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10章-18 祭りの後…だよっ

まず最初にごめんなさいっ!!

ウチの作者(カミサマ)体調不良で1回連載お休みしちゃってたみたい

誠心誠意謝っておくよっ



【この作品は、吾流峰子 のオリジナルです [海賊版サイト対策]】

本網站的所有圖片、文章的版權帰 吾流峰子 所有、未經許可禁止拷貝或使用和銷售。

original: http://ncode.syosetu.com/n7904dz/

――――――――――


- いしのなかにいる -


山をくりぬいた石造りの隠れ家的な店

アタシは今、酒場の中にいる。


雲丹座鳥(うにざどり)麓途不壊亭(ろくとふえいてい)


このコースおよび観客席や管理施設を作った時についでに作られた隠れ酒場だ

この店に入れるのは一握りのモータルボーラーとその関係者

トップランカーのみに許された隠れ家、オトコノコってこーゆーの好きだよね

・・・なんて定番のセリフが思いうかべてみたりする。聞きかじりだけどさ。


――――――――――


「ししょー、なかなか帰ってこないですぅ」


「えーっ、麓途不壊亭(ろくとふえいてい)(※1) で打ち上げ? あの幻の店ですか?」


タヌ子が愚痴をこぼし、鎧さんが嘆息を漏らす。


「なにそれ? 確実に身包み剥がれそうな店名」


「ほっほ、一流モータルボーラーだけが入れる隠し酒場じゃよ

壁は彫った岩肌そのまんま、おしゃれな調度品1つない無骨な隠れ家じゃ」


突っ込むマミ、上機嫌で答えるラガオー


「なにっスかー、そんなロマンあふれる場所、俺っちも行きたいっす」


「なら始めてみるかMB、 一流所に食い込む事ができれば入れるじゃろうて、ついてくるか?」


「あ、遠慮させてもらうっス。身のこなしには自身あるけど、度胸が足りないんで」


タツアンは諦めが早かった。


――――――――――


試合事後処理がすんだあと、他の選手達に押し流されるように連れて行かれたこの店

試合後はここで打ち上げするのがお約束なんだそうな 

幼女に酒場は不似合いなんだってば、アルコール度数の少ない甘いカクテルをチビチビとすする

実は鎧さんから大酒は控えるように釘を刺されている(※2)


試合中は殺気立っていてもコースを降りたらカラっと陽気なモータルボーラー

スポーツマンなんだなー


「改めて見ると・・・ちっこいな」


わ~るかったわねぇ、アンタ等がでかいんだって


「うむ、俺もそう思う。実際に打ち合っていた時は、小柄だな程度にしか思わなかった」


ガシュザン、アンタには見えたのかい? 外見と異なる戦闘力ってのが(※3) なんてね

彼は格闘家だから、色々と見えるんだと思う。


「何か戦ってる時と比べると、あちこち萎んじまってるように見えるぜ」


「わるかったわねぇ、貧相で・・・」


実際、装甲として大幅に盛ってあったんだから仕方ない

振り向くと、腰をかがめてこちらを見つめるでかい顔、浅黒い肌、丸い大きな目、彫りの深い北国っぽく無い南国系のひょうきんそうな顔、誰?


「試合中はヒールに徹するオレだけど、コースを出たらただの男だ、脅かしちまってすまんな」


・・・・・むー、誰だっけ


「わかんねーか、これで思い出すだろ・・・ぶるあぁぁっ!」


陽気そうな顔が眉間にしわを寄せ凶悪な顔に変貌する。

こいつ、巨大カニ男! ザリーキー


「オレの大鋏の舞を振り返りもせずにかわして、蹴り1つで吹っ飛ばすったぁ、伯父貴(おじき)がやられたってのもわかるってモンだがね」


「伯父貴って、バムトンさんの親戚?」


「んだ」


世の中意外と狭い。

だけど言っちゃ悪いけどバムトンさんの方がずっと強かった気がする。


「んじゃやるか、麓途不壊亭(ろくとふえいてい)名物」


「そうなると相手はタキエラだな、女同士」


なな、何を始めるってーの??


