11章-01 激流くだっちゃうよっ
あっけましておめでとーっ!(≧▽≦)ノ
古くは、木のこずえに神が宿ると考えられていたことから、その期に乗じて攻め入る邪を迎撃するために、3連の砲身を垂直に立てた迫撃砲を模した飾りが家々の門を飾ったという。
所によっては対空機銃(小口径・多連装)だったり、フラッシュハイダー代わりの斜め切りがないものもあったそうです。
え、神託?
「書いているのは少し前だけど、実家はネット環境がないので予約更新です」 だそうです。
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アラハトの作った氷の道が終わった
湖の周りは針葉樹かな
湖から先に進むと風が温かくなる。
地域エリアの区切りで気候がガラッと変わるなんて、精霊の管轄が与えている影響って大きいんだね。
川沿いに進んでいくと、簡易の桟橋のようなところにゴブリンがいた
魔物ではなく種族としてのゴブリンだ、会話は通じるし凶暴でもなんでもない亜人の一種。
『人』のゴブリンと『魔物』のゴブリン、外見的特徴は共通するが、気骨とゆーかにじみ出る雰囲気が異なる。
「ダンナがたァ、よかったらイカダ買いやせんか? 川下まで移動するならイカダがいっちゃん早いですぜ!」
少し猫背(元々そういう種族)でもみ手しつつこちらを伺う目つきに邪悪な凶暴性はない。
むしろしたたかな商人の物腰が色濃くにじみでている。
この世界の生態系は2種類ある。
ひとつは普通に親から生まれ成長し、年老いるか不慮の事故で死ぬ。ごく当たり前の生き物の一生
もうひとつは、特定の地域からいきなり現れ徘徊し、大抵は倒されたとしてもしばらくするとまた再出現してくる『魔物』の発生
前者と違って後者は、記憶を引き継いでいるかはわからないが、半ば永遠に死ねない不遇の存在、呪いと言ってもいいだろう。
両者の根本的な違いはたった1つ、『魔結晶』(※1)と呼ばれる『石』をその体内に持っているかいないか、それだけ。
「8人乗りの大きいやつだと金貨2枚、好きな所で乗り捨てていい」
奥の林の方からゴロゴロと丸太のコロを転がしつつイカダが運ばれてくる
「丈夫だよ、滝から落っこちでもしなきゃ壊れないよ、そこの巨人さんでも問題ない」
桟橋に係留されたイカダはかなり大型、10mくらいあるんじゃないかな
これなら全員乗っても十分すぎるくらい
つーか、上で剣戟戦できるんじゃない
「イカダ四角い、舵よく利かないから2つ付けた、クセあるから注意」
丹念にイカダをチェックする鎧さん、彼は水に落ちたらヤバいもんね・・・アタシもだけど
「いい作りをしている、これなら問題ないな。作ったのは君たちゴブリンかい?」
「今まで何隻も作ったからね、冒険者さんはお得意様、まいどあり」
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ゆったりというほどには遅くなく、激流下りというほど速くはない速度でイカダは川を下っていく
周りは比較的上流の河川特有の河谷、要するに川の下方浸食によって谷ができている。
平野や扇状地はもっと下流になってから、初めて学校で習った授業内容が役に立ったような気がする。
川というものは曲がりくねっていても水もその通りに流れるので特に舵を切ることなくともぶつかったりせずにそのまま進んでいく。
舵はライン取りの微調整程度、当然中央付近は速く川岸に近づくほど遅くなる。
「まだ少し冷たいけど風が気持ちいいなぁ・・・きゅ? なんか魔物のにおいが・・・」
犬型獣人のマー君が風に乗ってきた匂いをキャッチした
もちろんアタシも含めて人間には何も感じ取れない
アタシもサーチしてみるよっ
鎧さんが雑音を発しないように彫像MODE
今回使用するのは強化聴覚による音響探索じゃないから、別によかったのに・・・と思ったけど、わざわざ口に出すのも無粋な気がしたから形だけネコミミをぴこぴこさせてみたりする。
同時に意識は脳内に開かれた1つのウィンドウに
・・・小範囲MAP
やはりいた、MAPに見つけた赤いアイコン、敵意のある敵対魔物
「川岸右側に魔物発見、数4、敵意あり、迎撃のために右側へ寄せて!」
「りょーかいっス、よっしゃあ!」
たまたま舵のそばに居たタツアンが、右側の梶棒を引っ張る。
器用で割りと何でもこなせるトレジャーハンターの彼だけど、遠距離攻撃できる職業だけにアタッカー側について欲しいかも。
「面舵いっぱ~い、ヨーソローですぅ」
左側の梶棒をタヌ子が押す。おいこらタヌ子、そんな言葉どこで覚えた。
そもそも間違った使い方しとるってーの!
