4章-05 王都観光だよっ
おのぼりさんと呼ばれようとも、とりあえず首都くらいは見ておきたい
一応はアタシ、異邦人なんだしね
ゲートを抜けるとそこはもう繁華街、建物の密度、大きさ、豪華さ、どれをとっても今まで見た事もないくらい
もっともアタシは山間の村と交易中継の町しか知らないんだけど
通りを進むと広場があって、噴水とかあったりする
広場には屋台が並び、くつろぐ人々が大量に行き交う
広場からは大通りが奥へと続いている
王都は村や町とは比べようもないくらいに広い
観光しようとしたら数日掛かっちゃうんじゃないかなー
着いたばかりだし、今日は軽く見て回るだけ~
ついつい覘いてしまう屋台の食べ物
夕飯にはちょっと早いけど小腹も空いてきた、ちょっとだけなら問題ないでしょ
フルーツとか、串焼きとか、スープ、ソーセージなんかもあるねー
基本的には、交易中継点であるダヌパとあまり違いがないよっ
どーせなら、ココでしか食べれないものがいいなっ
・・・ん~、なんか粉モノを焼いてるような匂い
どこからか漂って来る匂い、残念ながらアタシの嗅覚は並の人間
やっと方向が特定できた まさか! あの丸いのはっ!!
思わず駆け寄ってしまったよっ
実は昔学生の頃 大好物だったアレに出会えるとは・・・
「おっちゃんちょーだいっ、大判焼きっ」(※1)
「お嬢ちゃん、これは『大金貨焼き』っていうんだよ、中身はどれにするかい?」
意味的には同じだよっ、って突っ込みは口にはしない、名より実
ほむほむ 中身は選べるようになってるんだー、でもこの世界に餡子はなかった気がする
「どんなのがあるの?」
「ジャムがいくつかとクリーム、果物を直接入れることも出来るけど日持ちがしないからこれから焼く事になるよ」
「それじゃ、チーズ入れてみてー。4個」
邪道かもしれないけど、アタシの大好物だったヤツ、ここで再現してもらえるかなー
「甘くないのもおもしろいな、エールのアテにもなりそうだな
よっしゃアイデア料として1個分おまけ」
銅貨3枚で4個ゲットー はむっ、微妙な差は有れど懐かしい味
温かいチーズの溶けている間に食べちゃわないとね
あ、夕焼け
早めに宿を取るだけ取っとくべきだったよね
こんな都会まで来て宿が取れずに野宿なんて、あまりにも情けないしー
これ、今までの生活で学んだこの世界の常識
「お勧めの宿ってある?」
「あるわよ~、このケーケン豊富なお姉さんにまーかせて」
アタシは何も知らないんで、経験者であるマミさんについて歩く
お勧めの宿は大通りから少々奥まった所、高級なのから一般向けまで各種酒場の乱立する中にあった
「ここは王都最高の建造物、王城のレプリカなデザインの宿なのよぉ」
・・・∠(○△○)ゝなー、確かに“お城”だ
しかもカリカチュアされまくったネズミーランド風というか
21世紀ではほぼ絶滅してしまった「とある目的」に特化した宿、
「ご休憩○時間」といった雰囲気だだ漏れハンパない
それにココ、なんとなく怪しい香りが漂ってくるしー
「この宿、室内装飾にも独特の工夫がすごいのよ~
1部屋ごとにテーマがあって・・・」
「却下!」
ハードル高すぎるよっ、元の世界でも入った事ないんだよっ
基本的に一人では入れないし、どーせ一緒に行く相手もいなかった喪女だよっ
「丸い大きなベッドとか、ミラー張り寝室とか滑り台つきのお風呂とか楽しいのに」
やっぱりそーゆー宿だったんかいっ!
結局、表通りからあまり離れていない大きな宿にする
王都でも老舗らしく、宿屋さんと言うより正統派ホテルっぽい
受付カウンターにマミさんが駆け込む
「ツインルーム、いやダブルルームで!(※2)」
「シングル2つ!」
「え~( ̄△ ̄)」
誰が好き好んで猛獣と密室内で一晩過ごすような事をするかいなっ
「帰りはレッドドラゴンがいい? それともウチの子最速のワイバーンがいいかな?
ドラゴン系はちと荒っぽいけどねー」(※3)
「・・・個室2つでいいです」
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
【解説】
(※1)大判焼き:今川焼きって呼び名が一般的かも・・・おーちゃんの好物のおーばん焼き
実は私も学生の頃よく食べたかな?チーズ入り
(※2)ツインルーム、いやダブルルームで:ツインルームはシングルベットが2つ設置。ダブルルームはダブルベットが1つ設置。マミさん不純
(※3)レッドドラゴンがいい?:ドラゴンは空中では速いのですが地上での走行速度ではグリフォンの方が速い、ワイバーンはさらにそれが顕著
乗り心地においてもグリフォンに軍配が上がる
実はこれ、AM5時近くに書いてます
出来うる限り毎日更新・・・がんばるよっ
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』




