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9章-01 止まないクエスチョンだよっ

罠とかってフツーは1回作動したらそれまででリロード・リセットされたりしないものだし

迷宮に付き物の謎解き(リドル)も固定で、苦労するのは1回目のチャレンジのみってのが普通だ


これが手を変え品を変え恒久的に稼動する施設なんてのがあったのなら、作った人はある意味偉大といってもいいだろう、もしくは究極の変人?


ゲームなら繰り返しプレイさせるためという理由でけっこーあるんだけどね(MMORPGとか)

【この作品は、吾流峰子 のオリジナルです [海賊版サイト対策]】

本網站的所有圖片、文章的版權帰 吾流峰子 所有、未經許可禁止拷貝或使用和銷售。

original: http://ncode.syosetu.com/n7904dz/

――――――――――


荒野を疾走するちょっと高級な大型馬車


「めえ~めえ~、森の子ヤギ・・・ヤギじゃないなあの角、ひつじだー」


「オギさま、私は羊ではなく執事です」


御者台からオギの即興歌にも突っ込みを返すめぇ、退屈な馬車に揺られる道中を考慮しての対応だ

アタシが空気読めないコミュ障だから助かる


主の苦手な所をさりげなくカバーする・・・執事の鑑だぁね、

ん~んん~、優しい悪魔~、木魚は叩かない(※1)


