3章-07 そっちがそー来るなら、こーだよっ
どんなRPGでもスタート地点付近のMOBは弱く
奥へ進むに連れて強敵と化していく
これはプレイヤーの成長と勝ち進めさせる為の創造主のシナリオに他ならない
こうしとかないと、創造主は人々の声によって食い殺されてしまうからね
もし、この現象をカミサマ抜きで説明するのなら
始まりの村はたくさんあったのだろうけど、弱くない敵勢力の近くにあった村は滅んじゃって、条件の良かった村だけが残っただけという事になるのかもしれない
どんな時代でもどんな状況でも、『数』はダイレクトに『戦力』となる
弱い敵でも2匹いれば火力、攻撃回数、体力が倍になる
しかも1匹分以上のダメージを与えてもそれ以上はムダになる
なら、打てる手は1つ『手数を増やす』
「・・・30秒間、無双させてもらうよっ!!」
ゲーム時代の剣術系スキル最上位に相当する技、極めた剣術スキルと高難易度の連続クエストを突破して初めて会得できるスキル
「縁理流 最上位剣技、『終焉幻想剣嵐!!』」
スキル発動の瞬間より、全身に熱いオーラのようなエネルギーが吹き荒れる
アタシ自身が倒れるか、スタミナが尽きるか、スキルが終了するまで、自らを剣撃の鬼神と化すスキル
瞬間移動と見紛うまでの高機動および一切のノックバックを発生させない超連撃を行うことができる
その代償として、スキル発動中は一切他のスキル発動およびアイテム使用、防御はできず、かつ大量にスタミナを消費してゆく
目の前の敵をなぎ払うように切り伏せた直後 1歩で次の敵へと向かう、第三者の目からは瞬間移動にしか見えないだろう
左右の剣を振るい2体を巻き藁斬りの様に斬り飛ばすとけ剣のフォロースルーも終わらぬ内に次へと向かう
残像が生まれ、あたかも分身しているかのように見えるだろう
燐光を放つ剣線を幾重にも身に纏う鬼神と化した身が戦場のあちこちで同時に剣を振るう
・・・今この瞬間、アタシは数の上でも劣っていない(実体は1名だけど)
ズガガガガガガッ・・・
剣撃の音がほぼ1つに繋がって響く
「なんて凄まじい・・・」
「こら、見とれてるヒマはないって!親玉を討つわよ!」
ボス戦も優勢に進んでるみたい、チビどもに連携はさせないっ!
数も大分減ってきた・・・あと少し・・・
ゴガガガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・
剣撃の音が1つに繋がり続ける
大好きだった『SIO』に出て来たスキル『夜空の16連撃』に良く似た技かもしれないが、こちらは打数ではなく時間制だし
使い方によっては応用が利く反面リスクも大きい
こっちはロック技(※)ではないので、中断させられる事もありえる
だから、射撃による横槍を入れられないようにボスはメンバーに任せた
斬る!斬る!斬る!斬る!いくつもの残像を残しつつ目に付く敵を片っ端から斬り伏せる
跳ね上がった身体反応速度を、先行入力するように高速力技の意志力でブン回す
身体はきしみ、神経は焼け切れそうだ
アタシのスタミナゲージが目に見える速度で減少を続けている
スキル持続が切れるのが先か、スタミナが切れるのが先か・・・
後6匹・・・3匹・・・殲・滅ッ!!
ぎりぎり間に合った!スキル終了までわずかに残った時間で、ボスへと向かう
すれ違いざまの最後の一太刀、4重の残像を纏った剣がボスの砲身を切り落とした・・・タイムアップ!
ホールの片隅でアタシの身体は停止、オーラと残像が消えていく・・・動けない、スキル後の硬直が約0.5秒
スタミナもほとんど残ってない
「穿孔矢!」
「烈閃撃斬!」
「雷光爆裂!」
GUGYHAAAAA!!!!
かすれそうな視野の中、ボスの断末魔を耳にした
勝ったんだよね
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
【用語補足】
ロック技(※)1発目の始動技が入れば自動的に残りの連続技が確定するタイプの必殺技、格闘ゲームなんかにはよくある
今回切り札としてい使った『終焉幻想剣嵐』
V-M▲X か ク■ック・アップ かといった感じかな
実は、このスキルには、深刻な弱点というか欠点があったりします
テンポが悪くなるので本文中では説明しませんでしたが、
ノックバックが発生しないという事は、連撃を入れれると同時に相手からの反撃があっても吹っ飛ばされない、間合いが開かないという事に他なりません
スキル使用者は防御不可、アイテム使用不可、別スキル使用不可で、剣を振るう以外一切の事ができなくなり
その一方で相手側はスキルもアイテムも使用可能なので、素の剣技が不十分だと一方的にボコられるだけの「自分を必殺のスキル」になってしまいます
剣術を極めて初めて役に立つ「最上位」スキルなのです
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが
ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです
よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』




