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11章-10 大地の試練だよっ

好き嫌いは無かったはずなんだけど、ひとつ苦手なものができてしまった。

祝勝会のオーガステーキ、一応食べて食べれなくはないよ、緊急時とか

でもティル村やダヌパの訓練所で仲良くなっちゃったからねー、種族のオーガと魔物のオーガは別って頭では分かっているんだけど・・・


同様の理由で、犬、猫、キツネ、タヌキ、オオカミは食べれないよっ

馬? これはまだ平気 (きぐるみだったしー)


イケメンオーク(イケトン)?・・・美味しいから好き


【この作品は、吾流峰子 のオリジナルです [海賊版サイト対策]】

本網站的所有圖片、文章的版權帰 吾流峰子 所有、未經許可禁止拷貝或使用和銷售。

original: http://ncode.syosetu.com/n7904dz/

――――――――――


村長からもらった通行証、小さいのね


「これ、魔道結界コードね。身に着けてればフリーパスってカギよ」


隠れ里の森を北へと抜けると目の前は崖だ、すごく深い谷が見渡す限り目の前を横断している。

明らかにフィールドMAPの区切り。 感覚的に飛行型召還獣じゃ飛び越せないってわかってしまう。

崖っぷちには3つほど祠がある。ここで何か鍵の解除でもするのだろう。


「鎧ちゃん、ここの抜け方知ってるの?」


「ああ、やり方は単純だけど集中力は要る」


鎧さんが取り出したのは、元素神テンパクルの力が結晶化したといわれているアース・ジュエル。

透き通った黄色くつやつやした石、丸くてちょっと平たい、錠剤みたいな、肉まんあんまんの形

キラキラと光って光の屈折が石の中央にコインのような像を結ぶ。


「これを祠の中に5個並べる」


簡単じゃん


「ただ縦に5枚重ねて積まなくてはいけない」


うほわ、このつるっつるを・・・


「天然物だから微妙に形が違う、とにかく大量に集めてパズルのように組み合わせてみる必要がある。

その根気を試されるのがここの試練なのさ」


根気勝負はニガテだよー


フレーム・ジュエル、ブリザード・ジュエル、そしてアース・ジュエル

ひょっとしてウィンド・ジュエルなんてのもあるのかな?


「あるわよ、『ストーム・ジュエル』ってのが、ある場所も知ってる。けど今回行く予定はないわ」


え゛~・・・4元素そろえたくなるじゃん、フツー


「港まであと少しなのに、砂漠の砂嵐なんてごめんだわ、遠いし」

「そうだな、僕も今から砂漠越えは嫌だなぁ」


「まァ、テンション上がってるお嬢には分からないかもしれないけど、冒険にも休息は必要ってことさね」


アタシは冒険行為自体に舞い上がっちゃってるんだろーな。そもそも(この世界に)来る前はゲーム(娯楽)として楽しんでたんだから・・・


「・・・それにさ」

視線をそらしたタツアン、ちょっと言いづらそうに

「鎧のダンナにも姐さんにもお客さんが待っているんだよ」


うん、納得した。

冒険者としてお金に困ってるわけではない(※1)けれど、マミさんの作る服にもお得意さんがいるらしい

鎧さんに至っては村の鍛冶屋さんだ、ダヌパに卸している鎧もよく売れているらしい(※2)。

アタシも何か副業を・・・って嫌な予感しかしない

料理無双? 居酒屋でも開く? アタシ未成年だよっ 「若おかみ」は苦労と涙しか思い当たらない

テイマー? ペットなら犬猫小鳥、魔獣から魔族、ドラゴンだって従えているけど、某すーぱー冒険者も料理無双だったっけ?カミサマの胃袋掴んじゃったら無敵だぁね。

それにアタシは自分で戦う方がいい、ゴーレム生成スキルやオートマタ使用スキルは持っているけど窮めてはいない(マスターランクでない)、シュミじゃないからね。

近代兵器作って軍隊作る? アタシゃミリオタじゃない、もちろん死の商人する気も無い。

ポージョン店?スキル応用(本来の用途外の使用法、ルールの抜け穴)でガラス容器や高級な器とかも売っちゃう?

