11章-03 いにしゃるD・・・だよっ
別に峠とかを攻めてるわけぢゃない
そもそも自動車なんてない世界だからね
このネタタイトルもいちおー意味はある・・・
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無我夢中に、必死になってると時間の感覚がおかしくなってくる。
川下りを終えて一休みしたら既に日が傾き始めてた。今日はここら辺で野営だねー
「ここは陸路で探索すると他には無い変わった生き物とかがいるんだ」
「「「へ~」」」
「タランチュラ、巨大ヤスデ、巨大トンボ
オオヤマネコ、食獣植物、沼コブラ、ワニ
カバなんかも出るぞ」
さすがベテラン・・・でも慣れてるハズなのに何で川下りの罠にあっさりはまった?
・・・って思ったけど、鎧さんが水路を行くわけないからねー
今夜の夕飯は、川魚っ! (≧▽≦)9
持ってて良かった、極めといてよかった『釣りスキル』
「釣りマスターのめんもくやくじょなのですぅ」
静水爆発や衝撃波、落雷電流などで魚を麻痺させて一網打尽に捕らえるって手も有るんだけどね
それやっちゃうと「この世界にはまだ規正法がないから」って夢想するテンプレチーレムさんと同じになっちゃう
まー、フツーに釣って、フツーに食べる
開いて臓物ははずして、粉はたいて硬くなったパンを砕いてまぶして油で揚げる
お魚のフライ
・・・焼き魚もいいけどちょっと贅沢
ソースもマヨネーズもストックあるし、酢漬けキュウリのピクルスとタマネギ、ゆで卵を刻んでタルタルソース
冒険者は体力勝負、ガッツリいっちゃう
うんうん、カロリーに気を使わなくっていい身体っていいにゃあ・・・
タヌ子は少しは気を使え! 信楽焼きタヌキになりたくなかったら
一夜明けて・・・・・
サバンナとでもいうのだろうか、やや乾燥した、暖かい・・・暑いに近い気候
ほとんと砂と岩場の真っ平らな土地が、ただただ広く広がっている
やっぱ移動は大型召還獣でないと・・・ん?メッセージ?
珍しく体内メニューからアラートが発生している。久しぶりかも、尻尾にサブカメラ搭載した時以来だよっ
差出元は?・・・は?
【召還システム】:メッセージ2件
『めぇ:各魔族都市めぐりします。申し訳ありません、しばらくお休みします』
『ガウ爺:湯治に行ってます。召還に応じられません』
・・・・・∠(○△○)ゝな?
めぇはバフォメット系悪魔族の執事、根回しと物品調達が得意なイケメン
めちゃくちゃ有能だけど、種族柄抜け目ないところがある。行きに大型馬車を手配してくれた。
ガウ爺ってのは、呼ぼうとする度に止められてしまう大型ドラゴン、やさしいお爺ちゃん。本当は「ガウディオス・なんちゃらかんちゃら・・・」というすごく長い名前のお爺ちゃんドラゴン、色は白に近い灰色、当人いわくいろんな属性に分化する前からいる古いドラゴンなんだそうな
ドラゴンは成長期の終わりというものがないので、高齢なほど大型になる。
20人やそこら乗っても大丈夫なくらい大きい。
なんでそんなのが召還獣やっているのかは不明。でも知識的には分かっている。
ドラゴンというものは基本的にロ●コンなのだよっ!(※1)
「むー、困ったー」
多人数対応の召還獣はあと1体いなくもなくもない・・・
ただ、世界観破壊極まりない、魔法生物なんで呼びたくない
ちなみに長距離移動にも向いてない・・・ピンクの戦車、コイツは呼べない
「まーた非常識な解決方法でも模索してたんでしょ」
「特に急ぐわけじゃない帰路の旅なんだ、ゆっくり進めばいいんじゃないかな」
「お嬢、また一発解決を企んじゃいませんかい? 伝説の勇者だって都合のいい事ばかり起きませんぜ」
3人から突っ込まれたー
そうだよね、なんでも楽な方法を見つけたリ作ったりしようとするのは、現代人から転生した主人公にありがちな悪い癖だ
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てくてくてくてく・・・
サバンナを徒歩でゆく、のどかだけど変化ないねー
「わー、ダチョウさんですぅ」
あ、野生黒ダチョウの群れだ、一応危機察知能力の高いタヌ子