「アタイを、こんなちっこいのと勝負させるのかい?」


M・B、Aリーグの紅一点、タキエラさん


「はいはい、両者テーブルの上に右手」


「俺らじゃ手のサイズが違い過ぎてマトモに組めないからな」


「両者、肘はここ」


むー、アームレスリングかー。

親指同士を組み、手を握り合う・・・それでも1.5倍はサイズの違う手のひら、手首まで包み込まれて握られる。腕の長さも同比率で違う、肘からの握りまでの長さはほぼ倍違う歪な三角形を描いた。


「いくらなんでも、こりゃ勝負にならんだろう」


「はい、レディ~~~ Go!」


ぐんっと右手が持っていかれる、この辺り手馴れてるとしか言いようがない。でもそのまま決着までは届かない。


「おおっ! 耐えた!」


アームレスリングにはいろいろなテクニックがあるって聞いたけど、この勝負、最初から結末が見えてたりする。

腕力がほぼ同じなら腕の長い方が不利、タキエラさんがアタシに勝つ為には、約2倍の筋力比がないと勝負にならない、小6くらいで学ぶ簡単な『テコの原理』だ。

実際に相手に手首辺りを握ってもらうと女性でも比較的ラクに男性に勝てたりする。


手の甲がテーブルに付くギリギリからゆっくりと巻き返す


「Winner オーリ!」

「チッ! うっそだろ」


普段見せ付けることは無いけど、STR値的には、中堅冒険者の前衛職くらいはあるんよ。

リミッター解除したらもっと出る、でも外見との違和感がありすぎるのでまずやらない。


「バケモノだな」


ギヌヴァさん、一番モンスターじみてるアンタだけには言われたくないよっ


――――――――――


「・・・ってな感じだったんだよっ」


ラガオーさんのエスコートでアタシが帰ってきたのは翌日の朝、ややお昼に近づいた頃

試合結果に不満を持つファンを警戒しての事(※4)らしいけど、暴走したファンは一人も現れなかった

M・B界の「おやっさん」ラガオー氏にはファンや関係者の誰一人頭が上がらないんだろーね。


「おーちゃん、朝帰り~、悪いコ~~」


これこれマミさん、ゲスい顔して言わない!


「そういえば、キミは臨機応変に戦い方を変えるって聞いてる・・・手紙で知ったんだけどさ

なにか面白い武器があったら見せて欲しい」


面白い武器って・・・ね、そー来たかい

鎧さんの兄アムドさんは天才といってもいい武器職人だと思う、こーゆー人は常に好奇心を忘れない。

アタシは武器にこだわらない、普段はごくありふれた市販品を使用してる・・・というのはウソ

インベントリの奥に収納(しま)ってある 『お気に入りのこだわり武器』は常識外れなシロモノがほとんどでおおっぴらに出来るもんじゃない。

風車手裏剣とか出したら、どう思われるかな?

作動原理とか『気』とかアタシもうまく説明できないし、かといって魔力付与済みの剣も面白くない。

既に身内の前で使っちゃってるアイツなら・・・ヤバいけど特殊な説明要らない、そーしよっ


「面白いかどうかは分からないけど、確実に驚くものならあるよっ」


アタシが知る限りでは『最も禍々しい最凶の刃』・・・


魂葬牙禍(こんそうがっか)』、黒い三連の刃を持つ大型クローがゴトリとテーブルに置かれる。

本来は2つで1組の武器なのだけど、今回は1つで十分・・・まったく同じものなので


挿絵(By みてみん)


