12章-10 プッピガンだよっ
効果音ってテンションあげてくれるよね
実際は静穏姓が求められるんだけど、ロボットものなんかは派手に音がする。
宇宙だろうが隠密活動中だろうがお構いなし。
多分、士気高揚のためにコクピット内に流してるんだと思う。
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『ここより先、野生ゴーレム生息地。抜刀・攻撃呪文はご遠慮ください』
立て看板が、間隔をあけてぽつぽつと境界線を示すかのように並んでいた。
「なにこれ?」
「野生ゴーレムの行動範囲。ここのゴーレムは温和だけど抜き身の刃物突きつけられて笑ってられる程バカじゃない。」
言われてみればそうだよね、抜き身の刃物持ったままの人と友好関係は結べそうに無い。
幸運にも今の衣装には武装は無い。もっとも何時だってインベントリから呼び出すことはできるし、ゴーレム程度なら殴打撲殺MODEだってある、それでもダメなら必殺の| Crazy‐Tail《共鳴振動破砕尾》だってある・・・って、親交を深めにいくのに戦うことばかり考えたらアカンのじゃあ
緩やかな丘を上っていくと大きな岩がごろごろと散らばっている。積み重なって岩山になっている所もある。もうゴーレムの群れの中だ。
「野生ゴーレムは迷宮の魔製ゴーレムと異なり、常に人型になっているとは限らないからねっ」
「見たことあるぞよ、こちらを認識すると人型に組み上がる。要するに寝てるのじゃ」
「ししょーとおんなじですぅ」
え?! アタシにはバラバラになる能力なんてないよーっ
「ぐっだぐだ~のししょーなんて、液体化して」だら~んってなる
丸くなってる時は、まだ無意識にバランスとかとってる。」
「はははっ、キツネなのにネコみたいだ」
ガラッ・・・ガラゴガガッ
距離10mくらいで反応し始めた。散らばった岩塊が組みあがってゴーレムになる
「敵意向けちゃダメだよ」 ウマが言う
ズシンスシンと足音を立てて近づいてくる
ズズン!
目の前で1体がひざを突く、その後ろに控えるように数体がひざまづく。
なかなか躾の行き届いたゴーレムたちだ(※1)
「なんか、騎士団っぽくないかえ?」
「ゴーレムは大抵、番人として作られるから、基本は騎士なんじゃないかな?
ほらそっちのセコンドに黒いのがいたじゃない」
「ちょ、ちょっとユニア! その黒いのは私の旧友のジャイアント! ゴーレムじゃないっては!
ちょっとばかりシャイで無口だけど、ちゃんと中身入ってるから!」
「てっきり、飲食しないゴーレムだったからウチの店に来なかったんだとばかり・・・」
「ちがうちがう! 彼は戦士であると同時に村の鍛冶屋さんなの、クエストこなしてる間に溜まった依頼で忙しくて来れなかったってだけなの!」
マミさん、長年一緒に冒険していたパートナーをゴーレム扱いされて、カチンと来たみたい
ご近所でお互い知らない仲でも無い(※3)ので遠慮は無い、言い争いが始まった。
なに?ゴレちゃん、手をだして・・・・ 握手じゃないよね手のひらが上向いてる
『お手をどうぞ』って事? アタシも手を指先辺りに乗せてみる
ぐぉっきゅん、ぐぉっきゅん
手の位置を固定したまま上半身を少しだけ左右にひねる、器用だなー
そー言えばこのゴレ、頭部が無い胴体一体型だ。つーことは『No』の意味だ
首が無いから上半身全体を左右に振ってるみたい。アタシは手を離した。
今度は指先か地面に触れるくらい下げてゆっくり近づけてきた。
「この手に乗れということか?」
きゅぃっきゅん!
今度は縦の動き・・・『Yes』の意味だね。
トンと手のひらに飛び乗ると手すり二どうぞと言わんばかりに親指を立てて近づけてきた。
ま、アタシにはオートバランサー付いてるから多少ゆれても平気なんだけど気遣いには素直に従って親指に手を添える。すると器用にも掌の水平を保ちながら持ち上がり、ボディの天辺、本来なら首の在る所で止まる。下からはよく見えなかったけどそこには少しくぼみが有り肘掛つきの椅子のようになっていた、さながら玉座のように・・・
ばっと飛び移ろうかとも思ったが今の姿はリーザだ。ふんわりと風のように、優雅な時差で玉座に着く。
『グポーン』・・・モノアイが光る音
『グポーン』『グポーン』『グポーン』『グポーン』『グポーン』・・・
あちこちで点灯音が多数聞こえてくる、ちょっと怖いぞ
「「「「グワワッキュ~~ンン」」」」
ゴレ達は一斉に立ち上がると、隊列を組んだまま歩き出す。
もちろんアタシがマー乗っているのが先頭だ。
「「「「ドドワュゥゥ・・・ンンン、ドドワュゥゥ・・・ンンン、ドドワュゥゥ・・・ンンン」」」」
何で?何で?、近づいてくる時はドスドスとシンプルだったのに、効果音が豪華になる?
