11章-07 黄金のネコジャラシだよっ
昨日(4/1)は おどろいた? アタシは激怒した。
でも実際に起こりえない事とは限らないのも事実。
そぅ、最近カミサマが物理・メンタル 両方でガタがきているのも事実だ
心が死んでしまうのがイチバン怖い。
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ワレたちはついにみつけたノダ
戦わずにその地を滅ぼす古代アーティファクト
昔から言われてるノダ、『自分が食べれない飯は、砂を混ぜてしまえ』と
ワレたちの物にならない土地は滅ぼしてしまうに限るノダ
魔物を放ち奪い取るノダ、ザッパ(※1)には何してもかまわないノダ
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宴はそれなりに続いて、参加者の半数近くが酔いつぶれてしてまっている。
なし崩し的に宴会は終わり、就寝する事となった。
とはいっても、この小さな村に宿屋など無い。
各自バラバラに寝床を借りることになる。
体格の都合、一般家屋には入れない鎧さんは汎用ホールの一部を区切って寝室を用意してもらった。
ご老人たち限定(※2)とはいえ癒し手として認められたマー君は治療棟へ、種族の偏見さえなければ教会育ちのマー君は人当たりは柔らかく一応は慣れている。
マミさん&タヌ子は、宴会前に来訪した育児棟のおばちゃんたちに再度引きずられるように連れ去られていった。
「さぁ。今夜は勉強会よー」
「魔女に学ぶ美容の秘術ね」
「・・・あの、私はママさんより子供たちとふれあいを・・・」
「どぉ?順調みたいね」
「だから~っ、わたしのオナカに赤ちゃんはいないのですぅぅ~~」
マミさんはともかく、タヌ子は子守りやらせたら一流だってのに・・・
食べ放題だからって冬眠前でも無いのに欲張るから(※3)・・・タヌ子の方の誤解は放置しておこう
マミさんの方はこの分なら子供たちは安全そうなので、こっちも安心・・・だと、い・い・な
木登りに関して問題の無いアタシとオギはLisaさんちにホームステイすることになった。
「ヨシ!」
見解が広がるぞと思わずネコ式確認ポーズを取ってしまったアタシなのだった。
この世界の誰が分かるんだっちゅーねん
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「へへん、どうだいっ 木登りは得意なんだぜ」
家の建て付けられている高さ、およそ20mを登りきったオギがふんぞり返って自慢する。
「まずまずってところだ別種族にしては上手いじゃねーか、でもオマエのししょーとやらはどうなんだい?
あんな重い鎧をつけたまま どうするっていうんだー」
いや、このアーマーってミスリル多用してて見かけよりずっと軽いんだけどね
上の方からオギが叫ぶ
「ししょうにジョーシキはつうようしないぜー」
オギのヤツ、余計なコトを・・・。
こりゃあ『お手軽に飛び上がって』なんて事は出来なくなっちゃったじゃんかー。
「VAXくん・・・でよかったかな? 爪は立ててよかったのかしら?」
「かまわねぇよ、でなきゃのぼれないだろ」
「楽な方でよかったわ」
アタシは体をほぐすように軽くその場で小ジャンプ、木の方へ向かって歩き出す
木の根元まで到着するとそのまま歩き続ける。
体の向きは90度変わったけどそのまま平地を歩くように垂直の木の幹を歩いていく。(※4)
「なっ!・・・んななっ」
「ししょーはなぁ、崖の絶壁でも、巨大タコの触手でも駆け登るんだぜー」
むー、オギのヤツ、しっかり見てたんだなー。
最近の急な成長もうなづけるような気がしてきた。
「何もねぇところだけと、ようこそ」
LISA姉さんが自宅に招きいれてくれた。
避暑地なんかによくあるコテージ風、樹上なので基本的にキッチンは別
つまり基本的にリビングと寝室がほとんどを占める家、レジャー感覚でならば素敵、長期に暮らすならちょっと不便って気がする、この辺りは人間の感覚
「おじゃましまーす」」
「まーテキトーにくつろいでてくれ」
大き目のクッションがあったので、その上に腰を下ろす。
いつまでも鎧のままってのも失礼なんで装甲だけでも外す。さすがにぴっちりインナーだけになるのは恥ずかしいから寝巻き用チュニックを上から羽織る。
「その若さで冒険者、資格規定ギリギリじゃねぇかい?」
「うん、登録できるのはね・・・」
プ~ン・・・・ぺしっ!
