2章-04 残念メイジだよっ
古今東西、魔法使いってのは歪んだ性格だったり残念な人だったりする事が多いみたい、多分勉強に明け暮れてたせいなんでしょね
外見的には、正統派ならお爺ちゃん、ライト系なら童顔スレンダー、妖艶グラマラスなのは悪役ってのが王道っ!(≧▽≦)9
がうがう、骨付き肉ってのは なんとな~く野生に帰るような気がする
お上品にナイフで一口分ずつ切り取るのもいいけど、豪快にかぶりつくのもまた快感
はろー、アタシの中の「けだものフレンズ」にゃんこは肉食がるるのる~ぅ
チリリン・・・
店のドアのベルの音、新しいお客さんかな?夕食時だしね
「いやー、やっぱディナーはこの店来なくっちゃねー」
ちょいハスキーな女性の声、口調はちょっとオヤジくさい・・・既に酔ってる?
ま~よくいる冒険者のレパートリーのひとつだと思うので、特に気にするほどのものではないのかもとアタシは骨付き肉との格闘を継続・・・がうがう
「よろいちゃ~ん、帰ってたのね~」
大股でドタドタと近づいてくる、アマドさんの知り合いかー
外見が比較的整ってるだけにちょっと残念な気がしないでもない
単に酔っ払ってるだけかもしれないけど
「へへへ~、よろいちゃ~ん、き・い・た・よ~」
お姉さんは、ジョッキを傾けるアマドさんの脇にぴったりと寄り添う
身長はアタシより少し高い程度なので座ってる彼の脇の下くらいしかない
知り合い同士の再会に割り込むほど野暮じゃあない
アタシは食事を続けながら観察を続行
ショートカットの銀髪、黒に近い紫色のタイトなローブ
胸元からおヘソ辺りまで大きく開いていて編み上げになっているローブはセクシー極まるデザインだけど、その体はスレンダー過ぎてちょっと残念
「「子猫」ひろったんだってー?」
「ネコじゃないよ、似てるけど」
酔いが回ってるのか、ぞんざいに片手の手首から先だけでこっちを指し示す
鳥腿に噛み付いたままのアタシとお姉さんの目が合う
一瞬だけど本能的にネコミミがピクってなった
「・・・・・」(きょとん) 硬直するお姉さん
「・・・・・」(あせっ)なんか危機感を感じたアタシ
- 3秒間停止 -
がししっ!! 見切れなかった
テーブル半周を一瞬で回り込んだお姉さんに、アタシはしがみつかれた
「かわいーっ!かぁいいっ!! これちょーだいっ」
あうあうっ、せめて咥えたお肉、お皿に置かせて~~
「ネコミミ少女、ぴくぴくお耳、もふもふっ、すりすりっ」
ひ~、その耳は装備アイテムだけど聴覚と触覚つながってるのよぉ~
こそばゆいっ、ぞくぞくするぅっ、ち、力が・・・抜ける・・・
全身なで回され、耳を甘噛みされ、息を吹きかれられ・・・
これ以上細かく語ったらなろう規定的にヤバいような感触を数分受け続けたアタシは既に青息吐息、意識が半分飛びかけてる
(※当作品にR-18要素はありません、健全ですっ!∠(≧△≦)ゝなー)
「おいおい、その子気絶しかけてるぞ」
「あっゴメンゴメン、クリーンヒットな子みっけて暴走しちゃった」
あ゛~~~
会話は聞こえてるけど身体は動かない、椅子の背もたれに寄っ掛かったままぐったり・・・自分にこんな弱点があったなんて知らなかったよっ
恐るべしファンタジーライフ
もっともこの世界に来る前も喪女だったからスキンシップ自体ほとんど知らないし、免疫ないんだけどね
半ば朦朧とした意識の中、口の中に何かが流れ込んでくる
ちょっとほろ苦くフルーティな香り、少し炭酸・・・黒ビール?いやエールだ、ちょっと雑みはあるけど天然素材の味
「子供にエールは良く無いだろ」
「気付けよ、少しくらいならだいじょうぶ」
視界がぼやけてるせいか、音声Onlyだぁね
う~ん、ひさしぶりだにゃあ・・・ここしばらく発泡酒しか飲んでなかったからねぇ、もちろん元の世界でのお話
ちょっと元気が出てきた、アタシの身体にコントロールが戻ってくる
目の前にはフル装甲のメタルな顔面
「オーリ、だいじょうぶか?」
ぶんぶんっと顔を振って気合を入れなおす、通常モード復帰っ!