サウンドアクション過剰なんですけど~テンション上がるよっ
「Teo島機動01中隊、進行中なのじゃあっ!」(※2)
気分だけはモ○ルスーツ隊の指令機隊長
むー、せめてダミーでいいから操縦桿が欲しい
丘の上に向かって行進だー 進めー 01中隊
「「「ダキンッ、ダキンッ、ダキンッ、ダキンッ・・・」」」
「デカくて速くてキモチイイのじゃあっ!」
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「そーいえば、リーザちゃんは?」
「さっきまで野良ゴレとじゃれてたみたいだけど」
「あ~っ! あんなところにィ! 野良ゴレ軍団につれられて走ってる」
「追うわよっ! ウマ! せめてアンタに乗れたらねぇ」
「お姫様だっこして走りましょか?」
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丘の上、ほぼ中央、ここがゴレたちの巣らしい
雨風や気温、食料さえ気にしないゴーレムたちにとって重要な条件は大量の精霊力が集まる所の1つだけ
座ってるゴーレム、バラバラになって寝ているゴーレム、草や無視と戯れるゴーレム
なんと言う牧歌的な風景、
なんか物足りない・・・
「ひとつ頼まれてくれんか?」
「ぐわきゅ?」
「ちょっと武器っぽいものを構えてポーズとってくれんかの?」
ちと悩んだ隊長機ゴレ、しゃがみこんで何かゴソゴソとゆーかガリカ゜リしてる。
「な・・・なにをし・・」
ゴレが両手で石版を持ち上げる
石版には文字が刻まれていた。(※4)
『コノ シマ、タタカイ ナイ。 ブキ ソンザイ シナイ』
「別にケンカするわけじゃない、カッコいいポーズをとって欲しいだけ」
きゅぃっきゅん!
うなづいた隊長ゴレは、岩山の中からそこそこ長い石柱を拾うと、
ソードのようにブンと振った
「ブッピガァァァン!」
うんうん、この音が聞きたかったのよ! カッコイイぞ隊長機
まんぞくまんぞく
『アシ カエシテ』
とプラカードならぬ石版を掲げるゴレが居たのに気づくまで3分ほどかかった。
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
平和な環境に居ると温和に育つようで、なんともサービス精神旺盛な野良ゴーレム達
この世界のゴーレムとは、基本的に魔法や魔結晶などのコアのエネルギーにより動いている岩塊などであり、機械的な中身はほぼありません。
からくり仕掛けで動くのは『オートマタ』といいます。(境界線は意外とてきとー)
おーちゃん(今はリーザだけど)ガノタだったっけ?
【解説】
(※1)なかなか躾の行き届いたゴーレムたちだ : これ実は勘違い。普通はゴーレムは製作者が居り、主従関係が最初からコアにプログラミングされている。ただし野生のゴーレムにマスターはいないので、総エネルギー量の多いものを上と認める、精霊力で生まれ、精霊力で稼動するゴーレムは本能的に精霊力の高い者に傅く。おーちゃんの潜在的精霊力はエレメント達いわく『本人は気付いてないがバカ高い』との事
(※2)Teo島機動01中隊、進行中なのじゃあっ! : 某機動兵器の場合、基本的には1小隊を3機、4小隊で1中隊らしい。集まったゴレは12機くらい居たので中隊を気取ってみた。
ネーミングに関してはリーザ(おーちゃん)のアドリブ
(※3)ご近所でお互い知らない仲でも無い : 去年の魔道大会では争った者同士である。
仲が悪いわけではないが一応ライバル関係
(※4)石版には文字が刻まれていた : 本来のゴーレムには自由意志などなく、指令を実行するだけなので命令の理解のための言語理解能力はあるが、発声機能は付いていないことが多く、会話能力はない。野良ゴーレムというものは特殊な存在。彼らは筆談で会話するらしい。
もともとゴーレムは口答えすら許されない道具、自由意志を持ってしまってもある意味不幸な種族なのかも。
ブックマーク、評価等はあまり気にしてませんが(あると嬉しいのは事実だけど)
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