4章-21 二回戦決着だよっ
成長すると言う事は、経験と言うリソースを注ぎ込むと言う事、
クラスがあるという事は、スペシャリストであると言う事
さらにその中でごく一部分に特化して技等を磨きぬいたのなら、同じ土俵で真っ向勝負して太刀打ちできるはずがないよっ
でも突き立てられるナイフの切っ先を自分の切っ先で受け止める必要なんかない
同じ事する必要なんてない みんな違って、みんなイイ
う~ん、癪に障るなぁ
砕いても砕いても、即座に穴を塞がれる ゴーレム集合体の壁
グォォォン
攻撃ゴレがちょっかいをかけてくる、オマエの相手してる暇はないんだって
アタシがステップを踏んで回避する度にゴレパンチが闘技場の石畳にヒビを入れてゆく
どーせ、手足とかだけになっても動くとかの集合型とかになってるんでしょ
合体はロマンだって聞いてるからねー
手にしたロッドに魔力を収束
そのまま攻撃ゴレを殴りつけるように振りぬく
ドゴンッ!
魔力の一部が軽く爆発を引き起こし攻撃ゴレが吹き飛ぶ
魔法なので質量差や作用・反作用は関係ない
吹き飛ばされたゴレはアタシに追撃しようと集まってきたゴーレ達の集団の元にその背中から突っ込むと、大爆発を引き起こす
『ブレイジング・ビート』
マナを収束した杖で対象物を殴りつけると同時にマナを強制的に流し込み、
数瞬後に爆破する “近接魔法”
爆熱収束掌との違いは、こちらはまったくエコじゃない反面、爆発する前に吹っ飛ばす為、複数の敵を巻き込みやすい
遊撃部隊の人型ゴレをクリアリングしたので、再度壁の攻略に戻る
「この壁が、寄り添う無数のゴーレムだというのなら・・・」
『アイシクル・ランス』
両腕を頭上に掲げ構える、再度 氷の巨大槍を生成する
「連鎖侵食すれば一網打尽じゃ」
スドンッ!
ゴーレム防御壁に氷槍が突き刺さる
さぁ凍りつくが良い、そして弾けろ、そして連鎖して滅びよ
ばしゅうん
槍の刺さった箇所が切り離されて飛び出してくる
四角い・・・ゴーレム
アイシクル・ランスは命中してから凍りつくまで一瞬のタイムラグがある
そのわずかな時間に壁から自分を切り離し全体の連鎖から守った?
・・・とっ、たっ・・・ピキィッ パキャアアン!
飛び出した壁パーツゴレは、仲間のいない方向に駆け出そうとするも凍りつき
そして砕け散る
位置取りが良かったのか、連鎖は発生しなかった
「大した献身じゃのぅ、もう1発・・・は撃たせてもらえぬか」
ゴーレムが列挙して駆けつけてくる、残存兵力の一気投入か
沁みるね~自己犠牲・・・っと
これは競技なのだから、手を抜いたら失礼に値する
天に杖を掲げ、くるくるっと小さくかき回しながら呪文詠唱
杖の先端だけ渦を巻くように風が纏わりつく
「吹けよ嵐! 呼べよ嵐! 嵐よ叫べ!」
対集団迎撃魔法『ヘイル・ヴァルカン』、局所的に天候を操作し巨大雹の嵐を連続で叩きつける!
ヴァァァァァァァァァ!!
杖の先に生じた竜巻から30cmを越える巨大な雹の砲弾が発射される
さながらミニガンの様に、1本のビームと見紛うばかりの超連射で・・・
反動で暴れる杖を両手で押さえつけ、脇で挟み回転砲身を横に薙ぐ
白銀のビームが通ると同時に弾けていくゴーレム軍団
なお、この雹弾は単なる氷の塊ではない、圧縮した嵐そのものであり、1発1発が範囲攻撃魔法なのである
「ほほほ、タ・リ・ホー!・・・じゃ」
なぎ払う、なぎ払う!
消し飛んだ空白地帯から、新たに生まれ出るゴーレムも居るが問答無用で爆砕する
「あかんのォ、仮初の命とはいえ こうも大量に破壊し尽くしたら心も痛むわ」
頼むから集団で「♪ぼ~くらはみんな、い~きている~」とか歌いだすんじゃあないぞ
ヴァァァァァァァ・・・るるるる
「むぅ、持続時間終了のようじゃ」
「なら、そろそろ諦めたらどうだい、まだまだ軍団は出てくる」
対戦相手からの声が返ってきた
スピーカー担当のゴーレムとか居るんだろーな
「走り回っている君とは対照的に、こっちは壁に守られ、回復アイテムで癒されながらだからな」
「ほぅ、わらわも最近 究極の癒されクッションを手に入れたばかりなのじゃ」
「興味深いな、そのクッション・・・俺が勝ったら一度使わせて欲しい」
・・・それ、タヌ子が許すだろうか?
コガガガッ
ゴーレムが4体、地面より湧き出てくる
アタシはあえて呪文詠唱もせず、背を向けて歩き出す
「・・・もう、無意味な破壊を行う必要もない」
「それは、どうい・・・」
・・・ひゅっ、ドォォォン!!!
垂直に、遥か上空から火球が落下してきた
ぐるりと円形に張り巡らされた防御壁の中心に落下したそれは爆発し
耐火処理された壁の内側を爆炎で満たした
開けた場所なら単純に爆炎を一瞬浴びるだけのはずが、壁で反射した炎が戻ってきて2度目のダメージを被る事になる、もし、円形壁反射の焦点位置にいたら・・・
護符もあるし死んでないよ・・・ね
そう、落ちてきたのは超圧縮された『FBL』の火球
暗雲で視界を奪った時に上空へ撃ち上げておいた伏線
そもそも『FBL』というのはその名の示すようにボールを放り投げるような放物線軌道を描いて飛ぶが、なにぶん弾速が遅い
防御壁を超えるようなコースの曲射も可能ではあるが、対応されてしまうのが関の山
少しでも弾速を上げるための苦肉の策が超上空からの自由落下
「ケイモア選手、戦闘不能の為リーザ選手の勝利です!!」
割れんばかりの歓声がコロシアムに響く
派手な射撃戦もゴーレムの大量破壊も、あえて飛行しての攻撃を仕掛けなかったのも、全ては、この1発から注意をそらすため
ふぅ、手ごわい相手だったよっ
今回は消耗が激しかったから、タヌ子に癒されよう
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
『FBL』ってのはポピュラーだけに
けっこー悲しい魔法
大抵のゲームでは火炎系の上位魔法に分類されるけど、時とともにパワーインフレが起ると影の薄い魔法になってしまうという
習得するまでのクエストがやたら辛かった上に、スキルランクを上げるのも大変だった記憶があります。それでも鍛えぬき極めれば、ラスボスを1発というロマンが・・・
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが
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よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』




