0章 導入はベタ過ぎて・・・だよっ
本日、誕生日(本当)を機に 連載スタートいたします。今後ともよしなに・・・
『うわぁ~~っ!アタシ幼女じゃないのー!!』
思わず叫んじゃった
周り全てが大きく見えるほど低い自分の視点
手足は信じられないほど細く華奢だった
重さをほとんど感じられない、肉の薄い起伏の無いボディ
何度確認しても返って来る結果は同じ、ひっくり返しようのない事実
ぺったん、たんた、ろりぺったん
世界が変わった事よりも、自分が若返ってる事よりも、まず最初に感じたのは、
とてつもない不条理感だった
アタシは嘗めていた、ゲーム世界を・・・厳密にはゲームによく似た世界なんだろうケド、実際に自分が当事者になってみると色々と思い通りには行かないと言う事に・・・
今までやっていたゲームの世界では、スタート時の年齢をある程度自分で選べた、
年齢が高いスタートほど初期ステータスは高い
でもレベルアップ時に上がるスタータスは、年齢によって微妙に異なり、
通常は上げ難い『運』が上昇しやすい低年齢を選択するのがプレイヤーのセオリーだった
ちなみに年齢が上がるほど筋力等の肉体的能力が上がる傾向になる
今までは現実の約1週間でゲーム内の1年が経ち、1つ年齢を重ねると共に加齢成長ボーナスがあったりする
MMORPGとしてゲームしてる分には気にならない、フツーのありがち(?)の
よくあるシステム
だ・が・し・か・し!!
でもその世界に入ってしまっている当事者なのなら話は別!
1年ってすっごく長いんじゃないの?
『うわぁ~~っ!かなりの間、アタシ幼女のままじゃないのー!!』
確認して再度自分を戒める(グチ半分だけど)
ホント嘗めていた。異世界転生ものはたくさん読み漁ってきたけれど
こんなところに落とし穴があったとは・・・
さてお話は少し時間をさかのぼる
アタシのハンドルはオーリ、リアル本名はちょっと伏せさせてもらうね
なにせ昨今のネット世界ってのは、西洋ファンタジーの魔道師同様に
真の名を知られたら人生終りになってしまいかねないからね
また、近代潜水艦の戦闘と同様に物理的位置を特定されてもオシマイ
ある意味、怖くてやるせない世界だよねー
一応、新人以上お局サマ未満のOL・・・だったよっ
ネトゲやチャットでは、直結な出会い厨が怖いので「主婦」で通してた
社畜ではないと思うけど近年ずっと会社と家の往復しかしていない
学生時代は同人イベントとかも行っていた「元オタ」だよっ、多分「腐」ではない
かわいいキャラ(性別問わず)と濃いオヤジキャラが好物・・・二次元限定だけどね
あと好きなものは、一部のSFとファンタジー
“一部”ってのはSFのジャンル、ハードなのとか宇宙モノはよくわかんない
アタシはとにかく電脳ダイブ(入り込み)ものが大好きだったんだ
超古典の「にゅーろんまんさー」から始まってラノベになりそこなった「シルキーピアものがたり」とか
Web小説系もほぼ網羅、「字幕の地平線」や「SIO」はハマりました~
アニメも「コレクター・ユニ」とか「紅殻機動隊」とか
とにかくネット世界に入り込むタイプの作品は漁りまくった
ファンタジーの方は剣と魔法ものなら手当たり次第に読んだ、
TRPGも多種多様にやった
コスプレもやった、本も作った(売れなかったけど)
ちょっと脱線しちゃったね、さて何故アタシが叫ぶような事態になっちゃったかというと、語るにはけっこー恥ずかしいベタな展開なんだよね
そこそこのオタだったアタシも、社会人なっちゃうとさすがに時間的余裕がなくなってくる
就職難かつ雇用の不安定な昨今、生き残る為には社畜とまではいかなくとも会社の都合ってのは優先せざるを得ない
自然とオタ活動は影を潜め、代わりにネットに癒しを求めるようになったんだぁね
小説サイトにコスプレチャット(※1)、なりきり板(※2)やオンラインTRPGセッションなんかも手を出した
こちとら元レイヤー、キャラになりきることには自信がある、つーか本能
と言うよりRPGはイメージで脳内補完して電脳ダイブしているつもりになっていたのだろうと思う・・・『没入』ってヤツかも
ハマり過ぎたらヤバいと敬遠していたけれども、電脳世界への憧れは日に日に募るばかりで、つい数年前に手を出してしまったMMORPG
「MAGI」という名前のオンラインゲーム、「戦うだけじゃない、生活観あふれる世界」というキャッチフレーズに惹かれて結局ハマってしまった