この世界のダチョウは人懐こいって本で読んだことがある。
「あの群れ、乗せてもらえないかな」
「おーちゃんダチョウと話せるの?」
「直接は無理だけど、交渉役なら用意できるよっ
Callっ 黒旋風 」
黒いダチョウが召還される、通称ノワちゃん(ノワールターボ)
騎乗用ペットの一頭
意思疎通のために『ファミリア・リンク』スキルを起動する。これで間接的にだけどダチョウ達と交渉できる・・・はず
〔ひさしぶりだなご主人、またスピードに酔いしれたくなったんかい?〕
「一人ならカッ飛ばしたくなるロケーションなんだけどねー、今日は団体なんで交渉お願いしたくって」
〔ああこの人数なら、鳥数が必要だな、まかせろ! ケリつけてきたる〕
とっとっとっとノワちゃんは群れへと歩いていく。ここは彼に任せよう。
距離は少し開いたけど、リンクが張ってあるので彼を通じて会話内容はこちらに流れてくる
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※ここからはリンク経由なので他のダチョウの声も自動邦訳されます
「よぉ、見知らぬ顔だな、どっから来た?」
「〔あちらのパーティからさ・・・俺は宮仕えの身なんでね〕」
「ついさっきまでお前は居なかったじゃねーか」
「いきなり現れるのは魔物くらいだぞ」
ダチョウの視力は物凄く高い(※3)、こちらからダチョウの存在に気づいたって事は、ダチョウからすれば事細かに観察可能な距離な訳でして、召還しているのも聞こえてはいないだろうけど見られてはいる
「〔俺は宮仕えの身だって言っただろ、敵意なんか持っちゃいねぇ
今日は話し合いに来た〕」
「我々は平和な種族だからな、細かい事はいいさ、とりあえず聞こう」
「〔単刀直入に言う、この群れの足を借りたい〕」
「なるほどな、この荒野で我々より速い奴はいない、ところで掟は知ってるな?」
「〔ああ、意見が対立したらレースで決着をつける。俺たちダチョウの世界では足の速いヤツが一番偉い〕」
「単なる速さだけじゃない、駆け引き等も含めての速さだ、他に参加したい奴はいるか?」
「「「おう」」」
3羽ほど出てきて並ぶ
「〔ちと小柄だな、このままじゃ不公平な気がする〕」
ノワちゃんは小走りにアタシの方まで近寄ると、ひょいと首根っこを咥えて持ち上げ、自分の背中へと落とした。
ネコミミもシッポもついてるけど、ネコ式につかむなー
「〔ハンデだ、俺はこの子供を背負って走る、鎧つきだからそこそこの重さにはなる〕」
「余裕の大口もその辺りにしといた方がいいとおもうぞ」
コースの説明、
おおまかに岩山を回って戻ってくるコース
途中にコーナーやシケインが用意されている
地上最高の視力を持つダチョウ同士だから、その先の方まで歩いてきたように視線の指示だけで説明がついてしまう、人間の10倍以上の視力のなせる技。
ムリヤリに例えるなら「ぐーぐるマップでストリートビュー」
せいぜいアタシはコースを間違えないように、ミニMAP上にマーキング機能で書き込んでおいた。
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「れでぃ・・・5・4・3・2・1・Go!!」
各馬・・・ならぬ各鳥が一斉にダッシュ
アタシ達は様子を見る為にあえて4番手へと付ける
「〔ご主人、重くなりやしたね、おっと、今までが軽すぎたんでさ〕」
「装備の重さだよっ、この尻尾だけで6kg近くある」
「〔そろそろ第一コーナーだ、振り落とされねぇようにな〕」
コーナーでは内側に重心を傾ける
でもタイヤも足も地面に垂直な方がより効率良く力を伝えられるってのは常識な訳で、斜めになるほど危険は増す、極論地面と平行なら空振りしかない
だから乗っかってるアタシが移動して重心移動すればいい
全身を内側に・・・ぶら下がるように、ステップなんて付いてないから片足を引っ掛けるようにハングオン!、
ん~マモラ乗りっ!(※3)
馬もダチョウも跨って乗るから体裁きはバイクと一緒だよっ
ここではフェアではないので、ジャイロは使わない
〔こりゃ踏ん張りが利く、助かるぜ〕
バイクレース同様、鳥体は極力傾きを抑え、重心は内側前方へ荷重移動
