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10章-05 安易な節約は英国面の元だよっ

オヤジスキー属性あるって言ったけど、いちおう紳士なオトナの対応とかが好きなんであって、R-18なビジュアル展開は求めちゃいないよっ

今回は奥の手として服だけ破いたけど、往来で裸にひん剥く趣味はないよっ


【この作品は、吾流峰子 のオリジナルです [海賊版サイト対策]】

本網站的所有圖片、文章的版權帰 吾流峰子 所有、未經許可禁止拷貝或使用和銷售。

original: http://ncode.syosetu.com/n7904dz/

――――――――――


「結局はお使いクエストみたいなもんよねぇ、これ」


「いちおう、大体の場所は分かってるからな、この国(地元)の者なら大抵知ってる。お伽噺程度の信憑性だけどな」


「どんなお話?」


「その昔、ガリュー王がドラゴンと殴りあった跡地って伝説が・・・」


「ずいぶんと若い伝説ね」


マミさんは呆れたような表情でタメイキ混じりにつぶやいた

人間と違って長命な種族とか秘法とかって発想は無いのかな?


依頼を受けた我々一行は、雪山を下るように谷へと進んでいく、谷と言ってもイメージされる断崖絶壁の深い谷ではない。

尾根と尾根の間の低地だから谷と呼んでいるだけ

ゆるやかな平地を含む山々の間は「○○谷」という地名で町や村が作られることもあった

カバのように変異進化したトロールの村が有名


アタシは、トナカイさんで荷物運び

ソリの荷台の荷物に非戦闘員2名が含まれてるのはご愛嬌


――――――――――


「お・・・おったまげただぁ!

