12章-06 ウマのパンだよっ(挿絵あり)
あのね、あのね、ちょっと聞いて
アタシ、今さら知ったんだ
それは、それは、キミにとって
とっくに常識なんだろね
でもね、でもね、アタシ今が~いちばん~
アブナイかも!
『カップやきそば現象』って知ってる?
「焼きそば」を食べたいときと「カップ焼きそば」を食べたいときは違う。これらは既に別の食べものであるから・・・という話から生まれたスラング。
オマージュキャラが独自なキャラ付けされて別物に変わってしまう現象
ウマはウマ、クマじゃない、クマは幼女集めてハーレム作らない・・・よね
・・・クマの作者さん怒鳴り込んでこないかな
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「ユニアさんや、ここは店の中じゃろ? 客も見とる」
「まだお客さん少ないからいーの、ん~相変わらず小っちゃくてかわいい」
「ちいさいいうなー」
「でも、しっほやたら大きくなってない?前回の2倍位はありそうよ」
「鍛えたのじゃ。前回は弱点だったからのぅ。 いまでは主力武器や盾にてきるくらいまでの・・・」
「うわー。モフモフ度2倍」
シッポに手を伸ばすユニア、ひょいと避ける尻尾(※1)
「ダメじゃ、まだ修練が終わっとらんのじゃ。パワーアップした分加減がまだ不完全なのじゃ」
そばを通るホール業務で食器を下げる少女、いや幼女
サイドメニューとか焼き上がりとかでカウンターで渡せなかった料理を運んだり、空になった食器を下げる仕事は小さなウエイトレス達の仕事だ。
あ、何かにつまづいた。転ぶ子供、このままだと落とした皿や食器に顔面から突っ込んでしまう!
とっさにシッポを胴体の下に挿しこみ、下から掬い上げる!
「しまった、力加減が・・・(※2)」
跳ね上がる子供とトレー及び食器
「オギ、食器を、タヌ子は子供を受け止めて!」
「ししょー、まかせなっ」
「はいですぅ」
「アレはちと危ないのう、風乃手!(※3)」
宙を飛び客席の方へ向かうフォークとナイフは、くいっと向きを変えてこちらへ飛んでくる
そいつを指3本で挟み受け止める
オギは宙を飛ぶ皿を床に落ちる前にキャッチした
「お皿、きゃっちだぜ」
ギャ~~ン、くわんくわんくわん・・・
金属トレーが床に落ちて大きな音をたてる、丸いトレイは斜めに回るように少し踊ってから止まった。
皿とトレー、2つ同時はムリと見るととっさに皿を選んだ判断はよし! 成長したなオギ
「は~いそのまま~、こわくないですよぉ」
ぽふん
タヌ子は落ちてくる子供を抱きとめた。特に衝撃を逃がす必要は無い、彼女には最強の衝撃吸収があるのだから。
宙を舞った驚き&恐怖をユニークスキル『杏式抱っこ』で消し飛ばす。無我無心の境地へ(子供が)
・・・すやぁ
「どうやらこの床板が一部反って角がはみ出てきてるのぅ、ちょいと直しとくか『砂鑢』」
指先から高速で砂が噴出し、床板のはみ出た角を削ってゆく、ついでにその周りを研磨、グラデーションかけるように・・・ダテに木工スキルマスター持ってない。ふんすっ!
砂埃がたつ? その心配は無い。砂鑢・・・サンドブラスターの砂はこちらの指定した距離を越えると消えてしまう。長距離で広く荒く使えば目潰しや攪乱に、距離指定して薄く高密度に使えば鋸やドリル、彫刻刀など便利な工具になる。
「うゆゆん・・・どうじゃ、もう躓く事は無いであろう」
「「「じぃ~~~~っ」」」
『キツネさん、直してくれたのはありかたいけど・・・』
『あの辺りだけピカピカになってる・・・』
『全体を掃除しなおさないと・・・』
『えーたいへんー』
耳が猫型獣人並みに聞こえるというのも善し悪しかも。ぽそぽそつぶやく声もついつい拾ってしまう
むー、勢いで床の修理までしちゃっったけど余計な事をしてしまったの?