初めてプレイしたMMORPGは、今まで脳内補完で補っていたチャットや掲示板の世界とは一線を画していた。
「うわ、自分の姿が見える!、走り回れる!、生産、料理、旅、冒険、いろいろできるんだ!!」
そんな感動からほぼ毎日ログオンしては、ファンタジー生活を満喫していた
・・・しかし、時は流れる
不器用だったアタシも、長い年月の末には主だったスキルを次々とカンスト(※3)させた。
まったり生活派のアタシより攻略やり込み主義の人はもっと早くに育ち切らせてしまったのだろう
知り合いだった人が一人抜け、二人抜け、自然とアタシもログオンから遠ざかっていた・・・
そして今からほんの数時間前、アタシは何の気なしに懐かしのMMORPGに接続してみた
まだIDとか残っているかなーってくらいの軽い気持ちで
・・・で、その後は異世界転生モノのべったべたパターンとゆーヤツなのだわ
最初は視点カメラ設定が一人称になってるなーって思っただけだった
おかしいだろ、それ・・・って突っ込まれても否定しないよっ
アタシ、TRPGする時とか脳内補完してキャラと一体化する癖が付いてたから
またいつもの没入癖なんだな~程度にしか思ってなかったのよ
元レイヤーでTRPGプレイヤー、なりきる事に関してはデフォルトの本能なんだよっ
でもただ1つ、一般的な異世界転生モノの主人公とアタシが根本的に違っていたのは『元の世界に帰りたい』って気持ちが全く無かったって事
ずっと憧れていた電脳世界、自分が生きている間には絶対無理だろうって思ってた電脳世界
しかも大好きなファンタジー設定、こんなステキな事ってまずありえないよっ
『SIO』に出てきたVR装置だけど『Amnesia-Sphere(※4)』より断然『Nerd-Gear(※5)』、死ぬ時は畳の上より電脳世界
・・・って気負ったところで回想前の所につながるってワケ
大抵の転生してきたチーレム勇者は、無双して、地位とか得て、爵位とか貴族とか手に入れで権力を誇示したり、
商売とか領地経営とか組織運用とか色々多角経営の集団作り上げ、自分は動かなくなったり
急激にパワーインフレして魔王とか神の領域とかに行っちゃったり
次々と大きな厄介事に巻き込まれて、世界の存亡とかに関わったり・・・
アタシゃそんなのゴメンだよっ!
のんびりと、まったりと、時にはささやかな冒険とかしながら
怠惰にぐたぐだとファンタジーの世界を満喫するんだー
沢山た~っくさん小説とか読みまくってきたんだもの、アタシは絶対に他の主人公の様にはならないぞー!
これから平和に末永くこの世界で暮らすんだ
アタシのファンタジーライフは誰にもジャマさせないよっ!
この決意が大きなフラグとなっていた事に気づくのはまだ先なのかも知れない
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
タイトルの「超サマル」はできたら「スーパーサマル」と読んでください
本文中で主人公の外見描写が薄いのは、まだ自分の姿を見る事すらできていないからなのです。
鏡も水面もない状態で自分を確認するのって難しいと思います。
【用語説明】
(※1)コスプレチャット:キャラクター名の仮ハンドルをつけて、そのキャラクターになりきっての会話を楽しむチャット
(※2)なりきり板:掲示板上でキャラなりきりを楽しむ板やスレッド
(※3)カンスト:カウンターストップの略から生まれたスラング、スキルとかレベルとかが限界点まで成長し終わってしまう事
(※4)『Amnesia-Sphere』某作品中の架空のVR装置、安全な普及品
(※5)『Nerd-Gear』上記の試作機、高性能だが脳死のリスクもあるらしい
「めでぃきゅっぽいど」は出てきませんw
なお、主人公はこの作品のメインタイトルを知りません
読者の方にだけ、先にネタバレなのです
主人公の最大チートは「異世界モノ作品、知識チート」なのです
もじりとかで他の有名作品にアレコレ言っちゃってますけど、そーゆー主人公なのです
許せん!って方は、感想コメントに罵詈雑言ばっちこーいなのです
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが
ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです
よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』