ゴーレム&オートマタで自分の帝国作っちゃう?

テンプレ転生者そのまんまやんっ!!

最弱から成り上がる? そんなヤツ見た事無いじぇ、ほとんどの『自称最弱さん』って弱くないもん

ただ不人気だったり使い方にコツが要ったりする程度の列強スキル持ちだったりする。

この世界の流れ(テンプレ)なんかに乗ってやるもんか! アタシは文化汚染も「ナイセイ」も「勇者」もしないつもりだよっ!


脱線は程々に・・・頭では別の考え事しながらでも手は動くもんだ、かなりの数を拾い集めた。


――――――――――


この金色に透き通る結晶は呆れ返るほど大量に落ちていた

祠の周りに(うずたか)く山となったアース・ジュエル


「しかしまー、俺っち予想はついてたけど、うちらが物集めすると大抵過剰に集まるなー」


タツアンの言う通りだ、原因も予測済み。

アタシの採取スキル(パッシブ(常時稼働))とオギ&アンズ(そばうどんコンビ)の異様に高いLUCK(幸運)値(推測)、聞いた話によるとマー君も運はいいらしい。

一応コレ、土属性の高エネルギー結晶なんでしょ? こんなにゴロゴロ転がってていいもんなの?

なんつーか、ありがたみが薄れるとゆーか・・・

あまりに大量に拾えたから、サンプルとして一部しまっておこう


「ジュエルは硬いけど一応は注意してくれよ、硬い所に落としたら割れるぞ、確率は低いけど」


うわ、気軽に扱ってたけど、こいつの持つエネルギー量は想像するだけでも凄まじい気がする

スプーン1杯程度で、あらゆる敵を切り裂く熱線を生むフレイム・ジュエル、

1個放っただけで湖を凍りつかせ道を造るブリザード・ジュエル、

さてこのアース・ジュエルはどうなるのだろう。イタズラに実験してはいけないのは分かってる。

ネコの森きぶんはもう切り替えないとね・・・『好奇心は猫を殺す』(※3)


「幸いここには祠が3つある、手分けしてジュエルを積み上げよう」


「「「「「「りょーかい」」」」」」


・・・で、こーなるわけ?


チームA、鍛冶職人&罠職人、鎧さんとタツアンの職人チーム。本命だね。

チームB、魔女&ケモ男、マミさんとマー君どオギ。

なに?『お目当てと組めなかったのでLUCKに極振りしました』チーム? それマミさんの主観でしょ!

チームC、余りものーズ、アタシとタヌ子。

「師弟コンビ!」とタヌ子はいうけど、まだ正式な弟子として認めたわけではないので絶賛無視中!

(音の響きだけの言い回しなんで細かい事はキニシナイ)


いちおーくじ引き結果なんだけど・・・

鎧さんとマミさんはここの試練の経験者だって話だから任せときゃいいでしょ

アタシらは、モノは試しでチャレンジを楽しめばいい、何事も経験だよっ。

ついでに言っちゃうと、パズル大好きだし。

このパズル、一見如何にバランスよく積むかを問われるように見えるが、このつるっテカの質感からして、如何に形状の合う形を探すかが問題の形状認識パズルだ。

一見同じ中華饅頭(捻った模様の無い、コンビニ系)のような形だけど積む面は微妙に傾斜していたり波打っていたりと、難易度を上げた『うめー○つめて』(※4)だ。


三箇所の祠で石積みパズル、別に競争じゃないけど人数がいる場合複数で平行に進めるのかセオリーなんだとか


「僕も二日かかったからねぇ」

「二日ってナニよ、私なんか5日掛かったわよ」


・・・思ったより手ごわいらしい・・・


――――――――――


「わきゃ、手が滑った!」


一段高くなっている祠からアースジュエルが落っこちる


「タヌ子! なんとか受け止めて!!」


ゴロゴロあるけどこれは超高エネルギー結晶だ、近くで反応させてしまったら危ない


「わかりましたっ! この身に替えても!」


下が砂利だってのに懸命のヘッドスライディング、えらいっ!

