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11章-06 ネコじゃないもんだよっ


どこにでもあるせかいの

どこにあるものがたり

しんじてくれるあなたに・・・



【この作品は、吾流峰子 のオリジナルです [海賊版サイト対策]】

本網站的所有圖片、文章的版權帰 吾流峰子 所有、未經許可禁止拷貝或使用和銷售。

original: http://ncode.syosetu.com/n7904dz/

――――――――――


宴が開かれた

猫型獣人(フェルゼンティ)の宴会というのは、ものすごくフリーダム

立食ビュッフェパーティに近い形式かな、バイキング式に各自好きなものを好きなだけ取り、立食するもよし、テーブルに着くもよし、壁にある棚へ上るもよし、ポールに登るもよし。床を転げまわるもよし・・・


そのあまりにもフリーダムさにあっけに取られる冒険者一堂


むー、ネコらしいと言っちゃえばそう・・・いや“そのもの”なんだけど


「郷に入れば郷に従え・・・だよっ」


「土地や国が違えば風習も変わる、種族が違えば根本から違うってもんか」


「わかってんじゃん、鎧ちゃん」


「僕の事をただデカイ人とか思ってないか? 僕も異種族なんだぞ

 ・・・あっ! おーちゃん お酒はダメだよっ!!」


「これジュースだよ~木の実の」


アタシはフリードリンクのジョッキを取るとかるく一口

ちょっと独特の香りがするけど酒精(アルコール)は感じない

ちょい酸味と甘みがあって・・・例えるならキウイかな(※1)


「周りは酔っ払ってるぞ・・・ってこれは」


「マタタビね、猫科のみに効くお酒のようなものかしら」


「外見は猫でも一応人間だし、問題ないか」


「俺ッちは普通の酒が欲しい」

「きゅぅぅ・・・ボクにはネコの匂いが強すぎてきつい・・・」


「料理は素朴だけどなかなか美味しいのです、だけど全部ぬるい! 冷めかけてるのですぅ」(※2)


・・・タヌ子よ、ここにいる村人たちは全員が猫舌なんだよっ・・・


アタシも郷に入れば郷に従えで、食べて飲んで、駆け登って踊って転げて

宴を存分に楽しんでる。

びば! 猫型獣人(フェルゼンティ)式パーティっ!(≧▽≦)9


「鎧ちゃん、おーちゃんって人間だったよね・・・」


――――――――――


ぽふぽふとHAL長老が歩いてくる。足音はしないけど、モフモフの体毛が微かな音をたててる


「宴は楽しめてますかの、肩の力を抜いて自由奔放になるのが宴の醍醐味

昔から『野生と自由だけは手放すな』と伝わっております」


会場の隅の方でマー君がブツブツつぶやいてる


(・・・うきゅう・・・ボクら犬型獣人(アヌビン)の教義と真逆じゃないかぁ

 『(けもの)となるな、人であれ』だよ、獣人の進む道ってのは・・・)


まー相性ってのもあるよっ、宗教や教義って難しくってわかんな~い

打つ手が無いから悪いけど慰めてあげられない


鎧さんが長老をつかまえる、酔っ払ってgdgdフリーダムになっちゃう前に


「長老、してどうして、他の町との交流を禁じて隠れ里にこだわるのでしょう?」


「その辺りは歓迎の宴の席で話すような内容ではない話になってしまう、それでも聞きたいのかね?」


鎧さんが肯くと長老は視線を落とし、つぶやくように搾り出した。


「我々は・・・罪人なのじゃ、罪を償わなくてはならんのじゃよ、これからもずっと・・・」


「それはいったい」


「それについては語り部の私が話しましょう・・・

J-Star(ジェイスター)と申します。まだ先代から襲名して日の浅い語り部ですが、宜しくお願い申し上げます」


ケモ度高めの猫獣人男性、帽子にケープにリュート、吟遊詩人(バード)


