3章-16 妖魔戦隊グレムリン・フォースだよっ 1
なんなのよー、カラフルな戦隊なんか出して!
こっちの方が怪人だって言いたいの?
確かにみんなバラバラで個性の塊みたいな面々だけどさ・・・
「ガァァァッ!」
「ギィエェェェェッ!」
「ゴァウゥッ!」
「うぉりゃあっ!」
「せぇいっ!」
「むぅんっ!」
前衛3名同士が激突する!
妖魔戦隊の赤、青、黄
こちら側は、今回臨時のリーダー、重戦士バルガ班長
年季の入った古強者、犬戦士ゲニム
聳え立つ黒金の城、全身装甲巨人アマド(※1)
この世界、この時代の戦の基本は、ご多分に漏れずMMORPGの戦法にほぼ一致する。
『タンク』と呼ばれる壁役が敵前衛の攻撃を受け止め、『アタッカー』と呼ばれる中衛&後衛がダメージを蓄積させていく
堅実かつ安全性に秀でたセオリー戦術
ガンッゴンッギッ!
バルガ班長は人間、残り2名の巨漢獣人&巨人族と比較するとどう見ても見劣りする・・・が見かけだけだ
ギルトのベテラン重戦士だけあって、サイズの違う相手の攻撃をさばいている
対するは幅広の剣をもつ妖魔・赤
リーダーどうしの手合わせ、相手にとって不足は無い
ゴーン、ドーン、ゴゴーン!
戦斧使いのゲニム爺さんは ブルドック顔の大型犬獣人、他のタンクと違い最低限の防具しか身につけていない為古傷だらけだ
彼は長年磨き上げた技術と経験による受け流しタイプのタンク
対するのは巨大ハンマーの使い手、妖魔・黄
速度や手数よりパワー重視の相手とは相性がよいようで余裕がありそうだ
ギンッ、ギッキキキンッ!
巨人族のヨロイさんは、当然他の面々より大きい
その巨体は妖魔戦隊にも決してひけを取らない
対するは三叉槍をもつ、妖魔・青
普段から気配り紳士の彼は前衛3体の中で一番リーチのある青の相手を買って出た
リーチに不足は無く、装甲では勝っている、不安要素はほぼ無い
ガンガンギギーン
ギンッガガッ
ゴーン
ほぼ互角にタンク同士が打ち合う
その合間に後衛の飛び道具が相殺しあい、ヒーラーの回復や強化呪文が飛ぶ
- 苦戦? 一進一退? -
負けそうな気はしないのだけど、戦況はあまり大きく変化しない
『なんか忘れてない?アタシ達の目的はこの後に控えるアイツだよっ
この調子で消耗戦した後の連戦でいけるの?』
自問自答、ここで消耗させるのが狙いだとしたら・・・
うん、だらだら続く膠着戦にケリを着けるのもアタッカーの役割
「正攻法だけが攻略じゃあないよっ!」
アタシは青に向かって突進する、もちろんタンクの攻撃の合間を狙って
青も三叉槍を構える、どー見たってリーチでは勝てないけど、進路は正面から、さらに加速っ!
口元が歪んでる、そりゃそーだ、
向こうにしてみれば勝利を確信しているのだろう・・・一番ちっこいのが真正面から突っ込んできてるのだから
相手の間合いに入る、こちらの間合いには程遠い
左右に避け難い 魔物サイズの三叉槍が突き出される、
『回転回避』
一瞬だけ当たり判定を無くす、地を転がる回避スキル
前にヨロイさんとの模擬戦で使った一手、某音速ハリネズミのように妖魔・青の脚の間を潜り抜ける!
「おねーちゃん、青いの任せたっ」
もう1人のアタッカー、コロナに言うだけ言って、そのまま駆け抜ける
狙うのはピンク・・・じゃなくって白、前衛が拮抗苦戦するなら後衛を叩く!
普通なら実行しがたい作戦だけど、アタシには機動力と回避力、当たり判定の小ささがあるっ!
妖魔・白、ヒーラー兼魔法使い
コイツ、近くでよく見るとメスだ!(※2)
「うりゃああぁっ!!」
ガガガガガガッ!
やっぱ後衛だけあって接近戦は苦手な模様、タンクを回復する手を止めて防戦一方になる
恨みは無いけど、倒させてもらうよっ
「「「おおおぉっ!!」」」
観客席からの声が聞こえる
ノってきたぁぁっ! いくらデカくても後衛タイプに後れを取るアタシじゃあないよっ!
対人戦のように一撃必殺とまでは行かないが、2本の剣が白の体力を削っていく
「「「うしろぉぉっ!」」」
観客席の皆さん、ご忠告ありがとだよっ でも実は気付いてる、ネコミミレーダー万歳っ
背後から妖魔・緑が駆け寄ってくる。弓使いなのに接近戦かい? 流れ矢が味方に当たるのを避けたかった?
アタシはあえて振り向きもせず白への攻撃を続ける
同時にネコミミへも集中力を割く
背後の距離12m・・・8m・・・3m、いまだっ
剣撃の残身をキャンセルしてスキルを放つ
アタシは全身を回転させながら2刀を広げ、刃のプロペラと化す
「風刃回転斬りっ!」
斬撃が360度全方位へと広がる広範囲攻撃、有効範囲半径約5m
出掛かり無敵の強力スキルだけど、防御されると隙が大きいので相手の攻撃にあわせるか、こちらの通常攻撃をキャンセルして繋げる必要がある
ボディから体液を噴出しながら吹き飛ぶ白と緑
「|チェイス・ストライク!《ダウン追い討ち攻撃》」
反射的にスキルコンボを繋げる。吹っ飛んだ白を追うように跳躍
ヨロイさんとの模擬戦では、強制キャンセルしたけど今は遠慮する必要なし!
床に叩きつけられた白の胸と首に剣が突き立てられる
大きく痙攣した後、完全に動かなくなった。勝利だよっ
反対方向に吹き飛んだ緑が矢ぶすま&一部黒焦げで倒れこちらに手を伸ばしている
こいつ自分より白が気になってたんだな
もういいんだよっ、そのまま眠れ
後衛のサポートが受けられなくなったタンクは脆い
この勝負はまもなく着くでしょ
「正攻法は手堅いけど、型破りには弱いんだよねっ」
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
皆様の暖かいご支援のおかげで、【小説家になろう 勝手にランキング】において、
なんと! 42位まで駆け上がる事ができましたっ!(≧▽≦)9
(2017/6/11現在)
ID取得しなくても作品の読める当“なろう”において、PVと勝手にランキングは心の励みです
今後ともよろしくお願いいたします。
【補足説明】
(※1)アマド:ヨロイさんの本名ですよー、「ヨロイさん」はアダナ
実は、まだ苗字が決まってなかったりするんよね
(※2)よく見るとメスだ!:なぜピンクにしなかったのだろう、紅一点が白ってケースもあったけど・・・
悪魔族がなぜスーパー戦隊してきたのかは、実は理由があったりして・・・
一見単なるネタと思わせといて複線だったってのは、実は大好物な構成
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが
ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです
よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』




