10章-10 春が来るかも?だよっ
ファンタジー好きには2通り有る
チート的な能力を認める(そういうのが好きな)奴と
チート的能力は絶対に認めたくない奴
その2通りだクマ(CV古谷徹)
この世界は、最低1つ誰もが何かしら特出した能力を持っているらしい。
ただ、それに気付くかどうかは人それぞれだとか、そう考えるとチートという概念が揺らいでくる。
誰もが持っているのなら「チート」じゃなくて「ギフト」もしくは「天賦の才能」だよね(∂▽-)-☆
アタシ? たぶん『前の世界のを、ほぼそのまま持ってきた』なんじゃないかな
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生粋の職人に、余計な口出しはブレーキ以外の何ものでもない
さりげなく資料を渡しておくのが最善の支援になる
ラガオー技術顧問は昨日置いていったアダマンタイトのインゴットの下に紙が挟まっていたことに気付いた。
「ふむ、何じゃこの紙は・・・『イフリートから聞いた知識MEMO』じゃと」
その続きを読みふけった
『フレイムジュエルは純粋なる炎の結晶。
炎とは熱と光、開放の鍵となる触媒結晶は結晶中心層の高純度無色部分ほど純粋な光に近づく、熱を取り出したくば色彩豊かな結晶表層を用いるべし。
真の光とは熱も色も持たない、反面たやすく他の色の光に染まる
ならば予め決まった色の光の中に開放すればその色に染まり、光を強くまとめる事となる。』
あの嬢ちゃん、すげえ知識持ってたんじゃな。
いや、イフリートと死闘した代償にもらった知識と考えれば妥当な線か
ワシは細工師であって学者じゃねぇ、学者の理論を形にすることこそが生き甲斐ってモンよ
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「じゃあ、楽しんでおいで」
長身長髪イケメンややマッチョが、笑顔でイケボでキラリとお見送り
これ、鎧さんの実兄アムドさん。
実は、昨夜マミさんの提案でヒゲを剃り髪を整えちょっとだけ小奇麗な服に着替えさせただけなんだけどね。
アタシもタヌ子も気にしちゃいなかったんだけど、マミさんはどうしても気に入らなかったんだそーな
身だしなみの基本的な所をふつうにするだけで、こんなにイケジャイになるとはね、
アムドさんの家を出てちょっと観光、せっかくここまで来たんだもの、依頼こなしてバハハーイ(※1)ってだけってのも味気ないじゃん
鎧さんをガイド代わりにヴァーレルの街をぶらぶらと散歩する、雪があちこちに積もった寒い国の割りに人通りは多い
「こないだの到着した時とは違って賑わってない?」
マミさんはなんか引っかかる様子、確かに数日で格段に変化している
「まーね、お祭りでも始まるんじゃないかな?」
「どゆこと?」
「王妃が発表しちゃったからねぇ、数年ぶりに春が来るって」
「あ、あっちには屋台があるですぅ」
「タヌ子、買い食い禁止!」
・・・ったく、ここ巨人族の国で食べ歩きなんかしたら、ダイエットどころではない
「ししょー、温泉の一件以来、オナカがやたら空くのですぅ」
一回引き伸ばしちゃったからねぇ・・・
確かにその無茶のおかげでこうして旅が続けられてるんだけど、このまま信楽焼きタヌキと化してしまうのも問題なのだよっ(※2)
「むー、せっかくのお祭りを楽しめないってのも悲しいから、買い食いをできるだけ控えめに! そしてなんか食べるときは半分まで、2人以上で分け合うこと! いいね?」
「了解ですぅ、ししょー」
タヌ子嬉しそう、でも半分にした所で、我々人間から見れば4倍近いボリュームなんだよね
(サイズ2倍は容積8倍)
「たまにいいなって思う工具や細工物見かけるんだけど、サイズがねぇ」
「タツアン、ここジャイアントの街だからね」
男の人って工具とか好きだよねー
「きゅ~~っ! 地元の素朴なお菓子、ハマってしまいそう・・・わふわふ」
マーくんはお菓子好きだよね、作るのも食べるのも
アタシ達一行は、しばし街全体のプレお祭りな雰囲気を楽しんだ
気前よく振舞われる料理やお酒、陽気な音楽や踊り
タヌ子のコルセットドレスの紐が緩み、マミさんが赤ら顔で千鳥足になりかける
オギは少年形態のまま鎧さんの肩の上で伸びている