800キロは下らねぇオラの巨体を一撃でふっ飛ばしおったぁ!」


結果的には正しいけど、この技自体に大した打撃力は無い

圧搾空気で一瞬に膨れ上がった服が自動車エアバックのように地面を打ち巨体を跳ね上げた。それだけの事

空気圧ってのは使いようによっては物凄い力を発する。

タイヤチューブにホースをつなげば、子供の吐息で自動車が持ち上がるジャッキになる

一撃必殺のワスプナイフだって、原動力(パワーソース)は小さなCO2ボンベだ


「勝負アリじゃ、衛兵、毛布を」

「はっ」


手足と頭を除いてほぼ全裸になった巨体が雪の中に尻餅をついているところに

兵士さんたちが毛布を持ち出してきて巻きつける

一見普通の光景だけど、アタシ達人間の2倍スケールで行われてる巨大特撮シーン・・・ではなく本当に2倍スケールなんだよね


「へぶしっ!」


どんだけ脂肪があっても、さすがに裸で雪の中は寒いだろう、脱がされた直後ならなおさらだ

おっちゃんゴメンだよっ、でも『ひでぶ』ってしちゃう訳にもいかなかったんだよっ


「冒険者たちよ、儂はそち達のパーティが十分に強いことを認めた。依頼を行いたい」


王様は少々目がおよいでいるようなそんな表情で続ける


「そこでだ、頼みたい事というのは『温泉の調査』でな

かつては豊かな湯量を持っていたのだが、いきなり枯れて忘れられ、そのまま雪に埋もれてしまった。

王妃(カミサン)に温泉も復活すると言われては、調べぬ訳にはいかんのだ」


むー、完全に尻に敷かれてるなー、この王様

まー惚れた女に逆らえないイケオジってのは、個人的にはポイント高いんだけどねー


「そうだ、復活できたのなら、ついでに『一番風呂』の権利もつけよう」


こーゆーフレンドリーな対応、個人的には好きだなー

受けようよ、この依頼・・・雪の中の温泉なんてステキだと思うよっ


――――――――――


「でさぁ、よーするにだ、俺っちが推測するに

昔にもあの迷宮を正面突破したバカ正直者がいたってことだ」


「ひっかかる言い方だけど続きを聞こうじゃない」


「イフリートが開放され、この辺りにも炎の力がそれなりに流れてた

魔法は専門外だが四元素くらいは知ってるさぁ、精霊ってのは自然の中でのその担い手なんだろ」


「たぶん正解、私の考えもほぼ同じよ」


「お、お墨付き付いたかい、でもちょっと待った!何か来たぜぃ」


脇の針葉樹の茂みから

白く巨大な歪な人型外骨格っぽい奴が近づいてきた


「戦闘フォーメーションを取れ! この付近で見られる はぐれモンスター『バンダースナッチ』だ!」


鎧さんの号令で、戦闘隊列を取る

なになに? ルイス・キャロル? それとも各種RPG系? どっちにしてもこの魔物くらい同じ名前で姿の一定しない奴は珍しいとゆートップクラス

アタシも初めて聞いたときは調べてみたんだけど、獣っぽかったり竜っぽかったり、バイオなモンスターだったりキメラっぽかったり・・・メカだったこともあったねー

ドジスンさんが容姿の描写をまったくしてなかった事が原因なんだけどねっ


「凶悪な外見だけど、どんな奴なの?」


似た奴を見たことはあるけれど、ゲームの知識をそのまま当てはめてはいけない

それくらいはアタシだって学習してるよっ


「かなり凶悪な攻撃力と常識外れな防御力を持つ、厄介な相手だ

スピードと体力(HP)は大した事無いのがせめてもの救いだけどな」


ふーん、装甲は硬いけど中身はフワフワなんだー、しかも動きは鈍いと・・・なら


 - ストレス発散っ! -


一気に間合いを詰めながら、右腕をプロペラのように3回転っ!

同時に左手も螺旋を描くようにエネルギーを収束して・・・


縁理(エンリ)流格闘術禁じ手ッ!収爆蜂撃ワスプ・ブレイク・ノーマジーン(※1)っ!!」


ぷぷっぴどぅ~ん!


命爆蜂撃(ワスプ・バースト)より腰を捻るように撃ちこむのがポイント

これにより気で形成された円錐形内で爆発力が1点に収束されるという『モンロー効果』が生まれる


穴の穿かれた強固な装甲の内側を高温高圧のジェットが走り回る

魔物(バンダースナッチ)の全身が軽く痙攣し、眼窩等の開口部、各関節部から薄っすら煙と蒸気が立ち昇る


「うっわ、殻の中身全破壊? ちぃとばかしオーバーキルじゃねぇっすか?」


タツアン、いいじゃんかよー、野良魔物なんだしー

対人戦は手加減に神経使うからストレスたまるんだよっ

なになに? 魔結晶とか採れないって? アタシこんな奴の殻剥きしたくない


「御前試合で使った技って、加減なしで撃つとこうなるんだ、

・・・バムトンさんが蒸し焼きにならなくって良かった」


倒れた魔物の残骸・・・といっても穴が1箇所空いてるだけなんだけど・・・を見下ろしながら

鎧さんがつぶやいた。

いや、ちょっと違う技だからー。それに禁じ手だしー

ワスプ・ナイフ(ガス圧ひでぶ)HEAT弾(ジェット穴あけ)の違い・・・

技の違いとか説明してもあんまり意味ないし、ま、いっか


――――――――――


「大体この辺りのはずなんだけどなあ」


鎧さんいわく、昔は温泉が湧いていたという場所・・・

少し岩肌が見えるだけで辺り一面雪景色やん


「とりあえず・・・調べてみるかい?」


調べるも何も全ては雪の下だよっ

雪って奴は積もったばかりならともかく、長い年月を重ねた万年雪ってのはガッチガチで簡単には取り除けない、20世紀以後でも専用の除雪車が必要になるくらいだ(※2)


「おいおい、こんな所で雪かきかよ」


「ここがもし本当に温泉だったのなら、雪を溶かしちゃっても問題ないんじゃない?

少なくとも、平らな場所だし雪崩とかは起きそうもないよっ」


「掘り起こすより溶かしちゃった方が早いんじゃない?」


「おっけ」


火炎放射(フレイム・スロゥア)

加熱に特化したこの呪文. 拡散範囲・射程・温度・持続時間等、

シンプルなだけに細かい微調整が利くんだよね


十分に火力、射程を引き伸ばして薙ぎ払えば・・・(※3)


ついでに、『デュアル・キャスト』・・・これで火炎放射は2本だよっ


両手の手のひらから炎が噴き出す


ごおぉぅ・・・あれ?! あややや・・・


両手から放たれる2本の直線状の火炎とは反対方向に、アタシの体が平行移動し始める

少しずつ・・・だけど確実に加速していく


「むー、作用反作用・・・」


氷は滑る、原理は諸説あるけど、事実なんだから仕方ない(※4)。

すべるすべるって口にしても受験シーズン終わってるから問題ないでしょ、とメタ発言してみる


このまま加速し続けたら危ないとゆーか迷惑、しっぽブレーキかけないと・・・

実はこのシッポ、マナ燃費が余りよくない

内装のタービンを起動してのフル稼働の場合、内装の魔池(マナ・バッテリー)は数分しか持たない

それ以後はアタシ本人のマナで稼動する事になるだけなんだけどね

要するに魔法使うより尻尾の方がマナを食う

呪文って意外と低燃費(除く上位魔法)