「そもそもわらわは、子供の扱いは苦手なのじゃ」
「自分も子供なのにね」
「聞こえとるのじゃ!」
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「うゆん、これがお品書きか、いろいろあるのぉ」
「ししょー、食べ放題って・・・はぁ、はぁ」
タヌ子は既に食欲モード
「これは、使えるのかの?」
懐からカードを取り出すとカウンターのお姉さんへと見せた
お姉さんは思いっきり飛びのくと、大げさなポーズで驚いた
「そのカードは!!オーナーしか持ってないはずの無期限無制限フリーパスっ!」
「ごめ~ん、フェルシアさん・・・フリーパスのカード、賭けと勝負に負けて、その子にあげちゃった」
ユニアが頭に右拳を当てて『てへぺろ』ってオノマトペでもつきそうな笑顔でいう
「いいんだよ、こうした事でまた会える保障をしておいたんだ」
ウマの表情が妙に男前に見える
『アレだけの美幼女、試合だけで終わらせたらもったいない・・・』
・・・本音、小声だけど聞こえたぞー
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「なんじゃ、この『桜色の戦巫女』とは?
どー見てもわらわの事を暗喩しとるじゃろう、この名前」
「うん、そーだよ。騎士団の連中に好評なんだ」
そーいえば、この荘園都市には騎士学校があったんだっけ
剣術や魔法の学校があるんだから騎士の学校があってもおかしくない
「そのメニューはかなりの“がっつり系”だよ、食べきれるかな」
“ウマ”がドヤ顔でつぶやく
「わらわは育ち盛りじゃ、巨人族並に食えるぞよ。こいつをたのむ」
「しばしおまちください、間もなく焼けるところですよ」
テーブルに着いて焼き上がりを待つ。ちょっと大きめの円筒形にカットしたパン(※4)。上下に切られていて間に具が挟まったサンドイッチタイプ。薄っすらピンク色の生地はなんだろう
ハンバーガー2つ分くらいある、このボリュームなら前衛職も満足だ。
中身・・・は、やっぱしチキンだー、それに被さる溶けたチーズ。
アタシの好物だー
「これ、食べ方は?」
「ご自由に、騎士さんたちは手づかみでかぶりついてたよ。おもいきり口を開けて具とパンをいっぺんに頬張るのがいいんだって」
「うゆっ、わらわにはムリじゃ∠(・△・;)ゝ」
あー、と口を開けてみせる。
どーみても円筒のドック風サンドを咥えこむには小さい口、仕方が無いので少しずつ端から齧っていく事にする。
まずは角の部分から・・・はむっ。
まだ具に達しないけど、パンの部分を味わう。生地が特殊なのかあまり硬くは無い、もっちりがっつりボリューミーなオリジナルブレッド。
そして鼻に抜けていく香り・・・わかった!
「このパンの生地、トマトを練り込んでおるな、
そしてその香りとかすかな酸味が具財の味を引きたてておる」
トマトとチーズが合わないわけが無い!
そしてチキンに擦り込まれたスパイスとハーブ、これを溶けたチーズが間を取り持って一体化させている。そして何より、チーズもチキンも・・・チキンは特に好物の腿肉っ
大好物同士を組み合わせて、美味しくならないはずが無いっ!!