「こらマミ、言うこと有るだろ」
「ごめんなさい、調子に乗りすぎました」
両手を合わせてペコペコと謝罪する銀髪のお姉さん
「改めて紹介するよ、コイツは“マミトリ・ラキシモフ”
魔術師で僕の旧友」
「マミって呼んでね、フルネームはあまり好きじゃないの
副職は服飾師、お針子ね、よろしくオーリちゃん」
「おーちゃんって呼んで・・・ケロ」
はわわ、アタシなに言っちゃってるんだろ、こんなアニメ&マンガネタなんて、ヲタの多いゲームの中でしか通じないってのにー
ちなみにアタシの舌は長くない、むしろ他人より短い、カエルっぽい所なんてない
はわわわ、思考がまとまってないよ~~
ひょっとして、この10歳の身体はアルコールに対しての免疫が無い?
「ふぁ、アタシはオーリ、まだ冒険者登録してないので無職だよっ
まだちょっとアタマがふわふわしてる・・・」
マミさん、アタシのオデコに手を当ててなんか眉間にしわを寄せてる
ん~・・・なに? 治癒魔法かなにか?
「鎧ちゃん・・・この子すごい量の魔力持ってる・・・」
ぎくっ、ステータス隠してるのバレた?
『ステータスを公開しない』のチェックはちゃんとONにしてあるはず
「おーちゃん、魔法は使えるの?」
「いちおー、少しなら」
「いい? 魔力もストレスも溜め過ぎちゃダメなのよ
時には思いっきり暴れて発散しないと暴発しちゃうのよ」
正面からずずいと寄ってくる
すごい迫力、プロ魔術師の言葉だし、この世界ではそうなんだと受け取ろう
「オトコもオンナも、それぞれまた別のものが溜まっちゃう事もあるけどね・・・でゅふ」
あーこの人残念なタイプだー、実力あるけど余計な事言ってダイナシにするタイプ
「はい、でも街中で使っちゃあいけませんよね」
「えらいっ!まだ小さいのに、心構えができてるわぁ
絶対にいい魔道師になれるわよっ」
マミさん、ぎゅっとハグしてきた
「・・・ミミもふもふは禁止~」
「ごめんごめん」
パッと身を離すマミさん
マミさんいわく、アタシがダウンしたのは魔力過剰蓄積による過敏症の所に、過剰な刺激を受けて感覚神経がオーバーフローしたんだそうな
・・・結局、もふもふしたのが原因じゃないのかなー
でもネコミミはアタシのポリシーでありアイデンティティ、
今後ネコミミは誰にも触らせないようにしよう
『このミミに、触れる者みな地獄行き』とか言ってみようかなー
メイド服は着ないけどね
再度抱きつくチャンスを探ってるマミさんに
鎧さんが思い出したように話しかける、ないす・いんたーせぷと!
「ところでマミは、なんでわざわざティル村まで来たんだい」
「鎧ちゃんに会いに、とゆーのはジョークで、シルク素材を採りに来たのよ」
「地元のマーハにもシルクはあるだろ」
「素材に妥協はしたくないの、ティルのスパイダーシルクが今回のイメージにピッタリなのよ、朝一番のキレイな糸を採りに行く予定よ」
「こだわるねー、魔術師とデザイナーのどっちがメインかわかりゃしない」
「あ~ら、鎧ちゃんだってセンスなかなかのもんじゃなーい?
渡した商品見本サンプルをあんな見事に着せるなんてね」
へー、今着てるワンピ、マミさんの作品だったんだ
「成人用セーターをあえて少女にニットワンピースとして着せる。
本来身体のラインにフィットさせるように、やや引き伸ばして着る作りだったニットをあえてルーズに合わせるセンス、こんなの私でも思いつかなかったわよぉ」
マミさん、頼むから鼻息荒くしながらこっち見ないで・・・
「長さの余った袖、絶妙な長さの裾、襟ぐりから覗く細い肩・・・
隙間から中身が見えそうで見えない、やもすればストンと全体が落っこちてしまいそうな背徳感・・・むふー」
「婦人服、これしか持ってなかったから渡しただけだって」
「もー辛抱たまらんっっ!」
がしっ!
鎧さんのデカイ手がマミさんの頭を真上から鷲掴みにする
「酔い覚ましに夜風浴びてこような」
そのまま片手にぷら~んとぶら下げたまま、店の外に歩いていった
アタシの貞操は守られた・・・
拙い作品をお読みいただきありがとうございます
鎧さんが外見特異なナチュラルボーン紳士なので
マミさんは、外見は普通のザンネン女性になりました
頭掴まれてぶら下げられてますが、マミさんの首は取れません(W
最初に出会う魔道士は、スレンダーで童顔の合法ロリでしょう
お約束です、世界の常識です
出会い方は家庭教師だったり、冒険仲間だったり、学校の生徒だったりいろいろでしょうけど
ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが
ご意見、ご感想、誤字脱字のご指摘、メッセージ等あると非常に嬉しいです
よろしくお願いいたします!
『メタもベタも極めてみせるよっ!』