だけどタイミングが悪い、早過ぎた踏み切りに対象物はその頭上を越え・・・シッポ・・・にても受け止められず、

そのまま、最近また大きくなったといわれている尻に当たってポーンと跳ねた。


そのままひゅ~んとそこそこ遠くまで飛んだと思ったら、キーンと跳ね返ってさらに跳ねていく。

タヌ子もジュエル自体も物理法則を無視した反発係数って思ったけど、割れずに遠くまで跳ねてってくれて助かっ・・・


ぴきっ!

2度目の地面激突で、ジュエルは砕けた。と同時にその地点から


ズゴゴゴ~ン!


水晶のような8角形の尖ったタワーが生えてきた

ソル・・・?(※5)


根元の直径10m、高さ30m、継ぎ目無しの巨大な石の塔だ

ジュエルが砕けてから3秒と経ってない、理系女子(リケジョ)だったアタシには、そのエネルギー量の凄まじさが分かる・・・『E = mc^2』、この世界で通じるかは分からないけど。


「だいじょうぶか?!」


鎧さんが形相変えて駆けてくる。表情は見えないけどね


「ジュエルはとても硬いんだけど、1箇所でも傷が付くと急に脆くなるんだ。

 だから削って調整するわけにも行かない」


へ~え、強化ガラスみたいなもんなのかな


「対処方法は、落としても最初の1回は必ず跳ね返ってくるから慌てずにキャッチ、ワンバウンド目で爆発することはまず無い」


「そーゆー事は先に言って欲しいのですぅ!」


タヌ子ぷんすこ、今回はタヌ子の必死のダイブ(と弾力)で助かったわけだから彼女には怒る権利がある。

ミスったのはアタシなんだから、ここは大人しくしてよう。

確かにコイツは滑りやすい、そうだ、粉をつけよう。 確か工具箱にあったはず。

工具箱の中に入れといた袋から粉を両手に塗布した。

この粉、別に妖しいものでも世界観破壊のものでもない。乾燥させた『松脂』、粘着剤、接着剤、型取り、食品添加、ガムベース、いろいろ使える便利素材だ、工具箱のこれは食品用ではないけどね。