「くれぐれも刃には注意してね、ソイツで付いた傷は治りにくいから」


アムド氏は手袋を装着すると、慎重に観察し始めた


「コイツで何を斬った?」


「トロールと、ラズハ黒豹。 トロールは死なない程度に切り刻んだ。ラズハ黒豹はミンチにしちゃった・・・てへぺろ


ひょっとして、刃にダメージとか来てる? もしそうだったらメンテお願いできる?」


アムドさんは、片目にルーペのようなものを当てては刃の隅々へと目を走らせている。


「この刃に付いた石灰質は黒豹の骨か・・・トロールの油も少し付いてるな」


「あのーそんなに刃汚れてました?」


「気にするほどじゃないよ、刃こぼれ・歪みまったくナシ、研ぎなおし(タッチアップ)もまだ要らないね・・・ただ・・・」


・・・ただ?


「これは“武器”ではない、“拷問器具”だ、しかも生かす予定のまったく無い・・・誰が考えた!、こんな凶悪な仕掛け!」


あはは・・・この武器は、前の世界(MMORPG)で、デザインコンテスト募集にて採用されたアタシのオリジナルなんだけどね・・(¬▽¬;


「この一見滑らかにに見える刃、拡大して見ると微細な(エッジ)の集合体だ。しかも皆それぞれ角度が異なる。筋繊維や神経線維、組織は細かく何度も断ち切られ掻き回される

これじゃ回復しようにも上手く治るわけが無い((※5)」


「実はそれだけじゃないよっ」


アタシは魂葬牙禍(こんそうがっか)を手に取ると、刃先の側面を軽く指で弾いた。


こーーんん・・・おぅんおぅんおぅんん~~・・・


1本だけ弾いた振動が残りの2本の刀身に伝わり、共鳴ならびに唸り発振(※6)を起こして揺らいだ音を響かせる


「共鳴・共振および、意図的に発生させた唸りにより、刃は斬撃中に不規則に振動、3枚の刃が通った箇所は挽肉と化す・・・という仕様だよっ」


「なんて恐ろしい、俺には絶対に作れない・・・人を傷つけ、より長く苦しみを与える為の武器なんて」


ちょっとムカついた、純粋な武器職人の視点であって悪気は無いんだろうけどさ。

打撃力特化、クリティカル特化の流行る中で、あえて負傷力に特化と言う切り口で攻めてみたアイデア、ちゃんと意味はあるんだよっ


「あのー、お兄さん。この武器は対人用ではないんだってば、あくまで対魔物用

強力な回復能力を持つ魔物や、戦意・士気が高く多少傷つけても怯まない魔物への対策武器なんだよっ」


アタシが少し強く出るとアムドさんは少し落ち着きを取り戻し、改めて目の前の武器を観察する


「そう考えると合点がいく、相手の戦意・気迫を絶つ刃か・・・」


「戦う者の根源・・・魂を絶つ(わざわい)の刃、だから『魂葬牙禍(こんそうがっか)』」


武器名なんてのは少々厨二病くらいでちょうどいい


「なるほど」


――――――――――


・・・ってなかんじで色々あったけど

こうして、日に日に春めいてくる町並みと、連日盛り上がり続けるお祭り騒ぎを堪能しつつ、数日が過ぎた。


「兄さん、随分と長居しちゃったけど、僕はそろそろ帰るよ。村の鍛冶屋さんとしてあまり長くは空けられない」


そーいやそーだよね、鎧さんには帰りを待っている人たちがいる。

アタシはどーなんだろ。


「ししょー、いー加減お呼ばれしてる約束に気付いてあげてもいいんじゃないですかぁ」


え? そんな約束あったっけ?


