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4章-09 どぅ ざ まっそー!だよっ

メタな言い方だけど、忘れてた伏線

・・・そーゆーものもあるよねっ



しょげ返っている鎧さんをなだめながら店内に戻る

あーあ、せっかくのランチ、無駄になっちゃったなー


「こちらへどうぞ」


スラリとした巻き毛の青年、ウエイターというより料理人っぽい男性が席へと案内してくれる。

最初に着いていたテーブルと違う奥まった席


「ありがとうございました。お食事の続きをどうぞ」


テーブルの上には、肉料理が配膳されている

あれ? チキンじゃなかったっけ? アタシたちのコース


「申し遅れました、わたくし、オーナーからこの店を預からせていただいておりますクレイサーと申します、マスターシェフ・ゴルドーの弟子です」


礼儀正しく一礼する若きシェフ


「あの連中、この近くにある格闘技道場の連中なんですが、迷惑していたところなんですよ、せめてもの心づくしです、お召し上がり下さい」


むー、香草焼きなのは変わらないけどグレードアップしてる


「小鹿のロースト、ゴルドーオリジナル、特別メニューです」


うわ、外はパリっと中からはあふれる肉汁、香草のスパイシーさと素材の持ち味

互いに持ち上げ強め合いながら螺旋を描くような旨みが全身を翻弄する


「貴女の戦う姿をイメージして仕上げました」


するてーと、これって料理で表現した『トルネイド』?


アタシたちは、意識を持っていかれそうな食体験をした


----------


腹ごなしに広場を散歩


「美味しかったね」


「メインの小鹿ローストは言うまでも無かったけど、デザートもまた見事だったよっ」


「旬の果物のプディング、クレイサースペシャルだっけ」


「・・・・・」


「元気出してよ、横槍入れられて転んだだけじゃない、ダメージ1つ無いんだし」


「単に職種(クラス)の問題だよっ、あの状況じゃ戦士として動けなかったから一般人になってしまっただけ、アタシには『(クラス)』が無いから状況に左右されなかったんだよっ」


(ヘルム)に手を掛けられた事がショックだったのは判る

素顔はアタシ達にすら見せてないんだものね

この事はもう触れないであげよう


素早くその巨体によじ登ると、肩の上から一抱えある大きな兜に両腕を回し顔を押し当てた、キスともハグとも取れそうなポーズ(※1)


「ステキなランチをありがとね」


「な、なんだよ・・・」


照れてるのかな? 巨大な右手が頭をかく


「あ、そーだ一つお願いがあるんだけど・・・」


ダウナー気分を吹っ飛ばすには、別の事をするに限る

本人しか出来ない事ならなおさら

自己肯定の回復は頼りにされるのが一番の近道だよっ


「何かしでかしたんかい?」


むー、ひどいなー


「てへへ・・・矢筒の金具が壊れちゃって」


インベから取り出して見せようとしたんだけど・・・ここは肩の上


「あ・・・」


矢筒はそのまま落下して、落ちた拍子に中に入ってた矢をばら撒いた


ゲーム時代のアイテム、「お徳用矢筒セット」だから見かけより大量の矢が入ってるんだよ~~


あわてて矢を拾い集める。安物だけど街中でばら撒いていいものでもない


けっこー飛び散っちゃったにゃあ・・・

あ、手伝ってくれてありがと・・・


「さがしたよ、ガール」


野太い声、声の方を向く、上を向く、そっくり返る

ジャイアントだー、鎧さんとトントンの身長、いや兜込みの鎧さんと同じって事はもっとデカい


それに横幅もすごい、太ってるのではなく筋骨隆々・・・なんてもんじゃない

そのボリュームはフルアーマー込みの鎧さんを上回るゴリラ

いや、本物のマウテンゴリラだって『貧弱なボウヤ』に見えるくらい

色男系ファイターなんて、針金棒人形だ


刈り込んだ頭髪に濃い顎鬚、日に焼けた肌、タンクトップに短パン

二の腕なんて、太さと長さが同じくらいだ

・・・伸ばされきって密着した衣服はレスリングスーツかレオタードのように見えなくも無い


「ん~っ、やっぱしこの矢だ。間違いない」


ポッキーかなんかをつまむように矢を見つめて頷いている


「おっ、スマンスマンこれは返さないとな」


ガシャン! ズンッ!