ポロンとリュートをかき鳴らすと朗々と歌い始めた


♪~

曲と歌が重なり合い、情景が重なって見えてくる

これが語り部の技? アニメとかならカット切り替わっての回想シーンって所かな


――――――――――


それはそれは伝説に出てくるお話、はるか昔の物語

当時、この地はいまよりもっと広く森が広がっており、反面凶暴な魔物も多かった

緑は豊かだったが、昼も夜も気を抜くことの許されない殺伐とした森だった。


ある日この村を通りがかった大賢者ロコヒはわが種族を懇意にしてくれた


「あなた達はこの地から争いをなくしたいのですね」


「そんな御大層なことじゃなくって、ただのんびり昼寝ができるような地にしたいでさぁな」


「いいですねー、のどかなお日様の下でお昼寝、わたしもしたくなりました

 そう、ふぃ~る そー にゃーにゃー(※3) ですね~」


大賢者はこの地にしばしとどまり、研究を続けました。


そしてしばらくの後、完成したのです。


「みなさ~ん、よろこんでくださ~い 争いをなくす魔道装置(アーティファクト)が完成しました~」


おおお・・・


「で、どんな魔道具なんです? 強力な武器ですかい?」


「この道具は武器ではありませんよ~、『殺意』『怒り』『不機嫌』『悲しみ』『つらい』等の争いの元になる気持ちを全てにっこにこに変えてくれるのです」

「ついでに危ないものは使えなくして、寂しい所は華やかにしちゃいます」


「すごい、でも悪用されたら大変な事になるかもしれないのでは?」


「その点については、対策済みですよ~ しかもふた~つ

ひとつ、この魔道具は皆さんの種族、ネコさんにしか使うことが出来ない仕様でーす

ふたつ、本体のコアには擬似人格付きの魔道頭脳が組み込まれていま~す

困った時は話せば分かる親切設計~」


こくこくとうなづく村人たち


「くれぐれも使用者は心穏やかにいてくださいね」


「それでは、私は他にも困っている村がないか探しに行きます。またあそびにきますよ~」


賢者はそう言い残し村を去っていった。


――――――――――


賢者が去って数日、意外にも早く装置の起動する時は来た。


ズッ、チャッ、ズッ、チャッ、ズッ、チャッ、ズッ、チャッ・・・


行進曲のようなアラートが響く、この警報が出たら最も落ち着いている者が出向き

装置から端末を受け取り出動(※4)

危機の程度によって出動する人数は、自動算出され指示が来る。


――――――――――


ピポパポパ!


魔獣の鋭い爪に花が咲く、戦意をなくし穏やかに去って行く


ピポパポパ!


枯れ木に花が咲く、屋根に花が咲く。鬱蒼とした雰囲気が吹き飛び、華やかになる。


ピポパポパ!


毒のある草に花が咲く、トゲのある蔦に花が咲く。花を踏み荒らしでもしない限り怪我とかはなくなった。


森のあちこちに花が咲き乱れる、赤 白 黄色に 青 ピンク


喧嘩する者に花を、泣く者に花を、悩む者に花を・・・


ピポパポパ! ピポパポパ!