飛んでた虫を、手の甲で払い飛ばす。殺して無いよん、窓の外へ弾き飛ばしただけ。
「技を鍛えるのも、冒険するのも、冒険者登録する前からやってたよっ」
「つまり、カウントされていない経験がたっぷりあるって事かい、納得だ」
「メシはもう要らんだろうが、茶くらいいれよう」
LISAさんは誰の視線を気にするわけでもなく鎧を脱いだ。元よりここには彼女を除くと幼児しかいない。それにそもそも獣人のほとんどは裸体をさらすことに抵抗が無い。服はあくまで防具・体温調整・おしゃれでしかない。あとマナー的な意味少しだけもあったっけ。
元よりマナーにはゆるい種族だったっけ・・・
LISAさんは体毛の薄い方らしくケモ度は低め、毛のほとんどが頭髪に集まっているかのごとく
豊かなブロンドだ、たまに猫じゃなくてライオンのふれんづなんじゃないだろうかって思ってしまったのはナイショ
マッチョというほどゴツゴツしてないしなやかボディ、出るところは出て、引っ込むところはキュッと締まっている。スポーツクラブ通い始めたコが思い描くような体形(大抵は届かずに挫折する)
「ひさしぶりだなー、家の中で服着てるのって」
「人間社会でソレやったら、ヘンな噂立ちますよー」
「アタイみたいなブサイク(※5)、誰もまじまじと見たりしないさ」
・・・って、ブサイクってどこがなのかなー
顔は整ってる、はっきり言って美人
お肉はあっても駄肉はいない、それでいてしっかりきょぬー
それでいて自宅内裸族だっとは・・・けしからん
ワイルドな姉御タイプ、人気出そうなンだけどなー
シンプルライフなリビング
室内着兼寝巻きのチュニック姿でお互いの冒険話を語り合う、
分かったのはリサさんは村の外との交流と外貨稼ぎの担当で、村では自給自足できない品を買出しに行ったり森で取れたものを商人に卸したり
オギとVAXは隅の方でじゃれあっている。
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パーティションというか、簡易の間仕切りで汎用ホール内に作られた1室
応急で3つを連ねたベッド、横たわる鉄の巨人「鎧さん」ことアマドはなかなか寝付けなかった。
微かな足音に静かに問いかける。
「・・・だれだ?」
「ダンナ、寝付けないんっしょ、俺ッちも同じでさぁ」
現れたのは工房棟に行ってたはずのタツアン
「僕は余所者扱いに対しては慣れてるはずなんだけどな」
「そんなとこだろうと、持ってきたんで」
「酒かい」
「マタタビじゃ酔えないっすからね」
「そうだな・・・少しいただくよ」
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ちゅんちゅん・・・ あったーらしーいー、あーさがきたー
ふにゃ、ふぁんたじーらいふ始めてからはけっこー健康的な生活になったアタシ
周りを見ると・・・
すぴー・・・
くかーーーっ
くー、くー・・・
皆まだ寝てる、わすれてた! ここは猫の国
にゃんこは早起きしてはいけない、ぐたーっと惰眠をむさぼるのが王道
うん、郷に入れば郷に従え、二度寝の落ちてゆく瞬間の快楽・・・
ふわわぁ・・・く~
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むー、気が付いたらお昼近い、前日大食いしてもオナカは減る。 特にアタシは燃費が悪い
身体に似合わないパワーを搾り出す代償と考えると科学的にば極めて正しい。
リケジョ的に考えようが何も考えなかろうが、空腹がアタシの弱点である事には変わりが無い。
窓から外を見おろすと、ぞろぞろと地上の食堂棟に集まってくる猫人たちが見えた。
猫集会にふらりと、一匹・・・また一匹とあつまってくる光景が脳裏に浮かぶ。
「にゃ~、オナカすいた~・・・」
「オウリ、メシいくぞ・・・なんかすごくなじんでないか?」
「ししょーって起き抜けしばらくは本能だけで動いてるから・・・あ!」
オギがフォロー入れてくる・・・普段は口数少ないのによく見てるなー
寝ぼけて窓から・・・そーいやこの家って木の上だったっけ?
