10章-19 氷河の果てに…だよっ
だいやもんど・だすとぉ~!
びっ、ぱっ、びっばらっ
ガイ! ガイ! ガ~イ・・・
最初のは有名だけど、残り2つは分かる人居ないだろう
・・・・・・むー、ねたきり老人より悲しい、ネタギレ幼女・・・
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「この谷間の氷自体が流れているのですねぃ」
「そうよ、氷河って言うのよ」
「一応、この川は流れているんだよ、一年掛けて数mから数十mというゆっくりとした流れだけどね」
知識量のあるまみさんと地元民の鎧さんに説明を受けるタヌ子
まーアタシも本物を直接見るのは初めてだけどね。
アタシ達一行は巨人族の国ヴァーレルを出て東側の氷河を南下している
氷河の末端を越えると山岳地帯を抜ける事ができるんだそうな
春が近づき気温が上がってくるに連れて、氷河の終端は少しずつだけど北上し上流へ向かってきているらしい。
氷河の終わりに近づくにつれ、慎重に行動しないといけないらしい。
液体の水の川と違って中央と端での流速の違いが氷に負荷をかけるのだそうな
聞いた話によると進むにつれて氷の厚さは減って行きいきなり亀裂が走る事があるとの事。
氷河の割れた亀裂の中は過冷却された水なので落ちたら最後助からないそうだ。
「どうやって氷河の終わりを越えていくの?」
「そのために必要なこの石を探すんだよ」
鎧さんは青く透き通った石を取り出すと見せてくれた。
「ブリザードジュエルっていう、氷河の末端付近でしか見つからない石なんだ」
キレイな石・・・なんかフレイムジュエルに似てるね、火に対して氷属性なのかな。
「これを氷河の末端で使うと、水を広範囲で凍らせて固定でき、川を渡る事が出来るんだ」
へええ~、ファンタジーらしいとゆーか、お約束っぽいとゆーか・・・
「だけどこの1つじゃ足りない、どこまで氷河が後退してるかは分からないけど、最低あと5~6個は必要かも」
ぽんと手のひらを拳で叩くとタツアンが身を乗り出した
「その石を探し出すのが最初のミッションってわけかい、どんな所にあるんだい?」
「それがね、今までの記録によると両極端なんだ。
ある報告には氷の中、べつの報告には氷河沿いの岩肌から掘り出された・・・と」
「手分けして探すっきないなァ、オギ、いくぞ」
タツアン&オギのペア確定。
タツアンのトレジャーハンター技能とオギの氷雪の下を感じる能力、探索に関してはベスト。
どーしよ、比較的最近に気付いたんだけどアタシの弱点は水、要はカナヅチ。
泳げたとしても冷たい氷水には成す術もないと思う。
そう考えると地形に詳しい人が安全牌、とゆーわけで鎧さんと組む
残るはマミさん、タヌ子、マー君。2名のスペルキャスターと幸運値のずば抜けたタヌ子。
暴走しがちなマミさんもマー君がいれば押さえ役になってくれるベストバランス。
色々と残念な黒魔女も2名分の幸運でなんとかなる!そう信じたい。
「じゃ、俺っちたちは積雪地帯をメインに探してみるっスよ」
「私らは氷河下流に向けて調査するっ事で」
「なら僕達は岩肌だな」
3組に分かれて捜索開始!
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「何か見つかりそうか?」
「つかめそうな気はするよ(※1)、変化しないと無理そうだけど」
「しかし、万一雪下が水だったら危険だな」
「ししょう、オイラにロープを結んでおくれ、何か有ったら引っ張り上げてくれればいい」
黒い子ギツネが雪の中にダイブしていった
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「鎧さん、さっさと見つけちゃお」
「おーちゃん、急に走り出したら危ないよ」
「転ぶの? アタシにはオートバランサーついてるよん」
「いや、僕が氷を踏み割る。静かに歩かないといけない」
鎧さんは重い、どう軽く見積もっても300kgを下回る事はない、装甲込みだから多分400kg越えているはず
0.5t 近いかもしれない
「じゃあ、飛んでっちゃう? 他に人目ないし・・・」
「え? 僕をぶら下げて飛べるの? いや、ひょっとして・・・」
「そうよ、前に王都の空を飛んだでしょ(※2)」 ドヤぁ
「・・・うう」
ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる・・・
鎧さんの妙にカワイイわくわくポーズ、久しぶりに見た。女子力高い!