(狐サイズになったら食べた分の容量が収まらない)
これで正式にお祭り実行なんてなったらどーなるんでしょね
「鎧さん、あれなーに?」
なんか広場に天幕っぽいのを見つけた。簡易テント、といっても天井だけで壁の無いヤツ・・・そう運動会とかの来賓席や放送席なんかに使われるアレを大きくしたようなテント
テントの中は土のコート、土俵だね、ただ日本のお相撲と違って角の丸まった正方形だ
力士さんも裸ではなくシンプルなシャツとズボンに太い皮ベルトのマワシ風なのを着けている
「へぇ、『ギガントスクイーズ』か、お祭り時によく大会が開かれる行事だよ。
まぁ、巨人族のスポーツだな。」
にゃるほろー、町内相撲大会みたいなノリなのね
「ルールはシンプルだ、コートから出るか転んだら負け
安全の為、拳や肘、蹴りなどの打撃は禁止、手のひらは押すのと区別が難しいから反則じゃないけど突きまくると注意される、ぶち当たっていいのは頭突きと体当たりだけ」
むー・・・打撃禁止の押し相撲、ただし単発掌底は可・・・と (ΦωΦ)キラーン
指わきわきして掌底を構えてみる
「おーちゃん・・・あくまでスポーツ、爆砕しちゃダメだからね」
「わかったよっ、それだと大柄な方が一方的に有利なんじゃない?」
「我々は巨人族だからね、大きいという事が自己独自性なんだよ」
「巨人族 大きくなければ ただの人 読み人、オーリ」
むー、咄嗟に五・七・五詠んでしまったよっ、川柳幼女? (さー、つっこめ)
「大は小を兼ねる」「大きい事はイイ事だ」 アメリカンな思考だなー
「アタシ、チャレンジしてくるよっ」
「そのココロは?」
「その自己独自性を・・・ブチこわすっ!」
右手わきわき
「やーめーてー」
わたわたする鎧さんを尻目に、アタシはテントへ駆け寄る
「さぁ、挑戦者募集中だよー! チャンピオンのハリーに勝てたら記念品だよー
子供たちも挑戦しよう、ちびっこ相手の時はハリーは手を使わないよー」
うん、力士さんはそれなりの巨漢で太マッチョ・・・
でも、こないだ戦ったバムトンさんほどデカくない、重そうじゃない。
「お嬢ちゃん、挑戦する?」
「うん、ちゃんぴおん、やっつけるぞー!」
元気よく、歳相応の両手を振り回すやる気の仕種~
ほっこりと暖かい視線を向けてくる運営スタッフ&周りの人々
どんよりと、斜線の掛かった表情の身内パーティの表情・・・
だーかーらー、タツアン、その地面への連続パンチはなんなのー
「Fight Yo~~ Go!」
出だしの突進はかなり緩やかに自重、スキル併用してフル加速すれば、残像を残すくらいの速度・・・秒速67m(約時速239㎞!!!)くらいは軽く出るけど、敢えてゆったりと(時速20㎞程度)でも見た目上は「必死に突撃してるんだよー」って見えるフォームでぶつかる・・・とんっ!
力士さんは、あえて直立したまま受け止めてくれた。
「うゆゆん・・・う~ん・・・」
ずりずりと力士さんの足が地面を摩って後退する。意図的に両脚への荷重を抜いて滑らせてくれてるのだ
「お嬢ちゃん、つよいね~」
わかってるよ、わざと押されてくれていることも、子供向けのサービス演出だってことも
そろそろ土俵端まで1/3、向こうも動き始めるかな
ずりずりずり・・・・ずりずりずり・・・・
進行は止まらない
『おーい、もうサービスはいいんだってば』
小声で指示出してるけどアタシにも聞こえちゃってるよん
「くっ、止まらねぇ・・・なんだこの力は・・・」
まー、あんまし言いたくはないけど、この力士さんとアタシの間に筋力の差はあまりない。
有るのは圧倒的な上背の差、体重の差、それだけ・・・
接地面積は地面との摩擦にほとんど関与しない、関わるのは垂直抗力すなわち重さのみ
・・・そして「動摩擦力」は「静止摩擦力」よりかなり小さい
当たり前だけどアタシは小さい、当然位置的に低くなる、押すときは下から上へと押し上げることになる・・・これが何を意味するか、分かるよね (∂▽-)-☆
そう、相手の重量を減らし自分の重量にしてしまう
ずりずりずり・・・・ずりずりずり・・・・
止まらないよ、「動摩擦力」から「静止摩擦力」へ移行なんかさせない
はい、土俵際
「吊れ! 上から持ち上げろ!」
この状況になったら対策はそれしかない。
あれ? 子供相手には手は使わないんじゃなかったっけ?