「うゆゆんっ、美味じゃあぁっ」
ウマのしてやったり顔がちょっと気になるけれど、私情で評価を曲げるほど狭量じゃあないのだよっ。
「お代わりを所望するのじゃ」
一瞬驚かれたが、せっかくのフリーパスだもの有効に使わせてもらおう。
燃費の悪い大食らいの身体にも今回だけは感謝だよっ。
「2つめはもっとゆっくりと味わって食べるのじゃ」
焼き上がりをワクワクしながら待つ
なんかウマの視線がやたらと絡み付いてくるよう気がするのだけど・・・
「はぐっ、はむっ、美味しくていくらでも食べれそうなのですぅ~」
タヌ子やはり食う、でも食いしんぼキャラとはいえマナーはちゃんとしている。
テーブルに着いて行儀よく平らげては、販売カウンターへ脚を運んでは数個ずつ注文する。
これを繰り返してるらしい、いささかペースが速い気もするよっ。
オギはその見た目通りに早々に満腹してイスの上でそっくり返っている。
この違いは、タヌキとキツネの違い・・・
タヌキは冬篭りをするが、キツネはしない。
つまり、タヌキは食い貯めができるけど、キツネはできない。
前にも語ったような気もするけど、タヌキの食い溜め能力はかなり優秀で、体重の50%もある。
体重が1.5倍になるまで食い溜めできるのだ(※5)
とゆーことは、タヌ子はどー見ても50kg以下ってことはないだろーし
およそ25kgのパンを食い尽くすまでテーブルとカウンタを往復するんじゃ・・・はわわわ・・・
それはない! それはない・・・はず。
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『ではでは、そーいうことで』
『りょーかいりょーかい、お手を拝借』
マミさんとフェルシアさんの声・・・なんかまたたくらんでるな
ヒソヒソ話、無声音会話なんてのは、アタシの耳にはフツーに届いちゃうんだよねー
子供たちの声も聞こえる。
『凄いね、あのメイドさん』
『メニューの頭から半分近くまでたべてる』
『ねぇ、ふーどふぁいたーっていうんだっけ』
信じたくなかったけど、タヌ子の真の力が今発動しかけていた・・・
「お昼のピーク近いけど、どうやらこのままだと生地が足りないみたいなの、生地コネできる子、中入って、私も応援行くから、計算できる子、店番代わって!」
「あ、ワタシやろーか?」
「オーナーは最後の砦です。まだ私たちで何とかなります」
やはり、恐れていた事が起こってしまった。
いちおー『コルセット緩めるの禁止』とはいっておいたんだけど・・・
ばつんっ! はわわわわ
とてとてとて(※6)・・・
「しぃしょお~、コルセットの紐がぁ・・・」
「ぐぅゆゆぅん・・・はーっ」
頭が痛い・・・
お店に迷惑かけるほど食うなっつーんだよっ
ウマがゆっくりとアタシのいるテーブルに寄ってきた
「悩まなくていいよ、マネージャさんと話は大体付いてるから」
タヌ子の食い荒らした分払えないほどお金に困ってはいないけどね。
お店のピーク時に支障をきたす事になっちゃったのは、面目ないよっ
「ほらほら、クヨクヨしないの、笑って笑って」
ウマパペットが肩に乗ってくる。ちょっとねっとりした触り方。
マミさんとはタイプの違うフェチ者らしい
比較的紳士っぽい(女性だし、幼女ハーレム作ってるけど)
アタシは改めて再確認した。『魔道士にロクな奴はいない』
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
このウマ、ロリで百合です・・・(¬▽¬;
でも節操はあるみたい、ウチの黒魔女よりはマシ?
タヌ子はフードファイターなったら強そう、対抗できるのはクマかワニの獣人くらい。
最後の方に出てきた挿し絵、soll様からいただいたものです。
最初の頃のタヌ子は細かったと言っても、もう誰も信じないだろうねぇ
【解説】
(※1)ひょいと避ける尻尾 : 何回か説明してるので御存知だと思うけど、この尻尾実はめちゃくちゃ重く硬い重金属製、しかも人工筋肉ではなく、マナサーボモーターで駆動されている。
しなやかに軽やかに動いているのはあくまでシュミレートした動きなので下手に触ると怪我をする。
人工筋肉はまだ研究中らしく普及していない。
(※2)しまった、力加減が・・・ : 働いてる子供たちはほぼ同い年くらい、体格も大差ない。なのにどうして?って思う人もいるでしょう。実は本人も・・・
おーちゃん10歳身長130cm体重24kg、10歳平均より少々小さい。でもこれは乾燥重量であって、普段はさらに約6kgのシッポと10kg近い金属鎧を着用してるのだった・・・その分普段と感覚がズレたのだった。
(※3)風乃手! : 普段の呼び名は『ウィンディ・ブロー』、本来は突風吹き飛ばし呪文。一定量の空気の塊を任意の方向に動かす呪文。
(※4)ちょっと大きめの円筒形にカットしたパン : パゲットみたいに長いパンを切ってるのだと思う。イメージ的には『SUBWAY』系
(※5)体重が1.5倍になるまで食い溜めできる : これはワニ並みの数値であるが、変温動物で基礎代謝の低いワニほど長持ちはしない、せいぜい一冬程度(ワニは3年近く持つ、全動物中4位、人間は10位)
(※6)とてとてとて : 「とことこ」と「どすどす」の間に近い足音、タヌ子の足の裏は柔らかい。
狐と違って丸い肉球がしっかりクッションになっている。だから足音はあまり響かない。
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』