「前と違ってお遊びの遊覧飛行じゃないから安定して飛ぶ基本を教えとくよっ」
「よろしく頼むよ、ここで下手に墜落したら確実にお陀仏だからね」
「まずは飛行ポーズから、胸を張って顔を上げ、両腕を進行方向へ。
ポイントは肩の力を抜く事、両腕は平行からやや開き気味に」
典型的ヒーロー飛行ポーズ、多くの飛行ヒーローがこの型を使うのは、これが基本なんだと思う。
音速超えなければ非常に安定する。理に適ってる。うん
「こうか・・・?」
「だいたいOK、大切なのは体よりも感情の安定、感情のエネルギーで空を飛ぶ術だけど、感情は撒き散らさず体内を循環させる事、ここが最低ライン。
体内に溜まった感情エネルギーは背中から噴き出すイメージで。
並列思考は経験者もそれなりにいるけど、並列感情は難しいと思う。飛行に慣れるまでは考えずに機械に徹する方がまだ確実かもね」
「飛びながら他の事もできるおーちゃんは既にそれができてるって事なんだね」
「うん、何ヶ月も掛ったけどね、感情の並列化って大変だよっ、昔はミスってよく落ちた。空中で剣を抜いたとたんに墜落したりとか。関係ないこと思い出して落っこちたりとか・・・(¬へ¬;」
「じゃあ行くよ、ティンカーリンク展開、エネルギー充填完了・・・あ、返事は言葉にしなくていい、声出すだけでいいよっ」
アタシは肩の上に乗り号令を掛ける
「・・・発進っ!」
「ま゛っ!」
輝く太陽背に受けて、鉄の巨人の叫び声・・・なんてね
鎧さんの背中から翼というより火柱のような光の奔流が迸る(イメージの違いだね)
ゆっくりと、鋼の巨体が垂直上昇する
「ここで水平飛行へ」
「ま゛っ!」
うん、草間少年気分だー(※3)
いまアタシは能力引き出しだけを行って自らは飛行してない。
理由は探知に専念する為
普段使ってない「採取スキル」をONに、このスキルは拾う事のできるオブジェクトの位置を明示してくれる、ただし今までに見た事のあるもののみ。鎧さんがサンプルを見せてくれてたのが助かったよっ。
視界に重なるアイテム名と矢印
拾えるけど知らないものは「???」のままだけどね。
このスキルは視界の情報量がやたら増えるので出来るだけ使いたくない。
正直、うっとーしい
「ロボ、着陸だ」
「ま゛っ!」
あ、ロボって言っちゃった・・・(¬▽¬;
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「でさ、我々アマリモノーズなんだけど」
「余り者では無いと思いますですぅ」
「スペルキャスターが2名居るのは有利なはずって事?
あいにく私は探知系の呪文は余り得意じゃないのだけど・・・」
「うきゅ、物探しならボクが使えるから」
「わたしだって、こう見えて探しものは得意なんですよぉ」
タヌ子の場合はスキルというより『運』パラメータだと思われるが、ステータスを見れる設備は今ここには無い(※4)
数値を確認した事は無いけど、彼女のこれまでの馴れ初めを省みると、もの凄い幸運の連続で生き延びていたりする。(※5)
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「大したモンだぜ、その雪中探知能力」
「なんって事はないよ、この石って中で何かクルクル回ってるから、小さく回ってる所を狙えばいいって分かったんだよ、動かない分ラクショーだった」
人間形態に戻ったオギは得意満面の笑顔
オギがその目に捉えているのは地磁気の干渉、北方狐が狩りに使うユニーク能力
内部に渦巻く吹雪の力を秘めたその結晶の、微妙な力の動きに目をつけたのは天然か本能かはさておいて高度に有効な資質、才能である。
「じゃ、そろそろ皆と合流すっか、おかげさんでこっちは大漁だからな」
タツアンの両手と背負い袋には、サツマイモ大の紡錘形の結晶がごっそりと抱えられていた。
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ごぉーーーっ、ずしん!