アタシはほぼバンザイ状態で腰ベルトに伸ばしていた手を離すと、さらに身を低くして相手の両足の間。膝下付近を抱え込んだ。
上から大きな手が伸びてくる、これは大きく前傾しているという事、このタイミング!(※3)
両肩に当たっている脛を斜め上向きに弾き飛ばすように一気に当り、そのまま斜め上へと両手で突き上げる
「あ・・・!!」
前傾するところ、下半身の荷重がすっと抜けたその瞬間に両足を同時に払われて、巨体が一瞬だけ宙に浮く、ぐるりと約1/4回転
ずうぅぅんんっ!!
両手は足首付近へ向けて伸ばしていたのでそのまま顔面から倒れこむ
「勝負アリ!!」
大番狂わせの大金星に観覧席から一斉の拍手が響いてくる
んー、決まり手は『水車落とし』かな?
「大丈夫か?」
「モロ顔面いったぞ」
「しっかりしろ!」
痛そう、ごめんね。でも何一つズルい事してないよっ
実際、デカければデカい程、転倒したときのダメージは大きいのだよっ。
ダメージの大元となる重量、叩き付けられるまでに移動する距離
それに材質が同じだったら大きいほど脆い
ウソだと思うのならプリンでも作ってみればいい、巨大に作ると自重すら支えられない
まー、曲がりなりにもスポーツ選手、転んだだけでは大した事にはならないでしょう
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「♪~~うゆゆ~ん」
「ごきげんね、おーちゃん」
「記念品もらっちゃったじぇ」
「開けてみよ、早く早く」
「へ~ぇ、武器2つとラウンドシールドだー」
「三叉槍に刃の丸い薙刀、面白いデザインだよねー」
「ちゃんとアタシでも扱えるサイズ(大体1mくらい)にしてくれるなんて、気が利いてるよねー」
「あの・・・それ、、サーバーフォークとサーバースプーン・・・あとサラダボウル」
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
雪に覆われた大地で、何年かぶりに春が来るとしたならどうなるのでしょうか?
やっぱ国を挙げてのお祭りになるんじゃないでしょうか
まだプレ祭りだけど、本祭りになったら雪像とか作っちゃったりするのかな
あと、ほぼ書き終わってから思い出したんだけど、
おーちゃん、ペンギンローブの下は鎧着てなかったっけ?
まー、正式な大会でもないし、気にしないって事で (¬▽¬;
【解説】
(※1)バハハーイ :大昔、半世紀ほど前に流行したお別れの挨拶、赤いオープンカーを乗りこなすカエルのキャラが流行らせた。
ここまで古いと「#インターネット老人会」の域でも還暦超えに達する。残念ながら、作者も直接は知らない。
元ネタになった劇団キャラクター「ケ□ヨン」はまだ後存命(?)で彼のTwitterアカウントはまだ存在する。
(※2)このまま信楽焼きタヌキと化してしまうのも問題なのだよっ :メタ的に言ってしまえば、ニーズがあるかどうかってお話。
個人的には駄肉もぽっちゃりも好きといえば好き。ただし、健全な意味にはならないので、当作品「すぱさま」では主人公から胸も駄肉も取っ払って健全志向を表明している。
某所では意味もなく肉系の人にブロックされているみたいなので、今後の方向性は届いてくる声次第なのだったりする。
(※3)このタイミング! :胴体ほぼ真ん中で二つ折り前屈、上半身が勢いよく下がるという事は総量の半分が移動するという事、重心は大きく動き足への荷重も一時的に激減する。
要するに、最も不安定な状態と化すタイミングなのだよっ
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが (あると嬉しいのは事実だけど)
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『メタもベタも極めてみせるよっ!』