体操競技や野球投手、スポーツ選手が滑り止めとして使う粉でもある。

ちなみにライン引きで使われる白い粉は消石灰、滑り止めにはあまりならない。小さい頃知らずに手に付けてかぶれたことがある、注意。


うん、マツヤニ付けたら滑らなくなった。

お次は・・・

「オートバランサー起動、タービン9番、10番ON、」


アタシは尻尾を持ち上げて肩越しに祠へ近づける


ターミネートユニット(先端部)座標固定」

「テイル・レーザー、出力:微弱、光源カラー:レッド、座標Y軸掃射」


祠の内側に赤いガイドラインが光る。レーザー墨出し器(※6)そのもの。

ラガオーさんありがとうっ!(≧▽≦)9

アタシはガイドラインに沿ってジュエルを積んで行く、下からタヌ子が順に1つずつ手渡してくれるジュエルは、異様なほどピッチリ決まる。


カチリ・・・最後の1個が乗る。崩れなければ完成だ。


「よろいさーん、できたよーっ! こんなんでいいの?」


――――――――――


すーっ、ぱたん

祠の扉がそっと閉められる。


鎧さんはそのデカい手で崖の方を指すと、(多分)ドヤ顔で言った。


「見ててごらん、とんでもない事が起こるよ」


ゴゴゴゴゴ・・・


地面から細かい振動が伝わってくる


崖の足元すぐ下、幅7~8mくらいがにゅっと、いやゴゴゴと伸びて来た。

伸びる伸びる、まるで植物が生長していくのを早送りしているように。

視線を奥の方にやると、反対側からも同様に石造りの道が伸びてくる。

両方とも少し持ち上がるように伸び中央でアーチを描くようにつながった。


飾りも手すりも無いシンプルなアーチ上の石造りの立派な橋が谷に掛かる

手すりの類は何一つ無いので落ちたらヤバいけど道幅があるので端へ行かなければ怖くは無い。


「すっげー」


「はわー、下は奈落の底ですねぃ」


「あんまし端へ行かないのよー」


むー、MAPの分割ポイントってこんなもんなんだろーにゃあ

谷の向こう側にも祠が見えた。


「ねぇ、ひとつ聞いていい?」

「なんだい? 僕が知ってる範囲なら答えるよ」

「なんで行きにこっちのルート使わなかったの?」


「簡単な理由だよ、向こう側にはジュエルがあんましない、掘り出すのが大変」

「にゃるほろね」


さぁ、進もう!


拙い作品をお読みいただきありがとうございます


ハイ今回、無自覚にズルしてます。気づいてる読者さんもいると思いますけど・・・

ジャイロ・スタビライザーによる安定? レーザーによるガイドライン? これらは別にズルでもなんでもない。

ズルの正体は粉末松脂(パウダーロジン)の滑り止め!

手に付けた粉末は、当然手にしたジュエルにもくっ付く訳で、そのままジュエル同士を粘着してしまったという反則!


地中や野ざらしになってるジュエルは当然土やほこりも付くわけで、粉末かつ天然の樹液がくっついてもおかしくない。

意図的に接着剤塗ってわけでも無いという事で、セーフ!!

(本人気付いて無いしね)


それと忘れてはいけないのがジュエルの選択。

直感だけで手渡した(当人談)ジュエルがパズル的にもほぼ正解だったという辺り、ラッキータヌ子様々


【解説】


(※1)お金に困ってるわけではない : 魔道具とかのライセンス料が入ってくるので、生活に困る事はまずない。独特センスの衣料品は、数は少ないが奇抜さが受けて好事家にはそこそこ売れている。

でも魔道具の開発や研究にはお金がかかるのでその部を冒険者家業で足しにしているとの事


(※2)鎧もよく売れているらしい : デザインは地味、質実剛健、着心地良くて動きやすく防御力も高い、お値段はリーズナブル、口コミでは

「カッコ良さでは他の高級品に及ばないが、命を預ける相棒としては頼もしい」

「野暮ったい? バカを言うな何度も命を救われた。戦う男なら『不倒』ブランドだ」

「見かけより軽く動きやすい、地味なのもいい、ただ拘り職人らしく品薄なのが欠点だ見つけたら買え」

と、とにかく前線に立つ傭兵に人気が高い


(※3)『好奇心は猫を殺す』 : 英国に「Cat has nine lives.」 (猫に九生あり・猫は9つの命を持っている/猫は容易には死なない)ということわざがあるらしい。

ウルトラマンは命のスペアをもってたらしいけどね(いくつ持ってたかは知らない)

英国面に落ちると猫でさえ珍兵器化するのかな?


(※4)『うめー○つめて』 : 『うめ○くつめて』は、ガラス瓶の中に歪んだ梅干を隙間なく詰め込むパズルだ。もちろん梅干はプラスチック製で食べられない。実は製造元の東洋ガラスが在庫となってしまったグラスの再利用のための乾坤一擲の社長アイデア、社長退任と共に同社はパズルから手を引く。

ビバリーという会社から復刻版が発売されたことがありますが、今では販売されていないようです。


(※5)ソル : 知る人のみぞ知る、黎明期の有名シューティングゲームの隠れキャラ。特定の箇所に対地攻撃ブラスターを当てるとにょきにょき生えてくる。タケノコとも呼ばれていた。


(※6)レーザー墨出し器 : レーザー墨つぼともいう、直線や水平・垂直のガイドライン引く大工道具。昔はリールから墨を含ませた糸を繰り出し直線を引いていたが、最近のレーザータイプは墨で汚れる事もないうえに水平垂直も自動かつ正確らしい


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