高さ20m・・・ひゅ~~~っ、とんっ、オートバランサーは半自律、いい仕事してくれます。
人間、慣れると物事に動じなくなるね、あくびをひとつ、もちろんこれは人間式に直立して。
(ネコ式にお尻を持ち上げる伸びだとパンツ見えちゃうし)
「ふあぁぁ~~ふ」
上から3名が身を乗り出してこっち見てる
「なぁオギ、オマエのししょうってホントにニンゲンか? 」
「・・・オイラにきかないでくれ、わけが分かんなくなる」
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猫の里の食堂は基本的にビュッフェタイプ、まーホテルとかの朝食バイキングだぁね
実は食後に、昨日聞いたアーティファクトを見せてくれるとのこと
一同示し合わせて長老についていく、念のための護衛をかって出てくれたLISAさん
祠というには少々大きめの小屋・・・いや倉に案内される。
長老は幾重にも掛かった封印的な鍵を1つずつ外していく
「HAL長老、そんなお気楽に封印解いちゃっていいんですの? 大事なアーティファクトなのに」
「たまには換気しないとな、物自体は不滅に近いのじゃが倉の方が傷んでしまうて」
倉の扉が開かれる。中に鎮座すのは・・・
「これがわれわれが守り続けている古代魔道具、『覇那散華若興』じゃ」
台座の上に鎮座するのは黄金の巨大ネコジャラシ。長さ5m茎の太さ30cmちょい
刀掛けのように大体水平に保持されている。少し穂先側が上へ向かうように曲がっている。
穂先は長さ30cm程のネコジャラシの集合体だ
「これ触っても大丈夫なの?」
「起動して無ければただの置物ですのじゃ、ただし・・・」
「ただし?」
「起動してたら他の種族は皆、結界で弾かれる事となるの。作動中に触れれるのはワシら猫型獣人だけじゃ」
「スイッチの類がどこにも見えないけど・・・」
「ほっほ、そんなもん元より付いてないのじゃ、殺気や悪意を感知すると起動する高度な魔道頭脳が入ってると伝わっておる」
自立型ってことなのね。しかも感情とかも読み込める高度な魔道AI・・・非人間型オートマタ
これ一歩間違えば、大陸規模の破壊兵器なんじゃないだろうか・・・
平和を求めるあまりに人類抹殺を実行する人工知能・・・デストピア王道パターン
「ここ100年近く、起動した事は無いがの・・・」
長老、ソレ口にしちゃいけない「フラグ」だって!!
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
猫型獣人の隠れ事、ちょっと浮き足立ってしまってる?
最初に悪巧み、最後にフラグ立てしてしまったので、次回はひと波乱あります。
最悪で生態系が崩れて不毛の土地になってしまうのか・・・
【解説】
(※1)ザッパ : チョウォル語でいう人間の世界の事。
ちなみに世界・土地だけでなくそこで生活する人類全てを指す事も多い
(※2)ご老人たち限定 : 偏見があるのは村全体を思って警戒する若者の方がむしろ多い、歳をとっても好奇心は衰えない、故にボケる人も少ないらしい
この種族にガンコ老人は少ない。
(※3)冬眠前でも無いのに欲張るから : タヌキは冬眠前に大食いしてエネルギーを溜め込む事ができます。体重にして50%増量するとか、身長変わらず1.5倍って考えるとこれはこれで凄いかもしれないと・・・
(※4)垂直の木の幹を歩いていく : 浮いているわけでは無い、足場の悪い所ですでに多用している「地球ゴマ走法」
軸を水平にした地球ゴマは軸の端っこ一点で全重量を支える事ができる。つま先の爪を引っ掛けて登っている。実際ケタ外れな脚力を必要とする(脚を伸ばしたフォームのまま体重分の駆動力を発生させる)けど、戦闘中など走っ照るままのスピード&機動性を出ス事ができる。走ってる状態からならまだしも、わざわざこの方法で“歩く”のはデモンストレーション以外の何も意味も無い
(※5)アタイみたいなブサイク : 猫型獣人の美的感覚は人間とちょっと違う
小柄でしなやかなのが美猫、もふもふは愛嬌、マッシブなのはブサイクらしい
この風潮が猫型獣人という種族全体を小型化していった。
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