12章-05 クマがアニメ化したからウマに会いに行くよっ
ひとつウソを吐くと、それを取り繕え為に、さらに大掛かりなウソを吐かなくちゃならなくなるのが世の定め。
最初は軽い成り行きで付き合い的にやった仮の姿がねぇ・・・
今や王都を中心に絶賛大人気のアイドル魔道士(※1)、『赤の戦巫女リーザ』
アタシがリーザである事は絶ぇ~~~っ対にバレちゃいけのだよっ!
ハロウィンみたいなイベントがこちらの世界でもあればいいのに・・・
もっとも王都の一角には、キツネ耳と尻尾をつけた巫女装束を愛用する一派がまだいるみたいだけどね
ついでにいうと王都騎士団の中にもファンクラブが出来てるらしい。
【この作品は、吾流峰子 のオリジナルです [海賊版サイト対策]】
本網站的所有圖片、文章的版權帰 吾流峰子 所有、未經許可禁止拷貝或使用和銷售。
original: http://ncode.syosetu.com/n7904dz/
――――――――――
打ち刀1本を報酬に気の使い方のレクチャーをドウギに押し付けて、
今アタシは、荘園都市マーハに来ている。
メンバーはアタシとタヌ子とオギの3名、鎧さんは溜まっていた鎧の注文に追われていたので、今回はお休みとの事。
今いるのはマーハの洋品店、マミさんの家だ。今日の目的地はここから通り2つ離れた位のご近所なのだよっ。
事の始まりは・・・しばし前に遡る。
王都で毎年開かれている魔道子トーナメント。
ここの家主である前年度チャンピオンにも当然出場要請が掛かるのだけど当人にやる気なし。
優勝賞品の国内最高級演算クリスタル・・・ぶっちゃけスパコンの乗ったラズパイという魔道具部品に釣られて代わりにアタシが参戦。
チート級な出場選手達を何とか降して勝ち進んだ準決勝前日に知り合ったのが
『ユニア ザ ナイトメア』
全身ウマの着ぐるみパジャマ風衣装に馬パペットの両手・・・と言うとイロモノっぽい(実際イロモノ以外のなんでもない)外見だけど、フードから覗く顔が美少女なので人気の高い選手。
はい、回想~(※2)
――――――――――
「リーザちゃん」
「なに? ユニアさん」
「さっき連絡が来た。明日の順決勝戦相手はわたしだ」
ちょっと緊張、ミミがピンと立つ
「そこで提案なのだけど、わたしが勝ったらマーハにあるパンレストラン『お馬さんの店』でゲスト店員をしてもらいたい
君が勝ったら、食べ放題フリーパスを進呈、悪い話じゃないと思う」
勝てば食べ放題、負ければ客寄せパンダって寸法ね
「随分と条件がいいのは勝つこと前提なのね、わらわはまだ負けを知らぬぞよ」
「わたしの馬魔法は最強よ」
お茶&お菓子、ごちそうさまでしたーっ
回想終了
――――――――――
マミさんは、アタシのトレードマークである巨大なツインテール(※3)を解くと
髪にクシを通し、先端だけをリボンで束ねた。
本人の一番の特徴を隠す。これが変装の一番の基本
「あとはコレね」
抱えるように持ちあげたのは、アタシの持っているのの倍は太い、もっふもふの狐シッポ。
厳密には、半自律機械尻尾の追加外皮
「これ、大き過ぎない?」
「一応モフモフ分最大強化の柔らか仕様、もうじき分裂して2本になると言う設定」
「何よその設定」
「最終的には9本まで増える予定、東の国の伝承の本で読んだ」
(゛△゜)ぽかーん
そりゃ九尾の狐じゃないんかい?(※4)
「設定はおいといて、子供が多い店なんで、クッション材が多めに入ってる。万一ぶつかっても殺さない程度に柔らかくないしといけないわよねー」
あーのーねー! ひとをころしたことはないよっ!
砕いた事があるのはゴーレム(赤)1体と木のイス1脚
張り倒した事があるのは狼獣人一人だけだよっ・・・まだ (¬~¬;
・・・てな事を考えてる間に、キツネ巫女リーザの完成
「んっ!」「よっ!」「はっ!」「とっ!」
瞬間移動するかのような瞬発力でマミさんが四方八方からチェックをいれる。
「むっ! ・・・むむっ」
動きが止まる、斜め後ろからお尻の辺りを凝視してる。
「どしたの? 何かおかしいところでも?」
「むっふー!! 和服はぱんつ履かないっ!」
どこでそんな知識を・・・
「キツネ巫女の場合は、お札を貼るのが正装、でゅふふ・・・」
どんっ!!