接地グリップ力のゆとり増加により、本来よりやや早く加速に入ってゆく
「なんだ、あの加速はっ」
「スローイン・ファーストアウトの基本を無視しやがって」
むー、無視してないよっ 倒しこみを抑えた分グリップ力が上がってるだけだって
「〔くらえ! 幻の多角系コーナリング!!〕」(※4)
カーーン!(高音)と脳内でエキゾースト・ノートが響く
「ほいさっ、今度は右ヘアピンね」
ささっと移動して重心位置を変化させる・・・ちょっと肩擦った~、地面が顔のそばを流れていくのはけっこー怖い
その後、コーナーのたびに1羽1羽と追い抜いていく
「ブッちぎりだじぇ!」
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折り返しポイントの岩山が見えてきた
岩山と言うよりテーブルというか短めで折れた巨大石柱
岩壁で押しのけられた風が強く渦を巻いている
「〔風が強いな〕」
ん? 地元勢の4頭の動きが変わった、一列に並んだフォーメーションを組んだ
自転車レースなんかで常用的に使われるチーム戦法だ。
先頭が風除けとなって後続のメンバーの体力を温存する、
さらに高速状態では気圧の変化を生み、劇的な変化を生む
この現象をモータースポーツなんかではスリップストリーム(※5)と言う。 けっこー有名
ただしダチョウの速度で発生するかは不明、物事が派手な方向へ流れ易い(『事象神』って言うのがいる)この世界なら十分ありえる
「ノワちゃん、あちらさんのフォーメーションの意図は?」
「〔この先体力を消耗する所があると見た〕」
岩山に近づくほどに風が強くなってくる。
そしいそのの向う側は・・・砂嵐状態だった
「これじゃ目が・・・開けてられないよっ」
「〔こりゃたまらんぜ〕」
そんな脇を一列縦隊になって4頭が追い抜いていく
「〔地元勢、コースを熟知、いや暗記しているな〕」
目をつぶったまま脇を駆け抜けていく
岩山の裏側は砂嵐、目が開けられない、地元勢はコースが分かってるので目をつぶってても走れる
「なんか打つ手は・・・気休め程度だけど・・・」
尻尾を立ててカメラアイを起動、機械の目なら多少の砂で目を閉じる必要はない
ファミリアリンクの逆用、アタシは自分の視界をノワちゃんに送る
「視界は狭いし、画像も荒いけど見えないよりはマシでしょ、」
「〔砂嵐の中でこれだけ見えれば上等だ〕」
さすがに何度も走りこまれた経験の集大成は強い、砂嵐と言うランダムな不定要素を含めたとしても安全マージンが計算されているのか安定して疾走する地元チーム
記憶を元にコースを走る集団に少しずつ追いついていく
ただ、完璧にコースを暗記しているだけあって、向こうのライン取りは完璧だ。
もっとも、記憶の中のコースをたどるだけなので細かい路面状況の変化には対応できてないようだ。
もし隙を突くのであるならここくらいしかない。
何度と無く研究された記憶の中の理想ライン VS 臨機応変なぶっつけ本番の走り
砂嵐地帯を抜けると後は戻りの直線区間、純粋なパワー勝負なら十分に勝算が・・・
ドパッ!
相手チームの縦列編隊走行が変化を見せた。
先頭がいきなりの加速を見せると、そのまま後続を引っ張る・・・・だが数秒でその足は鈍り始めると、横へ倒れるように道を開ける。
加速に乗った2番手が倒れかけた先頭の周りの気流を使用してさらに加速、さらに後続を引っ張りつつ加速・・・
ドパァッ!
スリップストリーム、その応用技だ、
一般に選考の真後ろ直後の低気圧により後続を引っ張るのが主とした用法だけど
低気圧部分を抜け出す際の高気圧部分を利用して、さらに爆発的な加速を生む
ドッパァッ!
「〔ヤベェな、あの加速、気合いれねぇとな〕」
「ノワちゃん、いくよっ」
ラストの直線、3段スリップストリーム加速の地元チームが先行する
「ノワちゃんっ、いくよ! 切り札!」
「「ターボ・ブースト(※6)!!」」
気合とともに、一人と一羽を包み込むように、大気の繭が形成される
足元からは爆発するような力を感じる
黒色ダチョウは風と大地に愛された種族、
本来ドラゴン族しか得られないはずの能力、『ブースト』を限定的にではあるが発揮する事ができるのだ!!