せっかく推進力の元が2つあるんだから、相殺させりゃいいか


「うんしょ、×(ぺけ)バーナー・・・なんてねっ」


死ぬ気どころか、感情すらほとんど入れない、gdgdの怠惰なローテンションで両腕を開いて炎の反動を相殺


・・・あ、ミスった


左右両手の人差し指1本の先で突くように小物を挟んでみると分かる

軸線が完全一致しないと・・・回っちゃうのだ


結果アタシは某英国面黒歴史兵器(パ○ジャンドラム)(※5)のように、炎を吹き出しながら大回転、そのままあちこちをランダムに転げ回る事になったのだった

むー、阿鼻叫喚大回転火炎地獄・・・


・・・きゅうぅ・・・目が回った・・・

安易なマナ節約に走った、横着した結果がコレ


「ご・・・ごめんなさぁい・・・」


一応、岩でできた広大なプールのようなものは、我々の前に姿を現したけどさ

・・・反省


「ししょー、だいじょうぶですぅ?」


膝枕はいいんだけど、上から蓋しないでタヌ子


拙い作品をお読みいただきありがとうございます


モブ顔なのにカッコイイ教授(探偵)とか、英国みんみとかになれる前に

珍兵器として英国面に堕ちてしまいました(¬▽¬;


安易にマンガとかで見た技を真似するのはやめようと心に誓ったおーちゃんなのでした


次回は温泉回?



【解説】


(※1)収爆蜂撃ワスプ・ブレイク・ノーマジーン命爆蜂撃(ワスプ・バースト)の対装甲バージョン

圧搾した大気を1点に収束させ、その爆圧と熱量によるモンロー効果で装甲を貫通する

ぶっちゃけ擬似HEAT弾、ただし金属の内張りは無いのでノイマン効果は無い

「ノーマ・ジーン」で「モンロー」は単なるダジャレW(別のモンローです)

NO(ノー) MERCY(マーシー)」(無慈悲・情け容赦ないの意味)も掛けていたりする(¬▽¬;

吸気・圧縮量で火力の調整ができ

予備動作のチャージさえ十分にできるなら貫けない装甲はまずない

反面チャージが不足なら装甲は貫けないし、過剰なら背面まで貫通し破壊効果は減ってしまう調整の難しい技

命爆蜂撃(ワスプ・バースト)が開口部から内部へ爆圧を送り込むのに対して

こちらは装甲手前で爆圧を利用した貫通効果を目的としている



(※2)専用の除雪車が必要になるくらいだ :雪というのは見た目より重く頑丈、鉄オタではないニワカなので細かい数値は挙げないけど、ラッセル車やロータリー車の動力出力を見る限り、大量のエネルギーを消費すると思われる。

ぶっちゃけ、雪かきは大変


(※3)十分に火力、射程を引き伸ばして薙ぎ払えば・・・ :射程は拡散角度に反比例する。

魔法は物理的なものとは違うのだろうけど、噴出する量が同じなら細く絞り込んだ方が遠くまで届く


(※4)氷は滑る、原理は諸説あるけど、事実なんだから仕方ない :厳密には氷そのものは滑らない

復氷現象(圧力をかけると融解して水となり、圧力を除くと再び氷に戻る)などで発生した水が滑る原因と思ってる、タオルなどを敷いて溶けた分の水を吸い取ってしまうと滑らないし、溶けた水自体が出てこないように過冷却した氷は滑るどころか手にくっつく

どこぞで「表面の分子がベアリングのように転がるから滑る」なんて説も聞いたけど、氷の表面から外れた動く分子って「水」じゃん


(※5)某英国面黒歴史兵器(パ○ジャンドラム) :実在した有名なネタ兵器、知らない人の為に説明するとロケット推進で回転して転がる円盤・円筒状、ぶっちゃけ巨大な糸巻きボビンの特攻兵器

実戦投入時にはマトモに転がらす、ねずみ花火以上の凶悪さでランダムに跳ね回ったといわれている

なまじ1.8tの爆薬を積んでいるだけあって恐怖の回転体

なぜか一部では大人気らしいので調べてみると面白いかも


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