次第に森中が花に溢れるようになってゆく


そして凶暴な魔物や野獣はほぼ淘汰され、森に平和が訪れた・・・


ここで終わったなら、御伽噺になりえていただろう


咲いた花は、やがて散る。

永遠に咲いていられる花は造花か乾燥加工したドライフラワーや押し花くらい


本来、開花すると言う事は大量のエネルギーを使うという事

サボテンなどの多肉植物には花を咲かせた後に枯れてしまうものもあるとか


強制的に花を咲かされた木々や草は力を使い果たし、魔物の多かった辺りを中心に次々と枯れていった。


確かに安全は手に入れた

・・・その代償に森の草木は枯れ不毛の地となった。その名残りが広大なサバンナ


かろうじて北端に残った森へ移り住んだのが、今の村

私たちはその末裔なのです・・・


ポロンとリュートの音が締めくくり、物語は終わりを告げた。


長老はうつむいて搾り出すようにつぶやいた。


「我々は罪滅ぼしとして、この地から出ては行けないのじゃ

 封印したアーティファクトを守り続けるために」


むー、案外フクザツな過去がこの村にもあったんだなー、予想外だったよっ


「すまんのぅ、重い話してしまって・・・わしも飲むぞぃっ!」


マタタビジュースのジョッキをひっつかむと一気に煽るHAL長老


「どわはははっ、今宵は無礼講じゃぁ~~っ」


はじけたはじけた・・・


拙い作品をお読みいただきありがとうございます


お気楽極楽のー天気、自由奔放風任せってのがネコの本質と思ってたけど

なんのなんの律儀だったんだよね。


ひとりでgdgd、二人で語って、みっつぶっちゃけハジケる

猫型獣人(フェルゼンティ)は、案外ネコじゃないもんだよっ



【解説】


(※1)例えるならキウイかな : マタタビの実、一般に知られているのは緑色のどんぐりサイズ

これを乾燥して粉にしたものとかがペットショップとかで売ってたりします。

実は、この段階はまだ熟していない状態で、人間が食べると激辛だそうです(毒ではない)

ところが実を完全に熟するまで育てると赤っぽいオレンジ色になり、キウイのような味になるとか【本当】

ちなみにマタタビとは語源がアイヌ語の『マタタンブ』から、「マタ」=冬、「タンブ」=ぶら下がる で冬頃に熟すそうです(諸説あり)

北海道の北端辺りにてご当地スイーツに使用されてたりします。

ちなみにビタミンCはレモンの3倍、抗酸化作用と血圧上昇抑制作用があるそうです。

※某最大手週間漫画雑誌の漫画に出てきた巨大マタタビの形は果実にマタタビミタマバエまたはマタタビアブラムシが寄生して虫こぶ(虫えい)になったもので、木天蓼(もくてんりょう)という漢方の生薬です。本来の実はあんなにボコボコしてません。皮肉な事に漢方としての薬効は虫えいの方が高い


(※2)だけど全部ぬるい! 冷めかけてるのですぅ : この種族はほぼ全員が猫舌なので、料理は少し冷ましてから出すのがマナー。

熱々の出来立てを出すのは失礼にあたるとか。

種族が異なれば常識も変わるという事


(※3)ふぃ~る そー にゃーにゃー : 賢者ロコヒの造語、「とても ねこねこしたカンジ」とでも訳せばいいのかな、元より賢者というものは常人離れした思考を持つ者、メルヘンかつカオスなのです。

元ネタを探し当てる事ができる人が居たなら、その博学さに敬意を称したい。


(※4)出動 : この装置は兵器ではない、戦うわけではない、だから“出動”

“出撃”ではない。



<命名余談>


J-Star(ジェイスター)は、ゼロックスが1981年に発売したワークステーション「Star」これを日本で1982年10月に富士ゼロックスから「8012-J スター・インフォメーション・システム」の名称で発売された。

ウィンドウに基づいたグラフィカルユーザインターフェース、アイコン、フォルダ、マウス、イーサネットネットワークシステム、ファイルサーバ、プリントサーバ、電子メール。オブジェクト指向といった技術を統合した最初の商用システム


ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが (あると嬉しいのは事実だけど)

ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです


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[一言] すっかり里に馴染んでますなー そして意外とやらかしていた猫さん達 おーちゃんの行動は猫っと……φ(._.)メモメモ
[良い点] なにかホノボノなのか警告なのか タンポポ食べてでしょうか 現実でも下手開発して砂漠化はよくある話ですね [気になる点] >ネコじゃないもんだよっ 矢野さんですか?イメージアルバムですか ぼ…
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