたいだね」


優しげな口調、ちょっとだけエコーが掛かって聞こえるのはフルヘルムで反響しているせいかも

身長が倍以上違うので呆然と見上げるしかない


「おっと失礼小さなレディ、僕はアマド、見た目どおりの戦士だ、サブ職は鍛冶屋をやってる

インゴットを仕入れたんで工房に運んでいるところだよ

ひょっとして、巨人族(ジャイアント)を見るのは初めてかな」


いけないいけない、呆然と立ち尽くしてしまった


「アタシはオーリ、まだ冒険者になってません。登録できる町へ行こうとしてたら道に迷ってしまいました」


この道を行けば町があるんだね、少なくとも進むべき方向は判ったんで収穫だよっ


「道に迷った?それは大変だったね。ひょっとしてこの付近にあったスターゲートの残骸の影響かな」


スターゲート?ひょっとしてゲームにあったポータルゲートの事かな?

もっとも、ゲートとかじゃなくてこの場所にいきなり出現しちゃったんだけど・・・

細かく詮索されると説明が難しそうだからそう言う事にしておこう


「ええ、いつのまにか見知らぬ場所に来てしまって・・・」


「ならちょうど良かった。こっちはこれから帰る所だったから乗せてってあげるよ、狭いけどね」


「ありがとうございます、お礼とかはどういたしましょうか」


「気にしないでいいよ、小さな女の子から金品を巻き上げるなんてゴロツキじゃああるまいし

冒険者は助け合って当然なもんなんだよ」


うわ、このひと善人だー、普通ファンタジー世界では何かにつけていくらかの報酬を請求するのが基本パターンだってのに


「でも1つ聞いていいかな?キミのその剣技、1度もオオカミに攻撃される事なく戦ってたよね

見たところ年端も行かないし冒険者でもないのにどうやって覚えたのかな?」


うわー、しっかり見られちゃってたんだよにゃあ・・・

まさか、何年も前から転生を繰り返して経験を積みまくり、殆どのスキルをカンスト(※1)させました!なんて言えないし

ここはTRPGのGMアドリブの要領で・・・


「私がいたのは、周り中が冒険者ばかりの村でした、

立ち歩けるようになってから、ずっと見よう見まねで大人たちの動きを真似していたらいつの間にか使えるようになってたんです。

でも自分の剣が使い物になるかは判らないです」


「すごいなぁ、生まれた時から冒険者って事かい、おっとまだ登録はしてなかったんだよね」


「僕も戦士としてはまだまだ中堅所のレベル40だけど、キミの剣には惹かれるものがある

もしキミが何かお礼をしたいって言うんだったら、その剣を少し僕に教えてはくれないかい?」


きちゃったー、戦士とか剣士ってのは大抵がバトルジャンキーなんだよねー

でも考えてみたら向上心が無いと生き残っちゃ行けない世界なんだけどね


「ごめんなさい、アタシのは見よう見真似で癖のように染み付いたもの、会得の仕方なんて・・・」


うん、アタシ大嘘つき・・・スキルゲットのクエストをクリアして入手、その後メチャクチャ修練を積んでスキルランクを上げたなんて事は言えない

だって、年齢&レベルとの矛盾がバレちゃうから


「その辺りはわかっているさ、プロなら教師だけでなく全てから学ぶものなのだよ」


アマドさんは、馬車の荷台の中を少しまさぐると、棒状のものを1本、私にかるく放り投げた

受け止めたそれは木刀、真っ黒な黒檀の木刀だった


「さぁ、思いっきり全力で掛かってきて欲しい。君が冒険者になれるか見極めてあげるよ

心配は要らない、タンク(※2)やっている僕は防御力には絶対の自信があるからね」


むー、もう引き返せない状況

後は野となれヤ○ト発進っ!



拙い作品をお読みいただきありがとうございます


この世界で最初に出会ったアマドさん、巨人族の戦士、見た目はちょっと怖いけど紳士だと思います

間違ってもロリコンではないと思いたい


ゲーム用語に詳しくない方のために、ちょっと解説

知ってる方は無視して構いません

(※1)カンスト:カウンターストップの略、スキルやパラメータ等を上限まで上げ切る事

(※2)タンク:パーティ戦で、敵の攻撃を一手に引き受ける盾役のポジションの事


ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが

ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです

よろしくお願いいたします!


『メタもベタも極めてみせるよっ!』


次回更新予定は、5月24日の6:00です

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