「ま゛っ!」
黒鋼の巨人が音のワリには静かに着地する。
「これで全員そろったわね、どぅ? 収穫あった?」
「へへへっ、誰に対してものを言ってるんだい?」
タツアン・オギのトレジャーハンターコンビは大きな袋を目の前の地面(氷河)に置く。
一応重いのと硬いので置き方はそっとだけど
「こちらも沢山取れたのですぅ」
ケモケモ魔女チームも大袋を置いた、数えないとどちらが多いかは分からないようだ
「ま゛っ!!」
鎧さんが、ややカクカクっとした機械のような動き方で両腕に掛けていた袋を並べる
「鎧さ~ん、もう無思考ロボットモードはいいんだよっ!!」
いつもの普通の動きに戻る鎧さん
すたたたっ、ぽかぽかぽかぽか
タヌ子、いきなり駆け寄ってきてダダっ子パンチの連打、ダメージなど無いけどすごくうっとーしい
アタシとタヌ子の身長差が逆だったなら「あ、かーいいなー」で済むけど、自分より大きい相手にダダっ子パンチされるのはダメージなくても気分よくない。
「ううっ、ズルいですぅっ!! 2人で空飛んでくなんて贔屓ですぅっ!」
これ、タヌ子よ、必要に迫られて飛んだだけだってば
氷の上をズシンズシン走り回ったら危ないんだって
「こ・・・これ、遊覧飛行は落ち着いたらまたやるから・・・」
「ちょっと静かに・・・」
会話に割ってはいるタツアン
「遠くから誰かの声がする・・・早速授かったスキルが役に立った見てぇだ」
「・・・だぁれ?」
今度はアタシにも聞こえた、ネコミミの強化聴力でギリギリ・・・
遠くから聞こえてくる
ここにいる誰とも異なる女性のような声
「だぁれ~?」
氷河下流の方から、少しずつ近づいてくる。
アタシのミニMAPレーダーにも入った。アイコンの色は・・・赤!
明らかに敵意のある魔物を意味するッ!
でもどのような敵なのかはまだわからない。今の所つかめているのは位置と向きと移動方向、それだけ。
詳細な情報が欲しければ接近する以外にない。
哨戒飛行を行うか、小型召喚獣の偵察を送るか・・・
「アタシが偵察に!」
この距離なら飛行型召喚獣を呼ぶよりもアタシ自身が直接飛んでいった方が早い
背中に光の翼(妖精タイプ)が顕現し、足が地面を離れる。
・・・と同時に、目の前に大きな腕が差し出されて制止された
「待つんだ、刺激しないほうがいい」
先輩の言う事には素直に耳を傾ける、ましてや彼は地元民でもある。
どんな敵かわからないから直接見に行くのだけど、見た所で判る保証も無い。
偵察に召喚獣を出したとしても同じ事、要するに見てきた情報を詳細確実他の面々に伝える方法が無いのだ。
「ここは、私の出番だね~・・・でゅふふふ・・・」
マミさんの目が光る
「改良型跳ねる眼Ver.3!!」(※6)
しゅぱぁん!