「この歌知ってるの?」


「3番の『朽木(とっこ)あたれば (くび)こが折れる』って辺りが好きですねぇ」


・・・(¬▽¬; やっぱり悪魔だ


――――――――――


魔族執事めぇは、一旦その身を消すと、10分ほどで戻ってきた

リムジンのような大型の4頭立ての馬車とともに


大型馬車は、その大きさにそぐわない速度と、大きさに見合った安定性で進んでいく

道らしい道はないが、地形的に平らな所を選んで進んでいく


「なるほどね、この超ロング・ホイールベースが安定性を生んでるんだ」


「ししょー、なんですぅ? そのちょーろんべーすって?」


「要するに、馬車の車輪を思いっきり前後に離してつけることで揺れが減るってことだよ」


長いアームが結果的にサスペンションとして働いている、強度さえあれば良い設計だぁね


「トレント・ウッドは馬車のボディとしては最高の素材ですよね」


・・・ったく、めぇの持ってくる馬車ってヤツは・・・


――――――――――


執事めぇの駆る馬車は的確に地面の平坦なコースをライン取りし、この時代の馬車のベストラップともいえそうな速度で走り続けた

当然、魔物等に襲い掛からせる隙なぞつくりはしない完璧執事


もっともこの辺りにいる魔物は、鹿系、山羊系、せいぜい火山オオカミ

単身、魔物と戦いながら進むなら程よく苦難の道になるんでしょうけどね


日中は馬車を走らせ、夜はキャンプを張ること2日、ようやく3日目の午前に目的のポイントへと到着した。

切り立った岩壁にぽっかりと開いた洞窟


「ここが『試練の洞窟』の入り口、この洞窟を抜ければヴァーレルだ」


馬車旅の単調さに飽きはじめていた鎧さんのテンションが上がる

その気持ちは分からないでもない、


「お嬢様、私はここで・・・」


一同が馬車から降りるのを確認した後

めぇは恭しく執事の礼を取りつつかしこまる


「めぇ、あなたは洞窟には同行しないの?」


執事は礼を崩さぬまま、冷静な口調で答えた


「私がこちらの空間にいられるのは1ヶ月辺り5日が限度です。

 既に3日を消費してしまいました、このまま滞在可能時間を使いきってしまったら、イザと言う時に再度呼び出していただけなくなり困ります。

一旦魔界に帰り、力を蓄えて待機したく思います。」


うん、これはアタシの召喚獣にほぼ共通しているルール

召喚していられる時間はそれぞれ種類ごとに決まっており、1ヶ月でその値はリセットされる

契約魔族にもそのルールは適用される


「それでは、またお呼びください」


腰を深く折ったまま、めぇはアタシの耳元でささやく

おいこらヤメロ、耳は敏感なんだよっ、あえて振動の伝わるような甘ったるいささやき方をするでないっ


「いただいた『神の甘味』、他の魔族に自慢してきますので・・・」


まー確かに、悪魔にとっては激レアアイテムかもしれないからね

仲間とはいえ、悔しがられたり嫉妬される感情は、悪魔族にとってエネルギーになる


ささやき1つのこして、悪魔執事は帰っていった、馬車もろとも


む? よく考えたら、また呼び出す時は贄が必要ってことだよねー

一見誠実なようで抜け目ないなー ∠(○△○)ゝなー


「さっき『試練の洞窟』って言ってたけど、強い魔物でも居るの?」


マミさんも少々気になるようだ


「ボス魔物は強敵だけど、必ずしも戦わなくちゃいけないわけでもない、

 むしろ出口までの道中のほうに無理難題が隠れているんだよ」


「トラップかい? なら専門家がここにいるぜ」


この所ちょっと影の薄くなりかけてたタツアンが軽くガッツポーズ


「助かるよ、回り道行程がかなり減りそうだ、後は扉の条件がどう出てくるかって所かな」


ん? なんか引っかかるセリフ


「扉の条件ってなんなの?」


「誰が作ったのかはわからないけど、ここには特定の条件で開く扉ってのがあるんだ

しかもその条件はしょっちゅう変わる、資質だったり知恵だったり物品だったり

1回ダメでもしばらくしたら条件が変わることもある」


む~・・・確かにすごい迷宮、謎掛け(リドル)ダンジョンだよね

コースの分岐を切り替える鍵は常に変化

通る為にとれるルートは事実上ほぼ無限大、

話によると、ラスボス以外は侵入者を倒そうとする気がないと思われるくらい弱い魔物しかいないらしい

この迷宮の建てられた意味は? 目的は?


まー、とりあえず御託並べるより突入だよっ

一向は隊列を組み洞窟の奥へと進んで行った


――――――――――


洞窟の中はうねうねと曲がった道が続き、ところどころ自然の石柱が鍾乳洞のように並び、隣の道がチラリと見える。これめちゃくちゃマッピングしづらいぞ(※2)


巨大なムカデのような魔物や、アリジゴクのような魔物が出てきたが、さほど強くは無かった


そして行き止まり、目の前には大きな石版が壁のように立ちはだかっている


「最初の扉だ、うん、一番得意なのに当たった」


鎧さんが腕組みしつつうなづいた

壁石版にはこう書かれている


『鍵はない、形は示すので自分で作れ』


鍵の絵と大振りな鍵穴

壁の前には作業代のようになった岩のテーブルと金属の塊が数個


「鍛冶屋さんをなめちゃいけないよなぁ」


こん、こんこんっ、かんっ!


小ぶりの鍛冶用ハンマーをとりだすと、鎧さんは鼻歌交じりに打ち始めた

タツアンが手元を覗き込む


「俺っちがピッキングしちまおうか?」


「いや、扉の指示には従わないといけない。

作れと書いてあるし、そのまま加熱せずに打てる素材がわざわざ置いてあるんだ」


こんこん、こんっ


「楽勝楽勝、はい出来た!」


鍵穴に出来たての鍵を差し込むと、石版は音を立ててスライドし、道が開けた


「今みたいに扉ごとに指示が出される。鍛冶屋や細工師の居ないパーティは、少し戻ったところの脇道から別ルートで進むって事になる」


「・・・にゃるほど、ホントに『試練の洞窟』なんだね

 ねぇ、壁の意思にそぐわない方法で通過したらどうなるの?」


「その場合、大抵は堂々巡りになるか、強化されたボスルームへと誘導される」


おーこわ、ルール大切


道の切り替わる迷路、開錠条件の切り替わる扉、戦わなくても構わない強いボス

この洞窟にをクリアする為に必要なものは2つ


『機転』と『根気』だ


ある意味、いかに機転が利き、自分の出来る事・出来ない事を把握しているか

直接対処できない障壁に対してどう対処するかの『総合力』を試すような造りなんだと思う


――――――――――


進む、ひだひたすら進む・・・どうやら扉の指示に従っているルートでは、あまり危険なことは起きないらしい


「お、これは武力の試練だな・・・以前なら迂回してた扉だけど今回はボーナス問題だ」


みんながこっちをじっと見る・・・なによ?


「ししょー、お願いするのですぅ」


え゛? どゆこと?


扉に書かれた文字を読む


『最も若き女性のみがこの扉を打ち破れる』


むー、確かに該当するのはアタシだ


「でゅふふ、男所帯パーティだったら詰むケースだね~

どうぞ やっちゃって~~」


「むー、か弱い幼女に何をやらせるのよー」


「ナニを今更・・・」


むー、タツアン、後で殴る


だんっ! 重心を落とし震脚を踏む、大地と意思のエネルギーを収束、練り上げていく(フルチャージ)


- スキル発動、縁理流格闘術、壱の拳『収束拳(コンバージブロー)』 -


すっごぅんっっ!! 


石版は砕け、端の方に残った破片は回収されるように引っ込んでいく

多分しばらくしたら別の石版が自動的にセットされるんでしょね


♪戦いはずっと続く~


拙い作品をお読みいただきありがとうございます


誰が作ったかは分からないけど、ルートも攻略法もその場になってみないと分からない大迷宮

力押しが通用しないまさに『試練の洞窟』

バランスのいいパーティで協力し合わないと進めないようです

意外と運がいいとすんなり通れたりする事もあるとかないとか



【解説】


(※1)優しい悪魔~、木魚は叩かない: おっさんホイホイとゆーより、じーさんホイホイだぁね

分かったらかなりのご年配だよん(作者も調べて書いてる)

ちなみに悪魔は閣下もクラウザー氏も大好きです


(※2)これめちゃくちゃマッピングしづらいぞ: おーちゃんのミニMAP機能は、空間続きになっている範囲を自動マッピングするので関係ないんだけど、ここは一般的な視点で言ってる



ブックマーク、評価、とかはあまり気にしてませんが (あると嬉しいのは事実だけど)

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