鎧さんがアタシを庇うようにダッシュで間に立つ

街中で巨大怪獣戦争はやめてー


「勘違いしないでくれ 缶詰ボーイ、危害を加える気なんか無い」


缶詰! 確かにフルプレートだけど


「ワシの名はライド、昨日王都に帰ってきたところだ」


「そのライドさんが、アタシに何の御用でしょう?」


地面に胡坐をかき、膝を叩いて笑う


「はっはーっ、やっぱそれくらい強気でなくちゃあんな事出来ないかー」


話が見えんぞー


「話すと長くなるんで簡略化するが、昨日馬車で街道を帰路に向っていたら盗賊団に襲われてな、

ワシも腕っぷしには少々自身があったのだが、走る馬車の上じゃ何も出来なかった」


サイドチェストポーズ(※2)


「追いつかれる~と思った時にいきなり空から何者かが現れたのだよ」


アブドミナル・アンド・サイ(※2)


「そしてその直後には、地面に転がされで無力化済みの盗賊たち

一応護衛役も兼ねて登場してたので、盗賊退治で謝礼ももらってしまった」


フロントダブルバイセップス(※2)


「手がかりは盗賊に刺さってた矢と、同じく王都の方へ向かって行ったという事のみ」


モストマスキュラー(※2)


ええいっ いちいちポージングしないと話せないのかいっ

うっとーしいっ!!


「で貴方はアタシがその当人だって言いたいのね?」


「ちがうのかい? 今拾った矢はあの時と同じ矢だった」


しまったー、いつもの癖でインベにある矢をつかっちゃったけど、この矢はゲーム時代のものだった。この世界には無い


「ご名答よ、で、何がお望み?」


「なぁに、何かお礼がしたくってな

 メシでも奢ろうかと思ったけど食後みたいだしな」


「そういうのいいよっ、ただ、あの時の事は言い広めないでくれると助かるかな」


「わかったけど、それだけってのもな・・・ちょっと見てくれ」


ライドくん、いきなり演舞を始める


超巨体らしくない軽やかなステップから、流れるような手刀、掃腿、肩・肘を使った打突技、空中多段蹴り、回転技、一連の動作のようによどみなく繰り出される技は美しく、惹きつけられるものだった


最後はニカッと笑ってサムアップ


「どうだい、ウチのスクールのレッスン、体験して行かないか?

女性にも大人気なんだぜ」


「この街のエセ拳法家の踊りなんかと比べてもらっちゃ困る

そこの魔法使いさんも、缶詰兄ちゃんもごいっしょに」


面白そう、どーせぶらり旅なんだし やっちゃおう


----------


翌日、王都の外れの方にあるライドくんのスクールで体験入学としゃれ込んでみた


「はあい、ステップ、ステップ、もっと奥までしっかり捻る」


ストレッチから始まって足裁き、基本動作、各種の型を学ぶ

なるほどこれは素直に身につくよっ


「魔女さんはもっとにこやかに、苦しい時こそ表情が大切」


「黒鎧くんは、動きが硬いそ 外側硬くていいから中身は柔らかく」


「ネコちゃんは飲み込みいいんだけと、どーしてそんなに殺気立つかなー、もっと優しく」


教え方上手いしレッスンも楽しい

生真面目な鎧さんなんか、休憩もそこそこに自主トレしてるしー



「ねぇ、1つ聞いていい?」


「オーライ、何でも聞いとくれ」


「この拳法、すごくスムーズで美しいんだけど、どこ発祥なの?」


ライド先生、ちょっと考えてから目が点になる


「なんか勘違いしてないかい?


 ワシの職種(クラス)は『ダンサー(踊り子)』だぜ


 ここは “ダンススクール”だよ」


拙い作品をお読みいただきありがとうございます


またまた暑苦しそうなキャラを出してしまいました

ライド君は知り合いがモデルです。MMORPGのキャラですが・・・

一応、サブ職は格闘家でもあります


【解説】

(※1)キスともハグとも取れそうなポーズ:どっちにしても装甲の上からだからセーフ!

(※2)サイドチェストポーズ、アブドミナル・アンド・サイ、フロントダブルバイセップス、モストマスキュラー:どれもボディビルのポーズ、気になった方は検索してみて下さい


備え有れば嬉しいな

おーちゃんは、いつか使う事もあるだろうって片っ端からスキルカンストしていったプレイヤーなのです

「矢筒をその矢で満たしている人の幸い」と聖書にもありましたっけ


次回は、毎日更新ヤバいかも・・・(T△T)


ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが

ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです

よろしくお願いいたします!


『メタもベタも極めてみせるよっ!』


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