4章-18 Mage Crusher だよっ
レイヤーってのはね、キャラになりきってる時は、会場の暑さも、体型補正の為の衣装の絞めつけも、疲労も空腹も、たとえ多少熱かあったところでも
キャラでいる間は苦痛なんて感じないものなんだよっ
1日の間を空けて今、会場では第1回戦、16試合目が行われている
運営さん、1日と一晩で頑張ったみたいだね
会場で戦ってるのは『閃光のカッシェル』VS『泥沼のルーディ』
金髪たなびくイケメン顔青年のカッシェルに対して、いかつい壮年のルーディは地味だ
ある意味対照的にか組み合わせのカード
序盤戦は一方的にカッシェルの放つ光輝槍の猛攻が押してはいたものの、一瞬の隙にルーディの代名詞である底無し沼に捕らえられ動きを封じられる
ルーディの岩石砲が炸裂し逆転KO
これにて準々決勝のメンバーが確定した
むー、あのコンボには要注意だ・・・
「うむ、まもなく第2回戦だな・・・」
リーザでいるときは、ちょっと横柄な口調になる
「・・・ケイモア・・・魔道士殺し」
マミさん、そんな凶悪な相手なの?
魔道士殺し?! ・・・どんなヤツなのだ?!
「一言で言っちゃえば『ゴーレムマスター』ね、超一流の『クリエイト・ゴーレム』の使い手よ」
「ゴーレムって、ダンジョンとかに居るアレの事か」
「近いけど別物ね、魔物として存在するのではなく、魔法によりその場で創り出されたゴーレムだから、ルール的には発射した火の玉と同じ扱いになるという事ね」
「厄介じゃな・・・向こうはこちらを殴ってダメージを与えられる、
じゃがこちらは術者を狙い撃たない限り有効打とはならない・・・」
「私も、破滅の漆黒宝珠(※1)が完成してなかったら危なかったわ」
「して、どのような戦いを取る」
「ヤツの戦法はたった1つ、『数の暴力』
次々と生み出されていくゴーレムの大群
数だけではなく多種多様、攻めに特化したもの、防御特化のもの、形も様々よ
その代わりと言うには些細な欠点だけど、ケイモアは一切動かない、いや動けない、ゴーレム生成とコントロールに全力を注ぎ込む」
「攻め所は無いのか?」
「あるとしたらたった1つ、なんとかしてゴーレム達の守りをかい潜りケイモア本人を叩く事、
ゴーレムは強いけどケイモア本人の守りは大した事ない」
よく似た状況なら経験している、本体は動かず無数の手下による飽和攻撃
あの時は、剣術奥義スキル(※2)にて切り抜けた
でも今回はその手は使えない・・・
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「王都魔道トーナメント、準々決勝第1試合!」
「青入場門、『傀儡軍団王』魔道士殺し ケイモア!」
ドーン!!
ケイモアは、2名のセコンドに左右から挟まれるようにステージに入る
セコンドは銀髪エルフと犬型獣人の女性、チーレムっぽいぞー
「赤入場門、『東の国の戦巫女』、紅い狐リーザ!」
歩いて入場して来る相手に合わせて今回はセコンドとともに入場、幻影の桜の花びらの舞う中、鎧さんの肩に乗って登場
これじゃどっちがゴーレムマスター判り難いよっ
- セコンドアウト -
見た感じでは、ケイモア氏はひょろりとした地味顔の青年
気迫や覇気のようなものも感じられず、魔道士殺しと言う雰囲気はこの男のどこからも感じられない
『ふぁ・・・さっさと終わらせて、俺は寝たい・・・』
一般には聞こえてないのだろうが、アタシの耳には聞こえている
実力者ならではの台詞、油断したら狩られる
でも乗り越えなくちゃ・・・リーザとしてお馬さんと一昨日約束したんだ
『今度は決勝で会おう』って
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
ここまで書いておいて今更なのかもしれないだろうけど、
もしゴーレム生成を他の魔道士の呪文程度の速度で出来たとしたのなら、
序盤の速攻を凌がれたら最後、巻き返しは難しくなるでしょうね
圧倒的に不利な状態から、それをどうひっくり返すのか・・・乞うご期待
【解説】
(※1)破滅の漆黒宝珠:
妖魔・黒に止めを刺した呪文(3章-19参照)
(※2)剣術奥義スキル:
大量のトレント軍団を殲滅した終焉幻想剣嵐の事(3章-07参照)
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』




