3章-06 理に適ってるけど、お断りだよっ
野生の勘とか第六感とかニュータイプのキュピーンとか、御都合主義と笑い飛ばしたいのは山々だけど、案外バカにできなかったりする。
神経ってのは最高速で秒速120m位しか速度が出ないのに音源の位置とか分かっちゃう
ハードの処理速度的におかしい予測対応とか無意識の部分とか
人間の情報処理系ってまだまだ詳しい所は解明できてないんだよね
だから直感を感じたらとりあえず従ってしまうといい、
試験とかも最初の直感が正解である事多いもんね
ボンッ!!
直感だけで飛びのいた足元の地面が爆ぜた
戦場では理屈で行動するよりも直感に従った方が生存できると聞いたことがある
動物的な勘は生存技術に関しては、理論よりも上回る
爆発の中から飛び出してきたのは小柄なトレント、爆発の土くれを目くらましにそのまま跳び掛かってきた
危ない危ない、移動してなかったら足元すくわれて手痛い一撃をもらう所だった
「ローアングルは、ちゃんとレイヤーさんの許可とってからするもんだよっ!」
2本のソードが咄嗟に斬り伏せる、コイツらあんまり強くはないみたい
ただし形は人型に近く足の様になった根を使っての移動が可能なようだ
このホール、石造りなのに床だけ土になっていたのは、この伏兵の為だったのかっ
ボンッ! ボンッボンッ!
あちこちの床から、小爆発が起こる
これ、けっこーヤバくない? マジやばくね?(∠(○△○)ゝコバヤシー)
ボンッボンッ!ボボンッ!
破裂音が鳴るたびに小人トレントが飛び出してくる
その数、約20匹・・・なおも増加中
一匹一匹はそんなに強くない、でもこれは数の暴力だ
統制の取れていない集団は攻撃の流れと言うものが読めない
デカくて一撃の重いボスキャラのほうがずっと対処しやすい
「くっ、迎撃が間に合わないっ」
「なんでぇ、次々と出てきやがるぜ」
「ふんぬっ!」
マミさんもタツアンも、人(?)海戦術に苦戦してるみたい
比較的善戦しているのは鎧さん、ダメージが通ってこないせいか全身にまとわり付かれたまま力技で叩き潰している
最初にいた大トレントの方に目をやると・・・明らかに回復している
切り落としたはずの枝がいくばくか再生してる
げっ!呼び寄せた小トレントを吸収してるよー
「せっかく与えたダメージが・・・本体を先に叩くぜっ」
タツアンが壁を蹴り、小トレントを飛び越えて大トレントへ跳びかかる
バギンッ!
大トレントまで距離2mの辺りで、その軌道が大きく変化
身体を2つに折り斜め後方へと吹き飛ばされる
見えない壁と言うより、まるで不可視の何かに殴り返されたよう
もんどり打って床を転げるタツアンと大トレントの間に小トレントが割って入るかのように守りを固める
「親分には近づけさせねェって事かい」
素早く立ち上がるも、即座に攻勢に出られるスキは見つけられなかったようだ
左腕の防具が砕けている
咄嗟に腕でガードした様子、さすがは熟練の冒険者だねっ
トレントのほうは・・・なんかパーツが増えてる
一見ハニワのようだった幹の中央の顔にタコ口が生えた、ヒョットコと言うか砲身と言うか穴の開いたチクワのような枝がにょっきりと
タツアンは、アレに「撃たれた」らしい
援護してあげたいけどこっちも群がるトレントにけっこー手一杯
篭手片方失ったけどクリーンヒットしていないからまだ大丈夫よね?
今度はアタシをタゲってる?
砲身っぽいのがこっちを向いた、幹の上を移動できるみたい
どーゆー構造だよっ、旋回砲塔じゃあるまいし
ガィンッ!
うわ、撃ってきた! とっさに剣で弾いたよ、2刀装備なんで盾持ってないからね
無差別乱反射攻撃と違って単発攻撃だから、砲身に注目していたなら避けれない事はない
でも小トレントとの乱戦中に狙われたらヤバいよっ
ギギィッ
近くにいた小トレントを斬り倒す、なかなか減らないね
ドンドンッ!
大トレントからの砲撃、飛び跳ねるように避ける
ボンッボンッ!
地面から生えてくる小トレント
う~ん、埒が明かない
いや、まてよ・・・トレントが生えてきた場所って・・・
ついさっき避けた砲撃の着弾付近・・・またかとは思ったけど、この砲弾って・・・種?!
うわ~~、これって完全なデス・トラップ
今の所戦況は拮抗しているけど、アタシ達だって永遠に戦えるわけじゃない
スタミナや魔力だって消耗するもの、いつかは枯渇する
一方小トレント達はほぼ無限に増えてくる、大トレントは子分吸収で無限に回復してくる
・・・そして根負けして倒された冒険者達は、この地面の一部となってトレントの肥料になる
着弾で弾けた地面に骨っぽいものが混じってたから、多分この予測は当たっている
う~ん・・・
対応方法は、たった1つ
『大小それぞれのトレントをほぼ同時に殲滅』
親側を倒そうとすれば、子が身を挺して守り抜き
子側は倒してもすぐに親からいくらでも生み出される
どちらが遅れても状況は振り出しに戻ってしまう
「・・・とゆーワケで、一気にやるしかないよっ」
ここまでの思考の経緯をざっと説明
「アタシが一人で子トレントを引き付けるから
その間に皆は親トレントを!」
「ムチャだ!この数をどうやって一人で」
「策はあるよっ! でも親の方まではムリ、横槍入れられたらヤバいかな
だから、デカい方はそっちで完全に抑えて!」
「親の方は3人集力すればなんとかなるとしても、子の方はこれだけの数だ! 無謀すぎる」
「やらなきゃアタシ達もアレの仲間入りだよっ」
剣で、地面の下から出てきた白骨を指し示す
やっぱパーティ連携の経験が足りないアタシは、遊撃した方が本領を発揮できる
「そうね、このままジリ貧で押し切られる訳には行かないわ」
「わかったぜぃ!モタモタしてるとちっこいのが増える一方だ
ダンナ達、いそぐぜ!」
うんうん、ベテラン達は判ってくれている
子分たちの数は大体40匹くらい、一気に倒すしかない
「こんな所で使いたくはなかったけど、切り札使っちゃうよっ!!」
アタシの耳の奥がぴくっと反応し、最近使ってなかったシステムメニューが視野に重なる
選ぶのは奥義、最上位スキル・・・
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
最強の武器って『数の暴力』じゃないかな?
ふと思ったんだけど、ロボットアニメとかで合体して巨大化パワーアップって定番だけど
的が大きくなるし、手数だって少なくなるんで、かえって弱くなるんじゃあないだろうか?
くっ付こうが離れようが全体のエネルギー総量は変化しないんだし・・・
そー考えると、ロボット戦の最強は『ヤッ○ーマンのゾ■メカ』?
もっと単機は小さく数は大量に・・・ナノマシン高密度散布!
もーBCウェポンとかわらないじゃん( ̄△ ̄)
次回への引きは、凶悪無比な切り札スキルの登場です、
最後の描写がピンと来なかった方は「1章-01~03」をおさらいしてね
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが
ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです
よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』