お札っぽいものを片手に匍匐前進してきたマミさんを尻尾で床に叩き着ける
何時のネタだよっ、アタシは「ロリ」で「のじゃキャラ」で「キツネ」で「巫女」な設定のキャラだけど、中身も声もおじさんじゃないよっ
「あ・・・しっぽモフモフ~、ぐぎぎ床痛い、尻尾は痛くなかったけど床が・・・・ダメ、これ以上押し付けないで・・・タービンやめて、つぶれる・・・あ゛ああぁぁ~~ん・・・」
また苦しんでるのか悦んでいる間かわからない悲鳴を・・・
※パンツはいつものを穿きました。
では、そろそろ・・・その前に気休め程度の顔隠し『被衣』を被る(※5)
「いい?オギ、この格好でいる時は『ネコミミ師匠』って呼んじゃダメだからね。
あと「キツネはこんなことしない」キツネダメだしもね、帰るまでのおやくそく、分かった?」
「ししょー、わかったよー。ししょうはニセキツネだけど、ホンモノより鋭いところあるからそんけいしてる」
「さーて、出発しませんかねー」
営業スマイルに切り替えたマミさん。
といっても徒歩10分掛からない
――――――――――
へ~、ココが『お馬さんの店』か~
『パンレストラン・お馬さんの店』
そう看板にはポップなフォントで書かれていた、デフォルメされた馬の絵と共に・・・
ドアの両脇には跳ね馬のレリーフ
店の前にあるベンチも馬モチーフだ
「「「いらっしゃいませー」」」
店内にはカウンター式の売り場と奥にテーブル籍
俗に言うイート・インというヤツだ。
売り場業務は大人の女性だけど、フロア担当は皆小さな子供たちだった。
しかも全員スモックにフードの付いたような店の制服、フードは馬の形になっている、縮小版量産型のユニア、その視線がアタシに集まる。
まーそーでしょうよ、この北欧紀元前風世界にたった一人和風の格好で顔まで隠してるんだもの。
被っていた『かつぎ』をふわりと降ろす、露わになるピンクの髪にピンと立つ耳、白き衣に赤い袴、もふもふシッポの狐巫女
店内で働いていた子供たちがざわめく、
「キツネだー」
「ひがしのくにだー」
「うわー・・・」
むー、完全に四面楚歌。ここはユニアファンしかいない・・・
ウマ尽くしのこの店のオーナーはユニアだからね。
この場においてアタシこと『東の国の戦巫女リーザ』は完全アウェー
「お、チャンピオンじゃねぇか、よく見たら前年度のチャンピオンもいるぞ」
テーブルに着いていた客が驚きの声を上げる
「ユニアねぇちゃんと戦ったやつだー」
「ちっちゃい~」
店員さん(子供)、お客さん(多種多様)に取り囲まれる。
「んあ~~っ、今日は騒がしいなー」
店の置くから声がする。ついでに足音も・・・
ぱっこ、ぱっこ、ぱっこ・・・
こんな足音を立てる人物は、アタシの記憶には一人しかいない
カウンター奥の扉が開く、目が合う
ぱからーん!
カウンターテーブルを飛び越え、すっ飛んでくる茶色い物体
避けたら他のお客さんに直撃する、受け止めるには床にアンカー用の穴が開く、
しかたないよっ!
・・・ィィィイイイインンッ・・・
がしっ! ズザズズズズ・・・・
ジャイロスタビライザー緊急始動で何とか受け止めた。
「あのねっ! お客さん巻き込むところだったんだよっ!」
あ、キャラを切り替える前だったので地の口調がでちゃった
急いで、気合入れて、『キャラ憑依』っっ!
「ったく、己の店で何を暴れているのじゃ、タ・・・」
台詞をさえぎられるように抱きしめられた。比較してはいけないけど、硬くも無く、窒息するでもないほど良い柔らかさが布越しにアタシの顔に押し当てられる。(※6)
「会いたかったよ、キツネのチャンピオン・・・いや リーザちゃん!」
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
実はなにげに高スペックなマミさん、とっても丈夫
お札下着の件は、自ら新型尻尾カバーの性能チェックをするためと深読みしたらスゴイ!
十中八九は煩悩のなせる業だけど・・・
この人って直接(物理的に)手は出してないけど
視覚(光学的)では隅々まで色々見てるんだっけ・・・
【解説】
(※1)アイドル魔道士 ; 「マスコット」という考えは無いらしい
(※2)はい、回想~ : 4章-22の出来事、なんで試合前に会っているのかは、読み返してもらえると分かる。
(※3)アタシのトレードマークである巨大なツインテール : かなり高い位置で結んだストレートヘアのツインテール。ただ結わえただけなのに、お下げ部分の断面は航空機の翼状に薄く広がっている
キャラクター後悔してから17年間、ありとあらゆる他作品で使用されたことの無い独自デザイン。
もうココまで来ると 「この髪形=おーちゃん」 ということでいいんじゃないかと思う。
ちなみに作者は「おーちゃんウィング」と呼んでいる。ちなみに、2020年11月現在、ありとあらゆるキャラクターエディットにおいて作成することは不可能。
(※4)そりゃ九尾の狐じゃないんかい? : 九尾狐は妖怪の一種、人に危害を加える狐がもとになった化け物、お稲荷様は、稲荷神(狐ではない)の使いの狐、だけど年月を経て混同されているのが実情
(※5)かつぎ : 着物の上に頭から羽織る和風ベール。牛若丸とか桃太郎侍とかが有名。
被衣を広めたのは織田信長だという意外な事実
(※6)ほど良い柔らかさが布越しにアタシの顔に押し当てられる : 身長差があるので自然と胸元に抱えられてしまうのだよ。(おーちゃん130cm : ユニア150cmちょい)
ちなみに標高は控えめ(B~Cくらい)
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが (あると嬉しいのは事実だけど)
ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです
『- 感想を書く -』 の欄はログイン等を必要としない設定になっております
なろうIDをお持ちの方は活動報告の方でもかまいません、よろしくお願いいたします!
また、Twitter にて『 #すぱさま 』のハッシュタグをつけて、何か言って貰えると幸いです。
絵の描ける方は【作画資料・絵師様へ】を参照していただけるとありがたい!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』