頭上に掲げた金属の筒から内側の筒が飛び出す。
前回と違い、やや斜め、氷河の下流方向へ向かって
「フレームジュエルの力を使い、航続距離と滞空時間を増やしたのよん、空中停止可能」
手元に残った筒が展開して水晶板モニターになる
前のバージョンより大画面になったんで みんなして画面を覗き込む。
少し色の変わった女性がモニタに映る
青身の掛った銀髪より青い肌、白く透けて見えるブラウス、濃紺の全体的にパニエの入っていそうな釣鐘状のロングスカート、頭部や腕などに金色の装飾品
うろうろと氷河の上を移動しては足元をチェックしている
音声は無いけど御立腹の様子、しぐさで分かる
「これはヤバいな、『氷河の女王』は不機嫌なようだ」
「氷河の女王?」
「この氷河の『主』だよ、普段は洞窟から余り出てくる事はないんだけどね
『アラハト』と呼ばれる氷の精霊(※7)、イフリートの対極的存在かな」
「イフリート並に強い? ∑(OωO; )」
「力押しというより技巧に長けた強敵って噂だ
せめてもの救いは、彼女の従者のドンケッチョが見当たらない事だ」
「どんけっちょ?」
「イエティ、ビッグフット、雪男、色違いムック、その手の一種らしい」
なんとなく分かった、1つだけヘンなの混じってたけど。
「もう、説明解説してる時間は無いんじゃない?」
・・・あ、もう通常の聴力でも聞こえるくらいに近付いて来たみたい
「だぁれ~? 私の宝物取っていったのはぁ!」
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
四大精霊といえば、サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノーム
これが正統らしいみたいですね。
まー、イフリートってのはアラビアン系神様で、炎とは限らないそうだとか
こいつに釣り合うのが見つからなかったので、ケルト伝承辺りをベースに作り上げてみました。
詳しい方いらっしゃいましたら、ご意見請いたいです。
【解説】
(※1)つかめそうな気はするよ : オギは雪の下の気配を地磁気の干渉から察知する事が出来る、ただし狐の姿の時に限定。
ちなみにおーちゃんも魔道トーナメントで同じ技を使用してたが、これは狐のキャラ憑依状態中のみの限定能力。
(※2)前に王都の空を飛んだでしょ : 4章-26参照 『ティンカー・リンク』による『フェアリー・ウィング』のタンデム飛行
(※3)うん、草間少年気分だー : 腕時計型無線機はないけれど、鎧さんはミサイルとか撃たないけど・・・分からない人はショタローでもリモダンでもギガドラでもイメージしてくださいな
余談だけど
(※4)設備は今ここには無い : 前にも言った(説明した)けど、この世界でステータスは『計測してもらって』初めて知る事になります(大抵は冒険者ギルドに設備がある)
自分のステータスが自分で直接見れるのは、今の処おーちゃんだけです。
スキルに関しては『剣道3段』とかのように認定された時の値を各自が覚えているだけです。
(おーちゃん以外の人はベテランでもスキル数自体両手の指(10個)以内で収まる)
(※5)もの凄い幸運の連続で生き延びていたりする : 壊れかけの転送魔方陣でランダムワープし、無事五体満足だった上に、同じくランダム転送されたオギと再会している。詳細を確認したい方は4章あたりを読み直してくださいな。
(※6)「改良型跳ねる眼Ver.3!!」 : マミさんがイフリーターからもらったのは『細工』の力、職人親方とかドワーフ技術者には及ばないけど、思った理論を形にする分には役立ってたりします。ネーミングを変えないのは原案提示者への敬意
(※7)『アラハト』と呼ばれる氷の精霊 ; アラハトArrachd
元ネタは北アイルランド/ケルト伝承。陽光、鉄、川渡りに弱いらしい。
外見はより氷属性っぽく青系に色を変えてます(本来は緑色の服を着るとの事)
地方によって呼ばれ方が番うらしい
ニクシー(Nixie)ドイツ伝承
ベン・ニーア(ean Nighe)スコットランド/ケルト伝承
メロウ(errow)アイルランド/ケルト伝承 人魚を指す事もある
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』