『宜候(※2)』とは『船の進路をそのまま保て』を意味する言葉、舵を切ったらセットで使われるけど別のコマンド、タイミングが大切なんだよっ
「斥候飛ばす?」
一応聞いてみる、リーダーに
「いやいい、位置はつかんだものの意図は分かってないんだろ? 刺激しない方がいい」
「この匂いは・・・ホブゴブリン!」
「くふふふ・・・そろそろ視認可能なはずよん・・・」(※3)
頼もしい仲間達だにゃあ
実は過去に近い経験をしたことがある。
行動範囲制限の中、四方八方から敵が押し寄せてくる状況
一人で全部やらなくていい
もっとも、撃破数に応じてポイントのもらえるゲームだったけどねっ
「魔法詠唱のマナ反応あり、奴さん殺る気満々じゃん・・・でゅふふ・・・」
マミさんが呪文詠唱を開始する
この人の魔法は魔改造されすぎていて何の魔法か分からない (¬へ¬;
「マミ、まだ撃つな、警戒しているだけで攻撃してくるとは限らない」
「ダンナぁ、あのイカダ売りゴブリンに売られたんじゃねぇんスかねー」
「うっきゅう・・・脅されてただけかもしれないよー、魔物ゴブリンと冒険者が敵対するのはお約束だけどさー」
「魔結晶持ちの魔物なんでしょ? 立ち塞がるものならブチぬくよっ」
どっちみち逃げれる場所などない、川の中イカダの上、下手に攻撃されるわけには行かないと思う。
こんな状況で『あちらにも家族がいる、事情があるかもしれない』なんて甘いことは考えたくない。
アタシも筏の右端へ行くと、メタルロッドを手に比較的長射程の呪文をチャージする
魔法というと長距離攻撃のイメージがあるけど、実は弓とトントンかやや短い
広範囲大規模破壊魔法なら別だけど、そんなものを乱発したら環境破壊以外の何者でもない
長距離単体攻撃なら弓に軍配が上がる。
魔法攻撃のアドバンテージは、複数攻撃と重装甲対策なんだよっ(※4)
お互い照準合わせしているのは分かっている、あとは射程の問題、それも時間の問題。
アタシの知る『影走りの格言』にはこうある
『先手を取れたのなら、初手に最大の火力を集中せよ』
第一手にわずかでも先に一撃入れれたなら、相手はそのダメージの影響をその後受け続ける。
戦いの有利を取るのであれば、初手を確実に決めること。
こんなこと語ってると、可愛いヒロインから遠ざかってしまうけど、仕方のないことなのだよっ
「気に入らないから殺す」のテンプレ主人公なんかじゃない、この世界で生きていくためには必須。
イカダに攻撃されたら危険な者もいる、死んだらそれまで、復活もセーブなんてのもない!
心を鬼にして、ホブゴブリン殲滅っ!
「先手必勝っ!」
魔法射程距離勝負では、イカダの端に位置取りしたアタシが一番に捕らえた。
あえて0.5秒ほとディレイして4匹の密集隊形の近い方から2番目をタゲる
ピシャアアッ!!
ロッドから一瞬青白い雷が延びる、ジグザグと枝分かれするように転がって4匹を撃ち抜く
パリパリと音を立ててまとわり付く火花は連続ダメージを与え続けるがその威力は大した事ない、精々感電の痺れと金縛り程度
中には絡み付く雷光をものともせずに近づいて来ようとするヤツもいた。
「次っ! まだ奥にいる!」
「あの雷撃、あまり効いてな・・・」
ダァンッッ!! ドドォンッ!!
