3章-04 飛んだ先もダンジョンだよっ
ファンタジーの世界って、交通機関が発達していないけれども
なぜか科学の進んだ現代でも実現していない転送装置的なものがあるんだよね
星とか宇宙って概念より先に別の世界(空間)って概念が確立されてるんでしょね
マミさんの説明によると、チョウォルとはアタシ達の住む人間界の隣にある世界の種族で、魔物の発生する原因は その世界の影響だといわれている
ダンジョンと言うのはこの隣の世界との間の緩衝用の設備なのだそうだ
昔、チョウォルは人間界へ侵攻してきた事があり、長い戦いの末に人間達はこれを退けた
そのためチョウォルは人間界にずっと恨みを抱き続けているんだそうな
チョウォル族自体はほとんど人間と変わらない外見をし、取り立てて極端に強いわけではないが、
懐柔、洗脳、扇動の能力に長けていて、いつの間にか紛れ込んでいる事が多い厄介な存在。
人間界とは異なり多数の別世界と隣接しているらしく、他の世界の技術や種族を取り込んでいる為 人間界への侵攻を狙う別種族と手を組む事が多いらしい
「実はまだ、人間界に潜伏しているのも結構いるらしくって、犯罪に関わってたりするってのがシーフ仲間では常識ですぜ
盗賊への偏見を作ってるのがヤツらなんだよなァ」
「全部ではないが、『犯罪の裏にはチョウォルあり』とも言われているよ
勝手に集落を作ったり、商会とかを乗っ取ったりしているらしい」
困った存在だねっ
王道テンプレの世界制服を狙う魔王みたいな単純なもんじゃなかったけど
悪いやつってのはどんな世界にもいるもんだよっ
「・・・この事ってどれ位広まってるの?」
「王族とか貴族とかにはほぼ、冒険者には7割位、一般には半分くらいかな
ただ、貴族とかの中には、既に懐柔されたのもいるって話だよ」
うわ~腐敗政治・・・関わりたくないなー
一般的なチーレム主人公みたいに貴族とかなるのは絶対に避けよう
「お勉強会は、帰ってからにしましょうぜ」
「それもそうだな、最後に1つだけ言っておこう」
「チョウォルに対して絶対に情けはかけるな、
這いつくばって命乞いした後に背後から刺してくる相手だ」
温和で紳士な鎧さんにここまで言わせるとは・・・
むー、ひょっとしてシステムによって作られた『絶対悪』なのかな?
MOBの元締めってカンジだし
とりあえずはここを突破して地上へ帰るんだ
アタシの夢見る「だらだらファンタジーライフ」のために
余所者のアタシはこの地の天然石じゃないけど
立ちはだかるモノ全てブチ抜こうじゃないの
「鍵は付いているが罠はなかった、しかも今は鍵が掛かってねェ
待ち伏せもなさそうだ・・・開けるぜ」
お互い目配せしあい、覚悟が完了した事を確認
ドアを開け、パーティは一丸となって中に突入する
一気に入ったのは、万一の分断に備えての考え
入った先は広いホールになっていた、部屋の中央やや奥には観葉植物のつもりだろうか木が1本
壁は石造りだが何故か床は石畳では無く土が敷き固めてあった
「迷宮の最初の部屋にしては、やけに静かだな」
「何か仕掛けてあると見るのが妥当ね」
左右に少し視点をずらすと奥に続くドアがあった
「俺のカンだとこーゆーのは大抵は奥に進むとなんか作動するってもんだ」
タツアンが壁をチェックしながらごちた
「罠とか仕掛けはないみたいだが、ずいぶんと分厚い壁だぜ
入ったヤツに突破されたくないって意図が見え見え
・・・しっかしまー、シュミの悪い観葉植物だぜ」
ひゅんっ!
何かが高速で動いた風切り音
ひらりと身をかわしたその場所を鞭のようなものが通り過ぎる
「俺に不意打ちたァ舐めたマネしてくれるなァ」
動いた!観葉植物と思ってたけど魔物だー
エント、トレント、グデュン、アルラウネ、ドライアド・・・どれだか判んないけど
「体勢を立て直して攻略するぞ!
アタッカーはおーちゃん、タツアンは伏兵のチェック
マミはバフと回復を」
何本もの枝が、鞭の様にしなりながら襲い掛かってくる
枝といってもアタシの脚より太い、当たったら結構ダメージありそう
ヘイトコントロールが安定するまでは回避に専念、心なしかタツアンへ向かう枝が多い気がする
ひょっとして悪口言われたの根に持ってる?
植物型魔物だけに根に持つ・・・なんて口にしたら恥ずかしいから言わないよっ
・・・軽口をたたいていられたのはここまでだった
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
植物魔物は焼き払っておしまい?
そうそう簡単にはいかないってばー
ザコと戦って瞬殺ってばかりじゃ慢心してしまう
迷宮最初の敵がザコだって誰が決めた?
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが
ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです
よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』