「お馬さんと賭けしたんじゃないですう?」


そーいや、そんな約束もあったっけ・・・でも約束したのはアタシじゃない、狐巫女リーザだ


「食べ放題楽しみなのですぅ」


タヌ子、完っっ全に食欲キャラになってるなー ∠(○△○)ゝなー


「ねぇ、帰る時もまたあの『試練の迷宮』を通ってくの?」


うんざり顔のマミさん


「この北国ヴァーレルの地にたどり着く方法は3つしかないんだよね」


鎧さんがばつの悪そうにつぶやいた。

アムドさんが続きを話し始めた。


「1つは火山地帯から続く『試練の迷宮』、君達一行が通ってきた道

あとは巨大地下迷路を越えていく道と

氷河の谷を乗り越えていく道が有るんだけどね」


アムドさんがさらに続ける


「もし、氷河を経由する予定だったら急いだほうがいい。

本格的に春が来たら今まで通り渡れる保証が無くなる」


常冬の国に春が来ちゃったら氷河ってどーなっちゃうんでしょね


拙い作品をお読みいただきありがとうございます


前書き冒頭でおーちゃんが謝ってくれてましたけど、改めて謝罪いたします。

神経系故障してばったり書けない状態に陥ってました。

それでも覗きに来てくれている読者様には頭の下がる思いです。


次回で巨人の国は一旦終了です。

帰路とはいえ、また違った大自然のたびとなる予定です。


【解説】


(※1)雲丹座鳥(うにざどり)麓途不壊亭(ろくとふえいてい) : 分かる人にしか分からない

原典は「すべての所持アイテムを犠牲にパーティを地上まで帰還させる緊急脱出呪文」

この名前の意味する所は『生きて帰りたくば、身ぐるみ全て置いてけ』

【余談】他にも緊急脱出にテレポート呪文があるが戦闘中だとランダム移動の為一発全滅のリスクがある。もう1つの手としての上位奇跡発生呪文は効果がランダムな上レベル1つ代償に消費する。


(※2)大酒は控えるように釘を刺されている : 自分で自分の酒癖は分かりづらいもの。

アルコールが表層理性を阻害するってのは実際科学的に証明されたものだけど、その下の本質は第三者でないと観測できない(当人は理性不安定だからね)

笑い上戸、泣き上戸etc、色々有るけれども、鎧さん曰く おーちゃんは「リミッター外れ」なんだそうな

しいて言うならば「飛び上戸」感情エネルギー駄々もれで制御がつかなくなり、飛行スキル(フェアリー・ウィング)の暴走が起きるんだとか


(※3)外見と異なる戦闘力ってのが : 少年マンガ系列でよくあるよね、強敵ほどデカく見えるって描写。この差が大きくなると、見た目と喰らい判定の差異を生み、格闘戦は優位に立てる。

ただし、相手側もそれなりの猛者だと心理的威圧程度にしかならない。

余談だけど、相手の動きの兆候・タイミングを視線で掴むってよく言うけど、目と目を合わせるのは気迫で確実に優勢取れている時のみにした方がいい。

対面したら目よりも口を見るべし、攻撃タイミングは口の動きの方がわかりやすい。

実は視線はフェイントを掛けやすいのだよっ。


(※4)試合結果に不満を持つファンを警戒しての事 : この世界、ありとあらゆる競技で賭けが行われてるのも事実、大判狂わせの新人優勝は、張り込んでいた人には大ダメージ


(※5)これじゃ回復しようにも上手く治るわけが無い : 本来ヒール等の回復魔法は細胞組織の活性化、かき回された挽肉状の組織に使用しても元通りにはならない。筋繊維とか神経が正しく繋がらない。

束になった信号ケーブルをほぐして切り刻んでひねり回したようなもの、ケーブルなら色分けなどがあるかもしれないが、生物の組織にそんなものは無い。

骨折だってきちんと合わせて固定しないと正しくくっつかないよね?


(※6)共鳴ならびに唸り発振 : 共鳴はご存知の通り固有振動数が等しい時に振動が伝播していく事、唸りとは、微妙に異なる周波数がぶつかった場合の干渉で振動の強弱に揺らぎが発生する現象、自動ビブラート。お寺の鐘の音がウォンウォンと響くのも唸りを発生させている為


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