今すぐ行くから景色を切り替えて
道なら1ツじゃないの・・・まだ間に合うから
ヘッド退避機能の無いハードディスク搭載AIなんてのは付いてないけどねっ
「っつあああぁぁぁ・・・・・・!!」
疾風の塊となって疾走する、ぐぐっと近づいてくる先行
気合とともに加速を続ける・・・逆転、ゴールインっ!
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かくして、話が付き(?) 我々一行はダチョウの群れと一緒に西にある水場まで行く事になった
群れ一番の力持ち2羽を並べ、その上に即興で作った2頭用の鞍と鐙をかぶせ
やっとのことで鎧さんもダチョウ騎乗に成功、これには本人も大喜び
「一人だけ、またそりで引かれるものとばかり思ってたよ」
ダチョウに乗ってサバンナをゆく・・・風流だよっ
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
タイトルのオチは
『いにしゃるD』 でした。
(ネタ的にはちょっとだけ『さい○ーふぉーみゅら』入っちゃったけど)
今回のタイトルのボツ候補は『理系が変におちたので~』と『ランナウェイでわらって』
前者だったなら運動方程式がごっそり出てきて、後者だったら何かに追っかけられるお話になってたw(時事ネタ的にその時々の作品をネタにしたくなる)
【解説】
(※1)ドラゴンというものは基本的にロ●コンなのだよっ! : おばあちゃんを乗せているドラゴンもいるけど、そのドラゴンって何百歳って高齢だったりする。乗ってる方より数倍から数十倍歳が離れてるのがフツー
どこぞのレビューアーさんは言った「見た目が可愛けりゃ年齢なんていいじゃん」と
また別のレビューアーさんは言う「種族が違うなら変化も違う、若い子はいい」と
アタシ?10さいですからー、そーゆーお店行けないからー、行く気ないからー
蛇足だけどユニコーンの処女厨は有名
(※2)ダチョウの視力は物凄く高い : 実は地上の生物で最も目がよいのはダチョウ、
4km以上先が見え、細かいものでも40m以上先を歩いている蟻の動きすらもよく見えるといわれていたりする。解像度は人間の約8倍!
視力に換算して『25』!!
ちなみにマサイ族でも視力8~10、一般人では高くて2.0、作者は1.1(眼鏡込み)
(※3)マモラ乗りっ! : バイクのステップから足を離して思いっきり重心を内側前方へ持っていくコーナリングテクニック。ランディ・マモラは往年の27人目の殿堂入りを果たしたGPレースライダー。(まだ存命)
小さな身体を独特の体裁きでマシンの不利を補った無冠の帝王。そのアクロバティックなフォームは「マモラ乗り」と呼ばれ当時のバイク乗りなら一度は真似してコケるか怖くなってやめたと言われている。作者もそのうちの一人(コケる前に止めた)
(※4)くらえ! 幻の多角系コーナリング!! : ブレーキングを遅らせコーナーに深く突っ込み、短い減速と同時に的確に車体方向を曲げる、その後はほぼ一直線に最大加速
本来は4輪で行う、理論上最も速いコーナー対処方法。考案者(?)はユウヤ・フブキ
(※5)スリップストリーム : 大気中を異動する物体には進行方向の後ろ側に回り込もうとする気流、つまり循環流が発生する。
流体力学のクッタ・ジュコーフスキーの定理やら物体の真後ろ近辺では前方で空気を押しのけた分気圧が下がっており、そこでは空気の渦が発生し周りの空気や物体などを吸引する効果を生むほか、空気抵抗も通常より低下した状態となっている。
実はこれ、デメリットもいくつかあることは意外と知られていない
モータースポーツの場合、気流を利用した装備、ラジエータやエアロパーツの性能が低下する上に
車体の前後バランスも大きく変化する。(大抵がアンダーステアとなる)
もっともダチョウにはそんなもの付いていないし、2脚走行なので前後バランスの変化による影響は薄い。
ただスリップストリームから脱出する瞬間はその周りに発生した後方乱気流に突っ込む事になり、物体の挙動が極端に不安定になりやすい。つまりスリップストリームは入るより出るときが難しい、
(※6)ターボ・ブースト : 風の繭を作り空気抵抗を無視して超加速を行う特殊能力
本来は、ドラゴン系のみが持つ能力なんだけど、地上でこれを発動できる天然生物は黒ダチョウのみ
(魔法生物になら若干同系のスキルを持つ者もいる)
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』