晴れた、雲ひとつない天空から雷がホブゴブリン達を打つ、回避を試みようとするものもいたが落雷は正確にその体を消し炭へと変えていった。
「落雷・・・とは少し違うわね、なにこの呪文」
「誘導落雷(※5)、ライトニングと違って確実に当たる雷撃呪文だよっ」
「それは頼もしい・・・ねっ、と」
マミさんの放った呪文が奥の林から出てきたホブゴブリンを切り裂く
「対岸距離を今のまま維持して! 奴さんの呪文射程はこっちより短いみたい」
「姐さん了解っす、操船はまかせなっ」
そんな時、視界の片隅を何かが一瞬通り過ぎた
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
改めまして、あけましておめでとうございます。
今後ともよろしくお願い仕る
有名な雷撃系呪文「ライトニング・ボルト」って雷属性の射撃呪文なんだよね
システムによっては壁とかで反射したりするらしい雷とは違う何か?
自然の雷は「落雷」って言うように上から落ちてくると思われがちだけど、超高速度撮影写真などで見ると「上と下の両方から伸びて繋がる」のが事実
まー、ぶっちゃけ「アーク放電」だもんね、ちなみに総エネルギー量は単1乾電池程度らしいのですよ
これは持続時間の問題、雷のエネルギーが少ないんじゃなくて、乾電池が凄いって事
一瞬にエネルギーを収束すると凄くなるっていうお話。
【解説】
(※1)『魔結晶』 : 魔物は倒した死体がしばらくすると跡形もなく消滅する。その際に金貨やアイテムを『ドロップ』することがある。
『魔結晶』については現在も専門機関で研究が続けられていて、ごく稀にに落とす魔結晶に賞金をつけて冒険者ギルド経由で回収を行っているとの事。
(※2)『宜候』 : 元々は『宜しく候』で、『好候』とも書く
英語では、(Keep her) steady!(船の進路をそのまま保て)に相当する
船というものは舵を切ってもすぐには向きが変わらないので、「○舵いっぱーい」→「舵を切る」→「曲がり始める」→「目的の方向に向かう(厳密には少し前)」→「進路そのままヨーソロー」→「舵きり戻す」→「直進」
というのが本来の流れ、指示を出すのは船長であり、操舵手(舵を切る者)側が言うのは復唱でしかない。
(※3)そろそろ視認可能なはずよん・・・ : マー君の認識は嗅覚なので、距離と種類はつかめるが数と厳密な位置取りは難しい。でも優れた警戒能力であることは揺るぎない。
マミさんの台詞は向かっている方角と速度から、対岸の距離を推測、経験と計算による意見。
ちなみに おーちゃんのMAP機能で分かるのは「位置」「向き」「敵意の有無」で種類は分からない。
(※4)魔法攻撃のアドバンテージは、複数攻撃と重装甲対策なんだよっ : 例えるなら「狙撃」と「榴弾」の違い。長距離から1点を狙い穿つのと、やや距離は劣るけど複数を巻き込む大火力。
必ずしもこの通りではないけど、住み分けされている。
魔法使い無双なんてのは、テンプレート主人公様の特権でしか無いのだよっ
(※5)誘導落雷 : 初撃の電撃で目標をマーキングし、その後本命の雷が目標を粉砕する雷撃呪文、特徴はマーキングさえ成功すればロックオン状態となり確実に命中すること。(Firet・and・forget)
欠点はロックオンから本命攻撃の間のタイムラグ(約2秒程度)
原理は意外と単純で、マーキング時に対象を帯電させ その電荷が溜まった所に雷が発生する。
本命の部分は生成した雷を“射出”するライトニングボルト系より自然の雷に近い“放電”のため移動による回避はほぼ不可で、かつ避雷針等で防がれ難い(むしろタイムラグが減る)
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが (あると嬉しいのは事実だけど)
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』